巨匠ベジャールの傑作・遺作と、芸術監督ジル・ロマンの鋭気溢れる新作。 新生BBLが総力をあげて取り組む、渾身のパフォーマンス!
モーリス・ベジャール・バレエ団 2010年日本公演
Béjart Ballet Lausanne

Story

ベジャール初期、壮年期の輝かしい名作と、芸術監督ロマンの鋭気溢れる新作を一挙上演!

二つめのプログラムでは、モーリス・ベジャールの遺産と精神を守る決意を固めながら、未来に向けて前進するべくジル・ロマンのもとで新たなスタートを切った、新生ベジャール・バレエ団を象徴する3作品を上演します。 「アリア」は、ベジャール亡きあとのカンパニーを率いるジル・ロマンが世に問うた新作。ギリシャ神話のテセウスとケンタウロスの物語に象徴させながら、人間の内なる闘いと自己の統合へとつづく希望を、エネルギッシュなダンスで描きます。BBL再出発までの奮闘をとらえたドキュメンタリー映画「ベジャール、そしてバレエは続く」でもリハーサルが紹介された話題作が、いよいよ日本で初演を迎えます。 「火の鳥」はベジャールが自作のなかの"黄金プログラム"に含めて語っていた代表作の一つ。20世紀初頭、バレエ・リュスによって初演された同名作から、敬愛していたストラヴィンスキーの音楽にフォーカスして、そのエッセンスを見事にダンスで表現した壮年期の傑作です。「3人のソナタ」は、ベジャールが20世紀バレエ団を設立して一世を風靡するバレエパリにおける新進時代に発表した小品。第二次世界大戦後の社会に絶大な影響を与えた実存主義の作家ジャン=ポール・サルトルの戯曲に想を得て、バレエの表現の可能性を探求した、巨匠の若き日の英気にあふれた創作です。 明日に向かって踏み出した、新生BBLの意欲あふれる舞台をお楽しみください!

新生BBLの苦闘と出発を象徴する話題作 「アリア」ARIA
振付:ジル・ロマン 音楽:J.S.バッハ、ナイン・インチ・ネイルズ、メルポネム、イヌイットの歌から抜粋 オリジナル音楽:チェリ・オシュタテール、ジャン=ブリュノ・メイエ(シティ・パーカッション) 衣裳:アンリ・ダヴィラ 照明:ドミニク・ロマン 2008年、ジル・ロマンが新生BBLで発表した新作。"アリアと種々の変奏"と題されたバッハの「ゴルドベルク変奏曲」ほかの音楽を使い、ギリシャ神話のテセウスの物語を借りながら、個々の人間のうちに潜む相反するものの闘いを描く。「―最後に彼は、戦いの末に自分だけのアリアドネの糸、自分自身の統合を見出すのだ。」─ジル・ロマン

ベジャール自らが"黄金プラグラム"のひとつに数えた傑作 「火の鳥」L'OISEAU DE FEU
振付:モーリス・ベジャール 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー 装置・衣裳:ジョエル・ルースタン、ロジェ・ベルナール バレエ・リュスによる衝撃的な初演から60年後の1970年、ベジャールはバレエ全曲版の代わりにオーケストラ組曲版を使い、設定を第二次世界大戦中のパルチザンの闘争に置き換えて本作を蘇らせた。その創作の源泉は、ストラヴィンスキーの音楽。「あふれんばかりのロシアの感情と、慣習に囚われないリズムの強烈さによって表現される、従来の音楽との決別」─モーリス・ベジャール

若き日のベジャールの気鋭作 「3人のソナタ」─サルトルの「出口なし」に基づく SONATE A TROIS
振付:モーリス・ベジャール 音楽:ベラ・バルトーク(「2台のピアノとパーカッションのためのソナタ第1楽章、第2楽章」 ベジャールがパリの小劇場を本拠地として活動していた1957年に発表。新進気鋭時代の作品の一つ。当時、世界中を席巻した実存主義の作家サルトルの戯曲に基づきながら、出口のない部屋に閉じ込められた3人の悲劇的な対立を描く。「彼らは偶然に集められたのではない。彼らは相互的な地獄に堕ちる運命にあったのだから。」─モーリス・ベジャール