7月27日、ミラノ・スカラ座は異例の記者会見を行いました。ミラノ・スカラ座のシーズンは通常12月7日から翌年7月までですが、今年はコロナ禍により春にシーズン中断となったことは周知のところ。
この記者会見では、未曽有の状況において先を見通すことが困難なため、まずは9月から11月までの秋のシーズンを開催することが発表されました。
最初に理事長であるミラノ市長が発言し、スカラ座は常にミラノの町の象徴であることを念頭に、慎重に討議して開幕を積極的に推進したと述べました。
ヴェルディの「レクイエム」をドゥオモで演奏した後、17,000人もの死者が出たベルガモとブレーシャでも公演を行い、死者の冥福を祈るとともに悲しみにくれる家族への慰めになるようにと考えたとのことです。
また今年はベートーヴェンの生誕250年祭の行事が実現不能になっていましたが、交響曲第9番の演奏が行われることも発表されました。
「スカラ座は今までも子どもや若者に対して色々な企画や施策を行ってきたが、家から出られず長い期間犠牲を強いられた子どもたちにも、音楽に接する機会を積極的に作ってくれていることに感謝したい」とスカラ座の社会的貢献への謝辞で結びました。
理事長の発言の後、新しく総裁に就任したドミニク・マイヤーが、スカラ座は2月末からの閉鎖でチケット収入である2,300万ユーロを失ったこと、劇場再開後もソーシャルディスタンスの厳しい規則を守っていかなければならないなど、厳しい状況にあることを語り、続いて秋のシーズン・プログラムについての紹介へ。
「9月4日にドゥオモで演奏されるヴェルディ「レクイエム」は、入場制限があるため、市内のいくつかの教会にも大型スクリーンを設置して中継し、RAI(イタリア放送協会)の協力によりテレビでも放送されます。そして9月12日にはベートーヴェンの「第九」でシーズンが開幕します。このコンサートは全国の医療従事者に捧げるものです。
また、今年は予定されていた日本公演が中止を余儀なくされましたが、契約していた歌手たちに対する責任を果たすことを考えて、コンサート形式でズービン・メータ指揮『椿姫』、シャイー音楽監督指揮『アイーダ』を上演することにしました。メータからは、私のウィーン国立歌劇場総裁在任の最後の演目がキャンセルになってしまったけれど、スカラ座総裁としての最初のオペラが一緒にできて嬉しいという言葉をもらっています」
ここでマイヤー総裁は『アイーダ』にもまたニュースがあるので」と音楽監督リッカルド・シャイーにマイクを渡しました。
スカラ座は今なお厳しい状況にあることとともに、
秋のシーズン・プログラムを紹介するドミニク・マイヤー総裁
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