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NEW2021/09/15(水)Vol.430

第16回世界バレエフェスティバルを終えて(2)
2021/09/15(水)
2021年09月15日号
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バレエ
第16回世界バレエフェスティバル

第16回世界バレエフェスティバルを終えて(2)

ダンサーとして、アーティストとして、
コロナ禍の中で抱いた思い

〈第16回世界バレエフェスティバル〉に登場したダンサーたちの思いを紹介するシリーズ2回目。全ダンサーの言葉を紹介するため、当初の予定を超えて次号までの3回シリーズとなりました。コロナ禍ならではの一人ひとりの思いが語られています。

Photo: Carlos Quezada

エリサ・バデネス

世界最高峰のダンサーたちが集う〈世界バレエフェスティバル〉は素晴らしい場です。日本のお客さまにとって、そして参加する私たちダンサーにとっても特別なイベント。ダンサー仲間と知り合うことも嬉しく、このパンデミック下で開催されたことに心から感謝しています。多くのダンサーたちが、この機会を必要としていたはずです。日本に着いた時には、緊張と同時に、とても興奮しました。日本のファンの皆さんと2年ぶりに会えるのですから夢心地でした。

パンデミックは突然、私たちの生活を止めました。でも誰にとっても"止まる"ということは大事なことだと気づきました。私も、止まり、色々なことを考え、学び、成長できたと思います。

Photo: James Bort

ドロテ・ジルベール

〈世界バレエフェスティバル〉にはいつも驚かされます。長時間にわたる壮大な公演で、世界の卓越したダンサーたちの様々なパ・ド・ドゥを見るのは大きな刺激になります。パリ・オペラ座、フランスの代表として参加するのはプレッシャーも感じますが、それだけに光栄なことです。

すでに初日のレヴェランス(踊り終えたあとのお辞儀)で感動しました。客席はかなり埋まっていましたし、長い間、観客の前で踊ることができませんでしたから。パ・ド・ドゥを踊れることも嬉しいことでした。人と触れ合うことは大切です。特にこのパンデミック下で私はその必要性を感じてきました。今回、世界のダンサーたちから刺激を受け、良い時間を過ごせたことは、次のシーズンへの励みになると思います。

Photo: Lee Jae Cheon

キム・キミン

〈世界バレエフェスティバル〉の開催がどれほど難しいことだったか、観客もダンサーもよく分かっています。来日するのも皆大変でした。最終的に、こうして舞台でお互い交流することができ、何より観客の皆さんにお会いし、身体表現を通じて対話できたことを本当に嬉しく思っています。これからもこのように日本の皆さんと交流していきたいです。

パンデミックで分かったことは、人々は単に芸術を愛しているのではなく、芸術は必要なものだということ。バレエは必要なものなのだ、と。観客の皆さんは、公演がなくてさみしく思っていらっしゃったし、ダンサーももちろんそうです。舞台に立てない間、ダンサーも観客も、どれほどこのバレエという芸術を愛していたのかが分かりました。

 

エカテリーナ・クリサノワ

このフェスティバルは、世界中からダンサーが集結し、一体となってひとつの芸術を作り上げる、素晴らしいバレエの祭典です。ダンサーにとってとても大切な場所で、出演は名誉なことです。経験を分かち合い、経験を積むことができ、皆とふれあい、花束や温かさ、喜びで満たされて、何カ月も、何年も先まで充電されるように感じます。

今回、客席の皆さんはマスクをして、ブラボーと叫ぶことを控えないといけませんが、すべての思いを拍手に込めてくださり、皆さんのサポートの力と愛情をひしひしと感じています。お客さまが、私たちダンサーが舞台で繰り広げる物語の中に入り込み、現実の心配事や悩みから少しの間でも離れられればいいなと願っています。

Photo: James Bort / OnP

ユーゴ・マルシャン

今回が初参加ですが、とても光栄です。様々なダンサーとの出会い、彼らのテクニック、ダンスに対する取り組み方を知ることができ、感動し、幸せを感じています。舞台上の演技のみならず、朝のクラスレッスンから大いに刺激を受けます。ロシアスタイル、アメリカスタイル、ヨーロッパスタイル、様々なスタイルから、お互い学ぶことが沢山あり、豊かになれます。

出発直前まで、本当に公演が行われるのか分かりませんでしたし、少し不安もありましたが、東京でかけがえのない時を過ごせました。気持ちを新たに、パリに戻ることができます。新しいインスピレーションのおかげで、来シーズンはこれまでと違う方法で自分の踊りを深めていくことができると思います。

Photo: NYC Dance Project

ダニール・シムキン

ベルリンでは踊っていましたが、他のダンサー同様、海外にはほとんど行けませんでしたから、今回のフェスティバルは素晴らしい逃避行のようです。意義深いもの、より大きな絵を描いているような感じです。5回目の参加ですが、今回も東京に来られたことは本当に嬉しいことです。

3年ごとに、同じ劇場で、おなじみのお客さまに向けて披露するので、環境は変わらないようにも見えるのですが、参加する僕たちは変化している。人として、ダンサーとして。〈世界バレエフェスティバル〉は毎回、どれだけ変化してきたかを自己分析させてくれます。この変化の旅は、芸術家にとって美しい経験です。このフェスティバルは僕にとって、素晴らしい贈り物です。

Photo: Charles Thompson

オリガ・スミルノワ

今回は難しい状況下で、隔離期間もありました。NBSの皆さまは、外に出られない私たちの生活を少しでも楽しくて快適なものにしようと努力してくださり、舞台に集中できる環境を作ってくださいました。大変なことも全部、無事に乗り越えられました。

劇場芸術は、ダンサーと観客にとって、これまでにないほど必要だと感じています。このフェスティバルを開催し続け、ダンサーがそこに出演しているということは、もうすぐこの難しい状況も終わるのではないかと思わせてくれます。以前のように普通に舞台に立って、マスクや病気のこと、「感染するかもしれない」という心配も忘れることができるのではないか、と。〈世界バレエフェスティバル〉がダンサーと観客の双方に素晴らしいインスピレーションを与えてくれたように感じています。

Photo: Kiran West

アレクサンドル・トルーシュ

参加させていただきとても光栄です。バレエ界では有名なフェスティバルですし、僕自身、〈世界バレエフェスティバル〉の写真やビデオを見て育ちました。異なる才能やダンススタイルが一堂に集う、唯一無二の場です。世界中の人にとり大変な1年でしたが、その間に練習してきたことの一部を皆さんにお届けすることも、楽しみにしていました。

ハンブルク出発まで、感染症に対する恐怖はあったものの、ダンサーたちとの新たな出会いに緊張しつつ、とても楽しみしていました。来てみると、皆さん親切で、ハイレベルのダンサーたちと踊ることは大きな励みになりました。日本の皆さんからの大歓迎は、今の状況ではとりわけ特別なことです。普通とは異なる、素晴らしい経験となりました。

第16回世界バレエフェスティバルを終えて(1)はこちらから
https://www.nbs.or.jp/webmagazine/special/wbf/20210901-04.html

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