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ローランド・ヴィラゾン ビデオメッセージ
現在、ロイヤル・オペラ・ハウスで上演中の「ドン・ジョヴァンニ」に、ドン・オッターヴィオ役で出演中の、ローランド・ヴィラゾンから、メッセージが届きました。
ヴィラゾンは、カスパー・ホルテンの演出によるこのプロダクションの魅力を、指揮者のアントニオ・パッパーノがいかに優れた指揮者であるか、日本の観客に再び会えることをどれほどこころ待ちにしているかを、身振り手振りを交えながら、熱く語っています。
ヴィラゾンのこの心のこもったビデオメッセージをご覧いただくと、日本公演への期待がきっと高まります!ぜひご覧になってください。
「ドン・ジョヴァンニ」ロンドンで再演開幕!
ドン・オッターヴィオ(ヴィラゾン)、ドンナ・アンナ(シャギムラトヴァ)
6月12日、ロンドンで〈ドン・ジョヴァンニ〉の再演が始まりました。2014年の初演以来、最初の再演となった今回は、秋の日本公演に登場するキャストも登場し、準備万端といったところです。
今回が舞台でこの役を演じるのは初めてとなったドン・オッターヴィオ役のローランド・ヴィラゾンは、持ち味の甘い歌声と愛する人への苦悩の表現を存分に披露。そのドン・オッターヴィオの婚約者ドンナ・アンナ役のアルビナ・シャギムラトヴァも、豊かな声によるドラマチックな歌唱に絶賛が寄せられています。
また、新星ユリア・レージネヴァは、写真でもご覧いただけるように、期待通りのみずみずしいツェルリーナです。
photo:ROH/Bill Cooper
マエストロ・パッパーノ、"グラモフォン・ホール・オブ・フェイム"殿堂入り!
英国ロイヤル・オペラ 「ドン・ジョヴァンニ」騎士長役決定、「マクベス」マクダフ役変更のお知らせ
英国ロイヤル・オペラ「ドン・ジョヴァンニ」の騎士長役は、このたびライモンド・アチェトに決まりましたのでお知らせいたします。また、「マクベス」のマクダフ役は、歌劇場の都合によりテオドール・イリンカイに変更になりました。以上、なにとぞご了承のほどお願い申し上げます。
「ドン・ジョヴァンニ」
■ 騎士長役
→ ライモンド・アチェト
「マクベス」
■ マクダフ役
ディミトリ・ピッタス → テオドール・イリンカイ(変更)
公益財団法人日本舞台芸術振興会
テオドール・イリンカイ [マクダフ] テノール
1983年ルーマニア生まれ。2006年ブカレスト国立オペラで歌手としてのキャリアを開始。国際的なデビューとなったのは2009年のハンブルク州立歌劇場での『マクベス』のマクダフ役だった。同年にはウィーン国立歌劇場に『ナブッコ』のイズマエーレを歌ってデビューした。以後、英国ロイヤル・オペラとライン・ドイツ・オペラでの『ボエーム』のロドルフォ、ストラスブールのライン国立劇場での『友人フリッツ』のフリッツ、サンチャゴでのグノー作曲『ロメオとジュリエット』のロメオ、ベルリン・ドイツ・オペラでの『ファウスト』のタイトルロール、トゥールーズ、ハンブルク、ブタペスト、パリ・オペラ座での『蝶々夫人』のピンカートン、マドリッドのテアトロ・レアルでの『椿姫』のアルフレードなどを歌い、成功をおさめている。
『マクベス』のマクダフ役は、彼の実力を示す最初のレパートリーとなったものであり、当たり役の一つといえるもの。第4幕で、マクベスによって妻子を失ったマクダフが深い哀しみを歌う「ああ、父の手は」は、テノールの魅力がドラマチックな効果を盛り上げる場面。イリンカイの本領発揮が期待される。
リュドミラ・モナスティルスカ "ザルツブルク復活祭音楽祭"でも大反響!
ヨーロッパの春の一大フェスティバル、カラヤンが創設した"ザルツブルク復活祭音楽祭"で、クリスティアン・ティーレマンが率いる2015年度のハイライトがマスカーニ『カヴァレリア・ルスティカーナ』&レオンカヴァッロ『道化師』だった。このダブル・ビルを一人で歌い通したヨナス・カウフマンに焦点を当てたプロダクションではあったのだが、ここでひときわ話題を集めたのがリュドミラ・モナスティルスカだ。前者のサントゥッツァが彼女の役柄で、通常メゾソプラノに割り振られる役柄をソプラノの彼女が歌って大反響を起こしているのには、それなりの理由がある。
ザルツブルク復活祭音楽祭『カヴァレリア・ルスティカーナ』
アンブロージオ・マエストリ(アルフィオ、中央)、の右がモナスティルスカ(サントゥッツァ)
Photo: Andreas J. Hirsch
ウクライナ出身のモナスティルスカは強靭な声帯から発せられる豊麗な声と同時に、リリコからスピントの役柄までをカヴァーできる卓越したテクニックと、ゆたかな表現力で近年急速に評価が上がっている歌手だ。加えて充実した低音域をあわせ持つことから、今回のサントゥッツァで予想を越える成果をあげ、彼女のキャパシティの大きさが証明されることになった。愛と嫉妬がせめぎ合うシチリア女の情念を、あますところなくステージに反映させて、ザルツブルク祝祭大劇場で絶賛の嵐を巻き起こしたのだ。このときは、ティーレマンが彼女をヴェルディ「レクイエム」にも起用していることを付記しておこう。
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9月に予定されている"英国ロイヤル・オペラ"日本公演の『マクベス』で、モナスティルスカがマクベス夫人役に起用されているのは、じつに当を得たロイヤル・オペラ側のキャスティングだ。ヴェルディ初期の作品では、往々にしてドラマティックな重い声で敏捷(びんしょう)なコロラテューラ楽句を歌わなければならない至難な、いわゆるアジリタ技法がソプラノに要求されていて、なかでもマクベス夫人役は、その最たるものなのだ。このため同役を十全に歌うことができる歌手がほとんど居ないのが現状だが、やはりヴェルディによる同趣向の作品である『ナブッコ』のアビガイッレや『アッティラ』のオダベッラをロンドンやベルリン他で歌って、現在、この領域における第一人者としての評価を確立しているモナスティルスカこそマクベス夫人には最適であり、期待が膨らむ一方だ。
ソプラノのレパートリー中、歌唱力、表現力ともに大きなスケールが問われる『アイーダ』やプッチーニ『トスカ』をも、すでにスカラ座やメトロポリタン・オペラで成功させているモナスティルスカだから、ついにウィーンも陥落。16年3月に『アイーダ』でのデビューが決定して、モナスティルスカの世界制覇達成だ !!
(山崎 睦 在ウィーン、音楽ジャーナリスト)