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Photo: Festival d'Aix-en-Provence 2025 / Monika Rittershaus

2025/08/06(水)Vol.523

エクサン・プロヴァンス音楽祭でのアンドレ・シュエンの活躍ぶり!
ウィーン国立歌劇場2025年日本公演が待ちきれない!?
2025/08/06(水)
2025年08月06日号
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オペラ

Photo: Festival d'Aix-en-Provence 2025 / Monika Rittershaus

エクサン・プロヴァンス音楽祭でのアンドレ・シュエンの活躍ぶり!
ウィーン国立歌劇場2025年日本公演が待ちきれない!?

音楽祭で盛り上がるヨーロッパの夏。そのときどきの旬の舞台やアーティストを求めて毎年のように各地を訪れる音楽評論家の石戸谷結子さん。今回は南フランスのエクサン・プロヴァンス音楽祭の様子を紹介してくれました。今回最大の目的の一つは今秋のウィーン国立歌劇場日本公演での来日が待たれるアンドレ・シュエン。その活躍ぶりに注目!

絶賛を浴びたアンドレ・シュエンの声と演技

太陽が燦々と降り注ぐ南仏プロヴァンス。からりと晴れた青空と木陰に吹くそよ風に誘われて、世界中から観客が集まるのがエクサン・プロヴァンス音楽祭だ。今年は77回目となり、7月4日から21日まで開催。7つのオペラのほか、超人気のカウンターテナー、ヤコブ・ヨゼフ・オルリンスキやエルモネラ・ヤオのリサイタルにヨナス・カウフマンとディアナ・ダムラウによるリート・リサイタル、バイエルン放送響を始め、世界の一流オーケストラのコンサートなどが開催された。

2週間近く滞在して、8つの公演を堪能できたのだが、そのうちオープニング公演でもあり、最もエキサイティングだったのが、サイモン・ラトル指揮、バイエルン放送響よる『ドン・ジョヴァンニ』だった。演出は、これが初めてのオペラ演出というイギリス人の若手ロバート・アイク。開演前に「大きな音や異質な音にご注意を」という字幕が出て、「えっ、なに?」と思ったのだが、果たして......。

まずは老人の騎士長が心臓発作で死ぬ場面が映し出され、序曲が始まった。ラトルの指揮はテンポを速め、ドライで緊迫感に満ち、一気に聴衆をドラマに没入させる。途中にドクドクという心臓の音やドーンという爆発音が入り、物語は思わぬ方向に。アイクの解釈はこれまでにない斬新なもので、ジョヴァンニは繊細でトラウマに悩む苦悩の放蕩者。あるいは愛に翻弄される哲学者かもしれない。そして最後には衝撃のどんでん返しも用意されていた!

アンドレ・シュエン演じるドン・ジョヴァンニ
騎士長=ドン・ジョヴァンニという設定
Photo: Festival d'Aix-en-Provence 2025 / Monika Rittershaus

この『ドン・ジョヴァンニ』で主役を演じていたのが、いま世界中の歌劇場で引っ張りだこの人気バリトン、アンドレ・シュエンだ。10月のウィーン国立歌劇場来日公演で来日し、『フィガロの結婚』のアルマヴィーヴァ伯爵を歌う。スリムな長身でちょっと魅力的なイケメン。ウィーン国立歌劇場でも伯爵を歌っているが、2023年のザルツブルク音楽祭『フィガロの結婚』では、若く冷酷でセクシーな伯爵を演じて、女性たちに大人気になった。その彼が、白いパーカーの上下を着た弱々しいドン・ジョヴァンニを演じた。ノーブルな声質の正統派バリトンで、深い表現力が特徴。さらに演技が巧いことが、今回の公演で立証された。ニューヨークタイムズやOperaWire誌の公演評でも、シュエンの声と演技が絶賛されていた。
さて、その結末は? 曲の冒頭でレポレロが語る「死んだのは、じいさん? それともダンナ?」の言葉を重視したアイクの演出は、「地獄落ちしたドン・ジョヴァンニが老いた騎士長として蘇る」というもの。騎士長=ドン・ジョヴァンニという解釈なのだ!!

『ドン・ジョヴァンニ』
曲の冒頭場面。ドン・ジョヴァンニは騎士長を殺していない
Photo: Festival d'Aix-en-Provence 2025 / Monika Rittershaus

リゾート地の音楽祭で多彩なオペラを堪能

その他の公演もちょっとご報告。シャルパンティエの『ルイーズ』も目玉公演で、演出はクリストフ・ロイ。アリア「その日から」が有名だが、そのままやると、若者のよくある陳腐なラブストーリー。ロイの解釈は父がルイーズに近親相姦的感情を抱き、結局ルイーズは精神を病む、あるいは中絶手術を受けて? 終わるという現代にも通用するミステリアスな舞台に仕上げた。バロック・オペラ、カヴァッリの『ラ・カリスト』も大好評。古典的な美しい衣裳に身を包んだ歌手たちが、ギリシャ神話の神々の恋愛沙汰を演じる。ジュピター(バリトン)が女性に変身して若い女性を口説き、古女房のジュノーに嫉妬されるという物語。曲は美しく、喜劇なので、会場は笑いに包まれた。

クリストフ・ロイ演出『ルイーズ』
Photo: Festival d'Aix-en-Provence 2025 / Monika Rittershaus
超人気のカウンターテナー、ヤコブ・ヨゼフ・オルリンスキ
Photo: Photo: Festival d'Aix-en-Provence

リサイタルではオルリンスキが圧巻。美しい高音となめらかなレガート、深い歌唱で聴衆を魅了。アンコールではお得意のブレイキンででんぐり返しを披露。カウフマン&ダムラウも、マーラーとR.シュトラウスのリートを二人が掛け合いで、ドラマ仕立てで歌うという趣向。アンコールでは、二人で踊りながら「ウィーン気質」の二重唱を歌い、会場は総立ちの拍手に包まれた。エクサン・プロヴァンスは、セザンヌが暮らした芸術の香り高いハイセンスな街。ロゼワインの産地で食事も美味しい。リゾート地でゆっくりオペラを堪能できる、贅沢な夏の音楽祭なのだ。

エクサン・プロヴァンス音楽祭の主要会場
大司教館劇場は半野外
Photo: Festival d'Aix-en-Provence / Vincent Beaume

取材・文:石戸谷結子(音楽評論家)

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演公式サイト

https://www.nbs.or.jp/stages/2025/wien/

公式サイトへ チケット購入

ウィーン国立歌劇場2025年日本公演
『フィガロの結婚』全4幕
『ばらの騎士』全3幕

公演日

W.A.モーツァルト作曲
『フィガロの結婚』全4幕

指揮:ベルトラン・ド・ビリー
演出:バリー・コスキー
10月5日(日)14:00 東京文化会館
10月7日(火)15:00 東京文化会館
10月9日(木)18:00 東京文化会館
10月11日(土)14:00 東京文化会館
10月12日(日)14:00 東京文化会館

[予定される主な出演者]
アルマヴィーヴァ伯爵:アンドレ・シュエン
伯爵夫人:ハンナ=エリザベット・ミュラー
スザンナ:イン・ファン
フィガロ:リッカルド・ファッシ
ケルビーノ:パトリツィア・ノルツ

演奏:ウィーン国立歌劇場管弦楽団

R.シュトラウス作曲
『ばらの騎士』全3幕

指揮:フィリップ・ジョルダン
演出:オットー・シェンク
10月20日(月)15:00 東京文化会館
10月22日(水)15:00 東京文化会館
10月24日(金)15:00 東京文化会館
10月26日(日)14:00 東京文化会館

[予定される主な出演者]
陸軍元帥ヴェルテンベルク侯爵夫人:カミラ・ニールンド
オックス男爵:ピーター・ローズ
オクタヴィアン:サマンサ・ハンキー
ファーニナル:アドリアン・エレート
ゾフィー:カタリナ・コンラディ

演奏:ウィーン国立歌劇場管弦楽団

入場料[税込]

―平日料金
S=¥79,000 A=¥69,000 B=¥55,000
C=¥44,000 D=¥36,000 E=¥26,000
サポーターシート=¥129,000(S席+寄付金¥50,000)
U39シート=¥19,000 U29シート=¥10,000 

―土日料金
S=¥82,000 A=¥72,000 B=¥58,000
C=¥47,000 D=¥39,000 E=¥29,000
サポーターシート=¥132,000(S席+寄付金¥50,000)
U39シート=¥21,000 U29シート=¥13,000