オーストラリア・バレエ団 2010年日本公演
マーフィー版「白鳥の湖」全4幕
マーフィー版「くるみ割り人形」—クララの物語 全2幕
熱烈リクエストにお応えして、再演決定!
マーフィー版 「白鳥の湖」 全4幕 Swan Lake
熱烈リクエストにお応えして、再演決定! 華やかなロイヤル・ウェディングの陰で、 プリンセスの涙から悲しみの湖が生まれた・・・。
3年前の来日公演で、新鮮な衝撃と感動をもたらして喝采を浴びた、あの「白鳥の湖」が再び戻ってきます! 美しい湖をのぞむ王国で、華やかに執り行われているロイヤル・ウェディング。純白のドレスをひるがえしてワルツを踊る新婦オデットと洗練されたタキシード姿の王子ジークフリート。しかし、一見輝かしく幸福な祝宴のなかで、しだいに存在感を増していく黒衣の男爵夫人。・・・それは結婚前夜まで逢瀬を重ねていた王子の愛人! 古典バレエのヒロインであるオデットを、かつて全世界に衝撃を与えた英国王室の故ダイアナ元妃と重ね合わせ、おとぎ話を現代人の物語としてみごとに蘇らせたのが、グレアム・マーフィー版の本作。3人の愛憎関係と心理を絶妙に描きだすパ・ド・トロワ、ハンガリー人の男爵夫人の激しい情熱を表現するチャルダッシュ、前傾した円台上で幻想的な美を見せる白鳥たちの群舞、黒一色のファッショナブルな夜会に表れる純白のドレスのオデット──数々の魅力的な演出と振付が、見る者を息つく間もなく物語へと引き込みます。 スキャンダルの本家・英国で、保守的なことで知られる批評家たちから異例の絶賛を浴び、ここ日本でもバレエを超えた広い関心と高評を集めた、かつてないほど刺激的でドラマティックな舞台が、あなたを待っています!
王室の結婚 悲痛に描く -2007年7月27日 朝日新聞- 「白鳥の湖」には多くの独創的な改訂版があるが、オーストラリア・バレエ団が上演したグレアム・マーフィー版は巧緻な振り付けで王室の結婚の痛ましい心理を描いている。 結婚式を控えた王子(ロバート・カラン)には人妻の愛人がいた。華やかなロイヤル・ウェディングの第1幕では、新婦オデット(マドレーヌ・イーストー)が純白の長い裳裾(もすそ)をひるがえして、王子とワルツを踊り始め、そこへ軍服の男性やファッショナブルな貴婦人たちが加わる。美しいワルツの曲想が生かされて、舞台がおおいに盛り上がった。 次第に存在感をあらわにする愛人ロットバルト男爵夫人(ルシンダ・ダン)と新婚カップルによるパ・ド・トロワはテクニックや演出も工夫に富み、3人の心理の綾(あや)が手に取るように伝わる優れた振り付けだ。 プティパ版では第3幕の「黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ」に使われる曲が2人の深まる亀裂を描き、不安にかられたオデットは居並ぶ男たちと接触して王子の気を引く。 病んで入院したオデットを王子が見舞う第2幕。しばしの心の安らぎを表現するのが湖の白鳥の群れである。舞台奥、前に傾く円形の台の上に白鳥たちがまどろみ、現実と隔絶した世界を象徴する。プティパを下敷きにした斬新な振り付けが、随所にユーモアもあっておもしろい。 第3幕はロットバルト男爵夫人主催の夜会である。シックな黒のドレスが集う中に突然、純白のオデットが現れる。プティパ版の黒鳥と白鳥の逆転の妙。王子にオデットへ愛が生まれ、3者の関係が逆転する。が、彼女は病院=湖へと連れ去られる。 後と追った王子がオデットの白いドレスを脱がせると、現れたのは濃灰色の鳥。いっぽう男爵夫人も駆けつけ、3人は激しく入り乱れ、絶望したオデットは湖に身を投げる。 音楽の悲痛なニュアンスが胸に響き、劇的な展開にハラハラし通し。 11年ぶりのオーストラリア・バレエ団は技術、表現ともに見違えるほどレベルアップしていた。 (佐々木涼子・舞踊評論家) オデット:マドレーヌ・イーストー 王子:ロバート・カラン