伝説のバレリーナ、マカロワが大絶賛した初演から1年半ぶり。 2人の旬のスターを迎えて、神聖な踊りと熱いドラマがふたたび息づく!
ラ・バヤデール全3幕
高い精神性とスケール感に貫かれた奇跡の「ラ・バヤデール」。 ソリストから群舞まで持てる力が最大限に活かされ、 各紙絶賛された舞台が、2人のソロルを迎えてパワーアップ!
濃厚なエキゾティシズムとドラマ、クラシック・バレエの美が見事に溶け合った壮大なバレエ・スペクタクル、「ラ・バヤデール」。演出・振付に伝説のバレリーナ、ナタリア・マカロワを招聘して2009年に初演され、絶賛を浴びた舞台が戻ってきます! ゲストとして登場するのは、飛翔する長身と甘やかな個性で人気のシュツットガルト・バレエ団の貴公子フリーデマン・フォーゲル。そして先頃、芸術上の可能性を求めてマリインスキー・バレエからミハイロフスキー・バレエへの移籍を発表した、ロシアきっての超絶技巧の持ち主レオニード・サラファーノフです。 舞台は異国情緒あふれる古代インド。ヒロインの巫女ニキヤと恋人のソロルに、領主ラジャとその娘ガムザッティ、大僧正らが絡んで繰り広げられる愛憎のドラマを軸に、華やかなクラシック・バレエやエキゾティックなダンスが次々展開します。マカロワ版は、長らくロシアで失われた最終幕を復活させ、逡巡する心のままガムザッティとの結婚式に臨むソロルのもとに死して魂となったニキヤが現れるドラマティックな場面、つづく寺院崩壊のカタストロフまで息をもつかせず見せる名版として知られています。 ロシア・バレエ伝統のテクニックや演技術を精緻なまでに磨き上げるマカロワの指導は、東京バレエ団の水準を極限まで引き上げ、見ごたえ十分のドラマと神聖なまでの美を放つ、奇跡の舞台が実現したのです。 フォーゲルと組んでニキヤを踊るのは、初演で凛とした古典の美を大きなスケールで放ってマカロワの賞賛を得た上野水香。いっぽうサラファーノフと組むのは、豊かな音楽的感性と表現力で満を持して初役に挑戦する小出領子。魅力的な2キャストでお贈りする舞台をお楽しみください!
Kiyonori Hasegawa
MarcoBrescia-Teatro alla Scala
初演公演評より
日本経済新聞 2009年10月7日
大作への果敢な挑戦は、時にダンサーの潜在能力を全開にし、バレエ団全体の地力を一気に引き上げる。東京バレエ団の「ラ・バヤデール」初演は、そう実感させてくれる大成功の舞台だった。
舞踊評論家 長野由紀
読売新聞 2009年10月6日
マカロワ版の大きな特徴は、諸版で削除されている終幕の結婚式の場と寺院の崩壊を復活させたことである。それにより、起承転結が明確にされた説得力のある悲劇が出来上がっている。 だが、その演出以上にすばらしいのは、プティパの伝統を熟知した彼女が、作品を通して、ロシア派バレエの技の優れた行い方や、プティパの振りの様々な微妙なニュアンスを、徹底的に東京バレエ団のダンサーの身体に入れ込んだことだ。 バレエ団の大きな潜在能力が見事に引き出され、今後のさらなる伸びも予感させた舞台だった。
舞踊評論家 村山久美子