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Photo: Guido Werner

2025/06/18(水)Vol.520

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演
アンドレ・シュエン メール・インタビュー
2025/06/18(水)
2025年06月18日号
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オペラ

Photo: Guido Werner

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演
アンドレ・シュエン メール・インタビュー

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演『フィガロの結婚』でアルマヴィーヴァ伯爵を演じるアンドレ・シュエンが、メール・インタビューに答えてくれました。イタリアの南チロル州出身のシュエンはいま最も注目のトップ・バリトン。数々の役で演技・歌唱における表現力が高く評価されていますが、なかでもアルマヴィーヴァ役はいくつもの新しいプロダクションに招かれるほどの当たり役。彼自身が『フィガロの結婚』のアルマヴィーヴァ伯爵にどう取り組んでいるかを聞きました。

バリー・コスキーの『フィガロの結婚』はすべてが理に適っている

チェロ奏者から声楽に転向されたと聞いています。どのようなきっかけがあったのでしょう? また、声楽を学ぶ場としてザルツブルク・モーツァルテウムを選んだ理由は?

僕はあらゆるジャンルの音楽を歌うのが大好きでした。母語である「ラディン語」の伝統音楽から、ポップス、クラシック、コーラス、四重唱などなど。プロの歌手として活動できるかもしれない、と気づいたのはわりと遅くて18歳頃のことでした。姉妹の一人がモーツァルテウムで勉強していたのですが、ある日僕に、シューベルトの歌曲のアルバムを持ってきてくれました。僕はたちまち心を奪われ、楽器ではなく声による音楽で自分を表現できるのではないかと気づいたのです。シューベルトの歌曲によってクラシックの歌唱の魅力に出会い、やがてオペラへの愛が芽生えていきました。

シュエン演じるオリヴィエ(『カプリッチョ』ウィーン国立歌劇場2022年公演より)
Photo: Wiener-staatsoper / Michael Poehn

シュエン演じるオネーギン(『エフゲニー・オネーギン』ウィーン国立歌劇場公演より)
Photo: Wiener-staatsoper / Michael Poehn

ザルツブルクとチューリッヒの様々なプロダクションで『フィガロの結婚』のアルマヴィーヴァ伯爵役を演じられています。ウィーン国立歌劇場でのバリー・コスキー演出の特別な点は?

バリー・コスキーのプロダクションは素晴らしいです。まずクラシックでありながら、とてもモダンです。またテキストと音楽の両方にしっかりと基づいているので、すべてが理に適っています。そして、喜劇の要素と悲劇の要素がみごとに嚙み合っているのです。

バリー・コスキー演出『フィガロの結婚』第2幕より
Photo: Wiener-staatsoper / Michael Poehn

コスキー演出のアルマヴィーヴァ伯爵を演じる上で、最も重要だと思うこと、あるいは難しい点はどんなところ? また、そのようなアルマヴィーヴァ伯爵を演じるために、どのようなことを心がけていますか?

公演中のすべての瞬間に、自分が歌っていること、話していることを理解し、感じることがとても大事だと思っています。コスキーのプロダクションでは、ブロッキング(演者の立ち位置や、動きに関する指示、演出)ががとても緻密でありながら、言葉や動きを邪魔することはありません。これは理想的で素晴らしいことです。しかしそれは同時に歌手たちにとってはチャレンジでもあります。なぜなら、こうした緻密さのなかでは、自分のエネルギーのレベルが落ちる瞬間はすぐに分かってしまいますから......。

バリー・コスキー演出『フィガロの結婚』第4幕より
Photo: Wiener-staatsoper / Michael Poehn

コスキーの演出では、アンサンブルの親密さが求められる一方で、歌手の動きそのものも非常に重要視されているように思います。リハーサルの際に、何か難しい点はありましたか? もしあれば、他の歌手たちと、その難しさを克服するための工夫などをされたのでしょうか? リハーサルの思い出があれば教えてください。

リハーサル期間のことはよく覚えています。とても楽しかった。素晴らしいチームで、全員が、それぞれの歌唱や演技のベストを引き出そうとしているのがよく分かりました。だからオーバーペースになって、本番前に体力を落としてしまわないように気をつけるのが難しいくらいでした。

オペラ歌手以外になりたかったものは?

シェフですね。友達や家族のために料理をするのが大好きです。

日本のファンにメッセージを!

東京を再び訪れ、この美しいプロダクションを皆さまの前で歌えることを心待ちにしています! 舞台でお会いしましょう!

アンドレ・シュエン
Photo: Christoph Koestlin / DeutscheGrammophon

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演公式サイト

https://www.nbs.or.jp/stages/2025/wien/

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ウィーン国立歌劇場2025年日本公演
『フィガロの結婚』全4幕
『ばらの騎士』全3幕

公演日

W.A.モーツァルト作曲
『フィガロの結婚』全4幕

指揮:ベルトラン・ド・ビリー
演出:バリー・コスキー
10月5日(日)14:00 東京文化会館
10月7日(火)15:00 東京文化会館
10月9日(木)18:00 東京文化会館
10月11日(土)14:00 東京文化会館
10月12日(日)14:00 東京文化会館

[予定される主な出演者]
アルマヴィーヴァ伯爵:アンドレ・シュエン
伯爵夫人:ハンナ=エリザベット・ミュラー
スザンナ:イン・ファン
フィガロ:リッカルド・ファッシ
ケルビーノ:パトリツィア・ノルツ

演奏:ウィーン国立歌劇場管弦楽団

R.シュトラウス作曲
『ばらの騎士』全3幕

指揮:フィリップ・ジョルダン
演出:オットー・シェンク
10月20日(月)15:00 東京文化会館
10月22日(水)15:00 東京文化会館
10月24日(金)15:00 東京文化会館
10月26日(日)14:00 東京文化会館

[予定される主な出演者]
陸軍元帥ヴェルテンベルク侯爵夫人:カミラ・ニールンド
オックス男爵:ピーター・ローズ
オクタヴィアン:サマンサ・ハンキー
ファーニナル:アドリアン・エレート
ゾフィー:カタリナ・コンラディ

演奏:ウィーン国立歌劇場管弦楽団

入場料[税込]

―平日料金
S=¥79,000 A=¥69,000 B=¥55,000
C=¥44,000 D=¥36,000 E=¥26,000
サポーターシート=¥129,000(S席+寄付金¥50,000)
U39シート=¥19,000 U29シート=¥10,000 

―土日料金
S=¥82,000 A=¥72,000 B=¥58,000
C=¥47,000 D=¥39,000 E=¥29,000
サポーターシート=¥132,000(S席+寄付金¥50,000)
U39シート=¥21,000 U29シート=¥13,000