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2025/10/03 2025:10:03:19:30:00

【レポート】ウィーン国立歌劇場2025年日本公演、開幕記者会見

105()に開幕するウィーン国立歌劇場2025年日本公演。総勢350名が約一か月にわたって日本に滞在するという今年一番の大型公演の初日まであと3日とせまった102()、主な出演者をむかえての開幕記者会見が行われました。


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まさに最強のプログラム


 会見に登場したのは『フィガロの結婚』を指揮するベルトラン・ド・ビリーをはじめ、主要歌手4名、ボグダン・ロシチッチ(ウィーン国立歌劇場総裁)、髙橋典夫([公財]日本舞台芸術振興会 専務理事)7名。

まずは主催者として髙橋が「日本公演は実に9年ぶり。2021年に予定していた公演がコロナ禍で延期になり、ようやく実現させることができました。これまでウィーン国立歌劇場は10回もの日本公演を行っていますが、『フィガロの結婚』は過去に5回上演されています。日本の観客にそれだけ愛されていることの現れだと思います。『ばらの騎士』は1994年にカルロス・クライバーが指揮した伝説的な名演から、ウィーンといえば『ばらの騎士』、というイメージをお持ちのお客様も多く、まさに最強のプログラムではないかと思います。」と演目への手ごたえを語ったのち、東京文化会館改修前最後の大型引っ越し公演になること、都内の劇場不足や円安による引っ越し公演の窮状を訴えました。


続いては劇場を代表し、ロシチッチ総裁が日本公演の意義を強調しました。

1980年から10回目の日本公演を迎えます。オペラという何世紀にもわたる芸術において、このことは大変意義深いことです。シラーの名言に「劇場の素晴らしさはそれを同時に多くの人が分かち合えること」という言葉があります。聴衆が経験することが何百倍にもなって私たちにかえってくるのです。モーツァルトの『フィガロの結婚』はウィーンの宮廷で生まれたオペラですが、それが20世紀のウィーン国立歌劇場を代表する演目になっています。その作品が遠く離れた日本で親しみ深く聴いていただけることはとても力強く感動的な出来事ではないでしょうか。」と文豪の言葉を引用しつつ言葉続けます。


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ボグダン・ロシチッチ(ウィーン国立歌劇場総裁)


新しいものと伝統、2つのバランスを絶妙に保つことこそ、劇場がすべきこと


「バリー・コスキー演出の『フィガロの結婚』。コスキーは欧州で大人気の演出家で、ダ・ポンテ三部作すべてをウィーンで演出しました。『ばらの騎士』はオットー・シェンクの演出。シェンクは当劇場に大きな足跡を残した人物です。この2人の演出家には共通項があります。それは劇場に対する深い愛情です。2人とも鋭い視線をもっており、人間の魂、全てのものへの深い洞察力を感じます。」とそれぞれの演目を演出面から語ったのち「新しいものと伝統、2つのバランスを絶妙に保つことこそ、劇場がすべきことではないでしょうか?私どもの劇場の歴史は長く、押しつぶされそうなほどに大きいと感じることもあります。だからこそ新しいものにも目を向け、あらゆる聴衆に、新たな世代に扉をひらく劇場でありたいと思っています。実はその第一歩としてノイエ・シュターツオーパー(新しい国立歌劇場)を創りました。小さなブラックボックスのような劇場で、音響がとても素晴らしく、子どもからファミリー層まで様々なプログラムができます。新しい聴衆を伝統に取り込みながら、その伝統を東京で披露できることを嬉しく思います。」と劇場の新たな取り組みを紹介しました。


続いては昨年12月にウィーン国立歌劇場名誉会員に任命された名匠ベルトラン・ド・ビリーを筆頭に、出演者たちが順番に言葉を紡ぎました。


ベルトラン・ド・ビリー(指揮者)

「ボーマルシェの原作は大変スキャンダラスなものではありましたが、モーツァルトはこの戯曲をウィーンにもっていきたかったのです。ただ、そのままでは上演ができず政治的な部分はカットせざるをえませんでした。しかしそれらは全て音楽に含まれています。このオペラは表層だけではなく、深いものがこめられています。一部の独裁者への批判、現代への皮肉が込められていると感じます。」

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ベルトラン・ド・ビリー(指揮者)


ハンナ=エリザベット・ミュラー(アルマヴィーヴァ伯爵夫人)

「モーツァルトはこの役に最も美しい音楽を与えました。伯爵夫人は高貴な女性で気品にあふれていますが、自らの感情にも正直な多様性を含んだ人物。演出のコスキーは音楽だけでなく台詞やタイミングを熟知し、全てが的を射ている完璧な状況をつくりました。私たち歌手にとってはこれらすべてをこなすのは大きなチャレンジでもあります。」

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ハンナ=エリザベット・ミュラー(アルマヴィーヴァ伯爵夫人)


カタリナ・コンラディ(スザンナ役)

「幸運なことに『フィガロの結婚』にも出演できることになりました。スザンナは300年前の人物とは思えないほど現代的で、舞台上全ての登場人物に影響を与えてしまいます。2年前にもウィーンでこの舞台に出演しましたが最高の演出です。ウィーン国立歌劇場という全てがハイレベルな環境で歌えることも非常に楽しみです。」

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カタリナ・コンラディ(スザンナ役)

リッカルド・ファッシ(フィガロ役)

("はじめまして、リッカルドと申します"、とキレイな日本語で挨拶したのち)「フィガロは大好きな役です。作品冒頭の喜びに溢れる場面から落ち込んだ気持ちまで、ジェットコースターのような感情の起伏を味わうことができます。歌手として本当にやりがいのある役です。緊張感を保ちつつ、マエストロと良い音楽を創り上げていきたいと思います。」

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リッカルド・ファッシ(フィガロ役)


パトリツィア・ノルツ(ケルビーノ役)

「ケルビーノは常にカオスをもたらします。モーツァルトの音楽はとても美しく、極端な部分もあり、まるでジェットコースターにのっているようですね。演出家のコスキーはとてもクレイジーな人()。歌手にとっては演じるのがとても大変ですが、この作品の持つ楽しさから悲劇性まで表層的ではない深い部分まで引き出してくれます。」

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パトリツィア・ノルツ(ケルビーノ役)


最後に質疑応答がかわされ、「劇場での経験というのは"人生とは何か?"という、究極の問いへの答えが模索できるのではないでしょうか? 国立歌劇場、というのは国のためではありません。このような芸術活動というのは国が支えるしかない、そうでなければ税金を払っている方すべてに最高のものを提供することはできない。だからこそ「国立」という名称がついていると私は信じています。」と、ロシチッチ総裁の強い矜持を感じさせる言葉で会見をしめくくりました。

 東京文化会館改修前、最後の大型引っ越し公演の開幕までもうすぐです。

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photo Yuji Namba


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