ローレンス・オリヴィエ賞受賞! イングリッシュ・ナショナル・バレエ『海賊』 メドーラ、ギュルナーラの両役で大活躍期待の新進プリンシパル ローレッタ・サマースケールズ インタビュー Laurretta Summerscales

photo:Laurent Liotardo

メドーラ役を踊るローレッタ・サマースケールズ。パートナーはブルックリン・マック。

 先日のローレンス・オリヴィエ賞で、2017年度ダンス部門の業績賞を受賞し、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのイングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)。今英国で最も注目を集めているバレエ団で、芸術監督タマラ・ロホが「力強い踊りで圧倒的な存在感を放つダンサー」と評し絶対の信頼を寄せる若きプリンシパルが、ローレッタ・サマースケールズだ。モデルとして雑誌の表紙を飾るほどの美貌を持ちながら、親しみやすくオープンな性格の26歳は、まさに“イングリッシュ・ローズ”(自然体で知性と気品に溢れる、英国の美しい女性を形容する言葉)という表現がぴったりの、バレエ団唯一の英国人プリンシパル。英国バレエ界が十代の頃から注目してきた逸材に、今回の日本公演に向けて話を訊いた。

── 昨年1月、『海賊』カーテンコール終了後のプリンシパル昇進発表は、お誕生日だったということもあって本当にドラマティックでしたね。念願のプリンシパルになって、何か変わりましたか。

サマースケールズ● はい、自分自身の中で変化を感じています。プリンシパルになることは3歳からの目標だったので、それまでは常に、「自分がプリンシパルにふさわしいダンサーだと証明しなければ」というプレッシャーの中で踊ってきたのですが、それが叶ってやっと、何かを手に入れるためではなく、他でもない自分自身のために踊れるようになり、踊る喜びをより感じられるようになりました。

── アンナ=マリー・ホームズ版『海賊』の魅力を教えてください。

サマースケールズ●ボブ・リングウッドのデザインはもちろん、音楽も素晴らしいですし、何より展開が早くて鑑賞しやすい点も魅力です。以前バレエ団のスタッフが「何度観ても飽きない!」と言っていましたが、これはタマラにとって最高の賛辞じゃないかしら。無駄に長すぎることがなく、楽しくて、見所満載、いわば大好物ばかりを集めた3コースディナーみたいなバレエだと思います!

── 昨年夏のパリ・オペラ座ガルニエ宮での公演も大成功だったと聞いています。

サマースケールズ● 言葉にできないほど素晴らしい体験でした。私はあまり過去を振り返るタイプではないのですが、あのオペラ座ガルニエ宮でメドーラ役を踊ったことで、何者でもなかった自分が成し遂げたことや、これまでの努力を、ようやく少し認めてもいいように思えたんです。あの時ばかりは、「今、この瞬間を楽しまなければ!」と思いましたね。作品もカンパニーも、美しい舞台で最高に輝くことができたと思います。

──メドーラ役は今やあなたの十八番といってもいい役です。どのようなアプローチでこの役に取り組まれていますか。

サマースケールズ● この役は、自信たっぷりでお高くとまった女性として演じることもできると思うのですが、個人的に他人を見下している人が苦手なので(笑)、私はむしろ、特に1幕では、茶目っ気のある魅惑的な女性をイメージして踊っています。そして2幕では、ただただ美しい音楽に身を任せます。あの有名なパ・ド・トロワの音楽が、何をすべきか全て教えてくれますから。中でも私が一番好きなのは、ロマンティックな寝室のパ・ド・ドゥです。大技リフトの連続で、日本のお客様にもきっと気に入っていただけると思います!

──ENBの魅力は、どんなところにあると思いますか。

サマースケールズ● ENBは、若さ溢れる、フレッシュなカンパニーです。次々と画期的なアイデアを実現し、あらゆる境界を軽々と超えていくことで、今や他のバレエ団の一歩先をいくトレンドセッター的存在になったといってもいいと思います。バレエ団内の雰囲気も団員の態度も、全てがポジティブでパワフル。「よし、やってやろう!それも、とびきり上等に!」といった感じの、いいエネルギーに満ち満ちています。

── 最後に、日本公演への意気込みをお聞かせください。

サマースケールズ● 日本へ行くのは初めてなので、今からとてもワクワクしています!特に日本の観客の皆さんの反応がとても楽しみです。目の肥えたお客様のいる日本で踊るということは、一流のダンサーであることの証、と思ってきましたが、それが実現することになって本当に嬉しいです。皆さんに最高のパフォーマンスをお届けし、楽しんでいただけたらと思っています。          

2017年日本公演
イングリッシュ・ナショナル・バレエ

『コッペリア』

【公演日】

2017年
7月8日(土)1:00p.m.
7月8日(土)6:00p.m.
7月9日(日)2:00p.m.

会場:東京文化会館

【予定される主な配役】

  • スワニルダ
  • :アリーナ・コジョカル(7/8昼)
    :タマラ・ロホ(7/8夜)
    :高橋絵里奈(7/9)
  • フランツ
  • :セザール・コラレス(7/8昼)
    :イサック・エルナンデス(7/8夜)
    :ヨナ・アコスタ(7/9)

『海賊』

【公演日】

2017年
7月14日(金)6:30p.m.
7月15日(土)2:00p.m.
7月16日(日)2:00p.m.
7月17日(月・祝)2:00p.m.

会場:東京文化会館

【予定される主な配役】

  • メドーラ:
  • :タマラ・ロホ(7/14,16)
    :ローレッタ・サマースケールズ(7/15)
    :アリーナ・コジョカル(7/17)
  • コンラッド:
  • :イサック・エルナンデス(7/14,16)
    :ブルックリン・マック(7/15)
    :オシエル・グネオ(7/17)
  • アリ:
  • :セザール・コラレス(7/14,16,17)
    :オシエル・グネオ(7/15)
  • ギュルナーラ:
  • :ローレッタ・サマースケールズ(7/14,17)
    :金原里奈(7/15)
    :カーチャ・カニューコワ(7/16)

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

【入場料[税込]】

S=¥20,000 A=¥18,000 B=¥16,000 C=¥13,000 D=¥10,000 E=¥7,000
エコノミー券=¥5,000 学生券=¥3,000

*エコノミー券はイープラスのみで、学生券はNBS WEBチケットのみで6月2日(金)より受付。
★ペア割引(S,A,B席)あり ★親子ペア券(S,A,B席)あり
*表記のキャストは2016年12月19日現在の予定です。カンパニーの都合、出演者の怪我や病気などにより変更になる場合があります。

【その他の公演】

7月20日(木) 「コッペリア」 名古屋・愛知県芸術劇場大ホール[TEL.052-241-8118]