−第1幕−
 あるときドナウ川上流の岸辺で発見され、村人の養女として育ったフルール・デ・シャン。彼女は、村の領主である男爵の従者、ルドルフと恋仲で、ドナウ川の女王も二人を祝福している。
 ある日、男爵が「村でもっとも美しい娘を妻に娶る」とお触れをだす。自慢の娘が選ばれるかもしれないという養母の期待をよそに、フルール・デ・シャンはルドルフに「お城では足を引きずり、ぎくしゃくとした物腰で、けっして自分が選ばれないようにする」と彼を安心させる。
 領主の花嫁選びの日。村の若い娘全員が城を訪れ、フルール・デ・シャンも足を引きずって同行する。しかし男爵は彼女のそんな姿にかえって心を動かされ、花嫁にと望む。側に控えるルドルフがあわてて自分たちの仲を告げると、男爵は反逆罪で捕らえるよう命じる。絶望したフルール・デ・シャンはバルコニーに駆け寄り、ドナウ川に身を投げる。

−第2幕−
 恋人が水面に消えるのを目撃したルドルフは正気を失い、男爵や護衛たちを振り切って、自らもドナウ川に身を投げる。男爵は二重の悲劇を嘆く。
 ドナウ川の川底。そこにはドナウ川の女王と水の精たち、そしてフルール・デ・シャンがいる。水の精たちに囲まれたルドルフは、女王から「ベールを被った彼女たちの中からフルール・デ・シャンを見つけられれば、二人とも地上に返してあげよう」と言われる。ルドルフは愛によってこの挑戦を成功させ、ふたりは共に水面に昇る。