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Photo: Wiener Staatsoper / Michael Poehn

2025/07/16(水)Vol.522

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演 

イン・ファン メール・インタビュー
2025/07/16(水)
2025年07月16日号
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オペラ

Photo: Wiener Staatsoper / Michael Poehn

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演 

イン・ファン メール・インタビュー

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演『フィガロの結婚』でスザンナを演じるイン・ファンが、メール・インタビューに答えてくれました。中国出身のイン・ファンの名は、すでにメトロポリタン歌劇場やザルツブルク音楽祭などでスザンナをはじめとするモーツァルト作品で実力を発揮したことで知られています。彼女にとってのモーツァルト、バリー・コスキー演出『フィガロの結婚』について聞きました。

「モーツァルトは私にとって永遠に特別なもの。このプロダクションの特徴は何と言っても、ドラマとビジュアルの世界の相互作用でしょう」

すでに「メトロポリタン歌劇場のモーツァルト作品に欠かせない存在」(ニューヨーク・タイムズ紙)と認められています。あなたにとってもモーツァルトのオペラとはほかの作品と異なる特別なものですか?

モーツァルトの音楽は、私のレパートリーのまさに核心にあり、これからもずっとそうあり続けるでしょう。彼の神聖な書法は、深い霊感を与えてくれるのみならず、声と魂の双方に、大きな安らぎをもたらしてくれます。モーツァルトを歌うことで、技術的に土台を見失わずにいられます ―― つまり声を健康に、素直に、そして滑らかに保てます。彼の音楽には純粋さと深みがあり、私にとって永遠に特別なものとなっています。

バリー・コスキー演出『フィガロの結婚』より
イン・ファン演じるスザンナ
Photo: Wiener Staatsoper / Michael Poehn

『フィガロの結婚』のスザンナ役は、あなたの当たり役の一つともいわれています。そのスザンナ役でウィーン国立歌劇場にデビューを飾った感想は?

本当に特別なことでした。『フィガロの結婚』はウィーンで作曲されて、そのスザンナ役として、世界でもっとも格式高い劇場の一つであるウィーン国立歌劇場で劇場デビューできるなんて ―― とても光栄で、巡り巡ってスタート地点に戻ってきたような意義深い瞬間でした。

スザンナ役をウィーン国立歌劇場のほかでも度々歌っていらっしゃるあなたから見て、バリー・コスキーのプロダクション『フィガロの結婚』の魅力はどのようなところにあると思いますか?

バリーは天才です。彼のドラマの細部までのこだわりと、登場人物それぞれに対する深い人間的解釈はたいへん説得力があります。このプロダクションの特徴は何と言っても、ドラマとビジュアルの世界の相互作用でしょう ―― バリーのチームが創った目を見張るセットと衣裳は、物語の推進力を大いにサポートしています。

バリー・コスキーのプロダクションは、歌手の動きがとても重要だと思います。また歌のアンサンブルに関して、緊密なアンサンブルも大切です。リハーサルなどで大変なことはありましたか? 歌手同士で工夫されたことなどはあったのでしょうか? リハーサルの際などで印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

ええ、その通りです。このプロダクションでのハードな動きと出演者同士の緊密なやりとりは、お互いの高度な連携と信頼が必要です。幸い、リハーサル期間がたっぷりあったので、そうした細かなやりとりをしっかり練習することができ、アンサンブルの強力なダイナミズムを作り上げることができました。今どき、こうした時間を持てることは本当に贅沢なことです。それに日本公演でも、オリジナル・キャストとほぼ同じメンバーで歌えることは幸運なことです。初演で味わった素晴らしい流れと、メンバー間のケミストリーを引き継いでいかれますから。

バリー・コスキー演出『フィガロの結婚』より
イン・ファン(スザンナ)とハンナ=エリザベット・ミュラー(伯爵夫人)
Photo: Wiener Staatsoper / Michael Poehn

あなたの歌唱について、「時間を止めるほどの純粋で豊か、開放的で、この上なく表現力豊かな声」(フィナンシャル・タイムズ紙)と評されています。表現について、なにか特別な訓練をしていますか? 声の特徴について、ご自身ではどのように感じていますか?

なんて寛大で有難いレビューでしょう、とても嬉しいです。一番大切なのは、自分の声を素直に届ける、ということだと信じています。つまり、自然な音色、質感、そして本質を表現するということです。自分の中の本質に従って歌えば、表現は自然に生まれ、無理をしたり、付け加えたりする必要はありません。自分の本当の声を見出し、身につけるのは、時間と経験と忍耐が必要で、私は今も学び続けているところです。

オペラ歌手になることをご自身が決めたのはいつごろ? なにかきっかけがあったのでしょうか? オペラ歌手のほかになりたかったものはありますか?

夢は高校生の頃に始まったと思います。スミ・ジョー、キャスリーン・バトルといったレジェンド歌手や、METガラ(メトロポリタン歌劇場で行われたガラコンサート)でジェームズ・レヴァインが指揮するのを聴いて、とても感動したのです。彼らの芸術性に深く心を打たれ、クラシック音楽とオペラへの愛の扉が開きました。
もしオペラ歌手になっていなければ、画家になりたかったですね。いろいろな意味で、歌手と画家は似ているでしょう ―― 想像力と解釈を駆使して、個人的な深い何ものかを表現するという意味で。使うのが音ではなくて、色ということが違うだけで。

マチネ・コンサートでのイン・ファン
Photo: Wiener Staatsoper / Michael Poehn

日本のファンへのメッセージをお願いできますか?

日本が大好きなんです! 前に訪れた日本で、素敵な経験や大切な出会いがありましたから、再び訪問できることが心から楽しみです ―― 特に今回は、ウィーン国立歌劇場と素敵な仲間たちと一緒ですから。バリー・コスキーの素晴らしいプロダクションを皆さんにお届けするのが待ちきれません。

最後には「よろしくおねがいします 」と日本語でもメッセージをよせてくれました。

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演公式サイト

https://www.nbs.or.jp/stages/2025/wien/

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ウィーン国立歌劇場2025年日本公演
『フィガロの結婚』全4幕
『ばらの騎士』全3幕

公演日

W.A.モーツァルト作曲
『フィガロの結婚』全4幕

指揮:ベルトラン・ド・ビリー
演出:バリー・コスキー
10月5日(日)14:00 東京文化会館
10月7日(火)15:00 東京文化会館
10月9日(木)18:00 東京文化会館
10月11日(土)14:00 東京文化会館
10月12日(日)14:00 東京文化会館

[予定される主な出演者]
アルマヴィーヴァ伯爵:アンドレ・シュエン
伯爵夫人:ハンナ=エリザベット・ミュラー
スザンナ:イン・ファン
フィガロ:リッカルド・ファッシ
ケルビーノ:パトリツィア・ノルツ

演奏:ウィーン国立歌劇場管弦楽団

R.シュトラウス作曲
『ばらの騎士』全3幕

指揮:フィリップ・ジョルダン
演出:オットー・シェンク
10月20日(月)15:00 東京文化会館
10月22日(水)15:00 東京文化会館
10月24日(金)15:00 東京文化会館
10月26日(日)14:00 東京文化会館

[予定される主な出演者]
陸軍元帥ヴェルテンベルク侯爵夫人:カミラ・ニールンド
オックス男爵:ピーター・ローズ
オクタヴィアン:サマンサ・ハンキー
ファーニナル:アドリアン・エレート
ゾフィー:カタリナ・コンラディ

演奏:ウィーン国立歌劇場管弦楽団

入場料[税込]

―平日料金
S=¥79,000 A=¥69,000 B=¥55,000
C=¥44,000 D=¥36,000 E=¥26,000
サポーターシート=¥129,000(S席+寄付金¥50,000)
U39シート=¥19,000 U29シート=¥10,000 

―土日料金
S=¥82,000 A=¥72,000 B=¥58,000
C=¥47,000 D=¥39,000 E=¥29,000
サポーターシート=¥132,000(S席+寄付金¥50,000)
U39シート=¥21,000 U29シート=¥13,000