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2019/07/01 2019:07:01:12:00:00

英国ロイヤル・オペラ2019年日本公演「オテロ」主演 グレゴリー・クンデの魅力

2019年、クンデ絶好調!

本年9月に来日する英国ロイヤル・オペラ。今回の日本公演ではヴェルディ晩年の傑作『オテロ』を上演します。注目の主演は昨年のローマ歌劇場『マノン・レスコー』の熱演も記憶に新しいグレゴリー・クンデ。ドラマティック・テノールの第一人者として、世界中から引っ張りだこのクンデが、近年各地で大成功を収めているオテロ役で日本に帰ってきます。

2019年のクンデのスケジュールをみてみると...
1月にウィーン国立歌劇場「アンドレア・シェニエ」主演に続き、1月から4月にかけて、パリ・オペラ座をはじめ、フランス、イタリア、モナコなど各地で立て続けに「オテロ」主演。3月にはメトロポリタン・オペラ「サムソンとデリラ」プレミエに主演し成功をおさめました。

Tenor Gregory Kunde Proves a Hero in Every Sense of the Word in the Met's 'Samson'
(グレゴリー・クンデは、METの「サムソン」においてあらゆる意味で英雄であることを証明した)
 - ニューヨーク・オブザーバー誌 / James Jprden記者

5月にはダラスで「マノン・レスコー」、ボローニャで「トゥーランドット」、シーズンの最後はウィーン国立歌劇場「アイーダ」と、文字通り世界中の歌劇場で活躍しています。特に「オテロ」役は日本を含めて今年だけで世界5か所で歌う予定になっており、文字通り「オテロ」役の第一人者といえる活躍ぶりです。

クンデって何がすごいの?

クンデがなぜ世界のトップで活躍できるのか? なにが他のテノール歌手と違うのか? その秘密に迫りました!

英国ロイヤル・オペラ「オテロ」より

◆ クンデのここがスゴイ!-①レパートリーの広さ

最初はロッシーニなどの"軽い声"の役からキャリアをはじめたクンデですが、少しずつ声を成熟させ、2012年に満を持してヴェルディの「オテロ」役デビューを飾り、大成功をおさめました。以後は「アイーダ」、「トゥーランドット」などのいわゆる"重量級"の役もレパートリーに加わり、さらに元々得意としているフランス・オペラやベルカント・オペラの上演でも欠かせない歌手の1人として主演をつとめ、現在は幅広い作品で活躍しています。

◆ クンデのここがスゴイ!-②知性派テノール

人の声は年齢とともに変化していきますので、テノールだからといって、全てのオペラのテノール役が歌えるわけではありません。ましてや、オペラは生の声で大編成のオーケストラとともに歌う、喉にとって非常に過酷な芸術。オペラ歌手の最も声が出る時期は30~40代とも言われていますが、その時期に自分の声に合わないレパートリーを歌ったり、無理なスケジュールで歌いすぎて喉を壊してしまったり、若くして舞台から消えてしまう歌手も少なくありません。ですがクンデは自分の声を見極め、その時期最適な役に絞って歌ってきたため、結果として幅広いレパートリーを手にし、全盛期の素晴らしい声を今も保っているのです。

◆ クンデのここがスゴイ!-③衰え知らずの力強い美声

昨年のローマ歌劇場の『マノン・レスコー』をお聴きになった方は、クンデの65歳とは思えぬほどのハリと輝きのある声に驚かれたのではないでしょうか? 歌手にとって負担の大きいハードな作品でも、クンデは終盤まで全く崩れることなく歌いきっています。そして、クンデはいまだに"ハイC"のような高音も完璧に出すことができます。これは同じ年代、または彼より若い年齢の歌手を見渡したときに、同じような例が中々見つからないくらい驚異的なことなのです。

クンデの素晴らしさを語る言葉は尽きませんが、オペラはやはり劇場で体験する芸術。歌劇王ヴェルディの最高傑作とそれを彩る歌手たちの競演、現代屈指の名指揮者パッパーノの奏でる圧倒的なオーケストラと合唱の魅力にどうぞご期待ください。