指揮:
アントニオ・パッパーノ
ロイヤル・オペラ音楽監督 [指揮者]
2002年から英国ロイヤル・オペラ音楽監督。これまでにモーツァルト、ヴェルディ、ワーグナー、プッチーニ、R.シュトラウス、ラヴェル、ベルク、ショクタコーヴィチ、ブリテンのほか、バートウィスル作曲『ミノタウロス』(2008)、タネジ作曲『アンナ・ニコール』(2011)の世界初演も含む幅広い作品を指揮している。また、バレエでも指揮をとっている。2018/19年シーズンには、《ニーベルングの指環》、ヴェルディ『レクイエム』、『スペードの女王』、『運命の力』、オーケストラ・コンサートを指揮。
イタリア人の両親のもとロンドンに生まれたパッパーノは、幼いころから父親の生徒のためにピアノを弾いていたという。10代の頃、家族とともにアメリカに移り、21歳の時、ニューヨーク・シティ・オペラでコレペティートルとして働いたことから、オペラと演劇への関心を高めた。その後、バルセロナのリセウ劇場、フランクフルト歌劇場、シカゴ・リリック・オペラで仕事をし、バイロイト音楽祭ではダニエル・バレンボイムのアシスタントを務めた。
1987年にオスロのノルウェー歌劇場で指揮者としてデビュー。その3年後に英国ロイヤル・オペラにデビューを果たした。32歳でブリュッセルの王立モネ劇場の音楽監督に任命された(1992年就任2002年まで)。2005年からはサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団の音楽監督も務めている。
ウィーン国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場、バイロイト音楽祭、サンフランシスコ・オペラ、シカゴ・リリック・オペラ、シャトレ座、ベルリン国立歌劇場、ザルツブルク音楽祭、ミラノ・スカラ座など、オペラ指揮者としての活動に加え、アメリカおよびヨーロッパでのオーケストラ・コンサートの指揮、さらにピアニストとしての数々の録音も行うなど、幅広く活躍している。
2018/19 年のシーズン終了を迎えると、英国ロイヤル・オペラ音楽監督として最長の在任となるが、昨秋、さらに2022/23年シーズンまでの契約延長が発表された(2020/21年の1シーズンは除く)。
演出:
デイヴィッド・マクヴィカー
2001年にキーロフ・オペラのプロダクション『マクベス』で英国ロイヤル・オペラに初登場、同歌劇場での初演出は、同年の『リゴレット』だった。以来、『魔笛』『ファウスト』『フィガロの結婚』『サロメ』『アイーダ』『アドリアーナ・ルクヴルール』『トロイ人』『アンドレア・シェニエ』を英国ロイヤル・オペラで演出している。
グラスゴーで生まれ、生地の芸術学校、英国王立スコットランド音楽院で、俳優、デザイナー、演出を学んだ。
これまで手がけたプロダクションは、メトロポリタン歌劇場『ロベルト・デヴェリュー』『カヴァレリア=ルスティカーナ/道化師』『ジュリアス・シーザー』『アンナ・ボレーナ』『マリア・ストゥアルダ』『イル・トロヴァトーレ』、ミラノ・スカラ座『トロイ人』、オーストラリア・オペラ『ドン・ジョヴァンニ』『フィガロの結婚』、エクサン・プロヴァンス音楽祭『皇帝ティートの慈悲』、東京・二期会『ドン・カルロ』、東京・新国立歌劇場『トリスタンとイゾルデ』、ウィーン国立歌劇場『ファルスタッフ』、イングリッシュ・ナショナル・オペラ『ねじの回転』『メデア』『アルチーナ』『トスカ』、グラインドボーン音楽祭『後宮からの逃走』『ニュルンベルクのマイスタージンガー』、『ジュリオ・チェーザレ』、スコティッシュ・オペラ『放蕩者のなりゆき』『蝶々夫人』『椿姫』『イドメネオ』、オペラ・ノース『ドン・ジョヴァンニ』『羊飼いの王様、シカゴ・リリック・オペラ『ヴォツェック』『ビリー・バッド』『ジュリオ・チェーザレ』、シャンゼリゼ劇場『セメレ』、キーロフ・オペラ『ねじの回転』『マクベス、バルセロナ、ブリュッセル、シャンゼリゼ、フランクフルトでの『アグリッピナ』、スコティッシュ・オペラ、オペラ・ノース、ENOでの『ばらの騎士』、ストラスブールとスコティッシュ・オペラでの『コシ・ファン・トゥッテ』、ザルツブルク音楽祭『ホフマン物語』、ストラスブールでの《ニーベルングの指環》などがある。
ファウスト:
ヴィットリオ・グリゴーロ[テノール]
2010年に『マノン』のデ・グリューで英国ロイヤル・オペラにデビューした。以来、『ファウスト』のタイトル・ロール、『椿姫』のアルフレード、『リゴレット』のマントヴァ、『ボエーム』のロドルフォ、『愛の妙薬』のネモリーノ、『ホフマン物語』のタイトル・ロールを歌っている。
アレッツォで生まれ、ローマで育った。ローマのシスティーナ教会合唱団ではソリストを務めた。オペラ・デビューはローマ歌劇場での『トスカ』の羊飼いだった。
23歳のとき、ミラノ・スカラ座に最年少テノールとして登場。以来、『ホフマン物語』と『ウェルテル』のタイトル・ロール、『ランメルモールのルチア』のエドガルド、『ロメオとジュリエット』のロメオなどを歌い、チューリヒ歌劇場、メトロポリタン歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ローマ歌劇場、シドニー・オペラハウスなど世界中の名門歌劇場で活躍している。これまでに共演した指揮者には、リッカルド・シャイー、ズービン・メータ、リッカルド・ムーティ、チョン・ミョンフン、グスターヴォ・ドゥダメル、アントニオ・パッパーノ、ロリン・マゼールなどがいる。
録音も多く、デビュー・アルバムのビルボード・クラシック部門第1位を獲得ほか、『ウエスト・サイド・ストーリー』のCD はグラミー賞にノミネートされた。テレビへの出演も多く、チューリッヒ中央駅で上演された『椿姫』や、マントヴァの『リゴレット』は世界中にライヴ中継された。この『リゴレット』では、タイトル・ロールのプラシド・ドミンゴとの共演だった。
メフィストフェレス:
イルデブランド・ダルカンジェロ[バス=バリトン]
1996年に『ボエーム』のコッリーネで英国ロイヤル・オペラにデビューした。以来、『ドン・ジョヴァンニ』のレポレロ、『カルメン』のエスカミーリョ、『イタリアのトルコ人』のセリム、『フィガロの結婚』のフィガロを英国ロイヤル・オペラで歌っている。
なお、同オペラの2015年日本公演では『ドン・ジョヴァンニ』のタイトル・ロールを歌い、大成功をおさめた。2017/18年シーズンは『マクベス』のバンクォーとレポレロで登場。
ペスカーラで育ち、ボローニャでパリデ・ヴェントゥーリに師事した。トーティ・ダル・モンテ国際コンクールで1989年『ドン・ジョヴァンニ』のマゼット、1991年『コシ・ファン・トゥッテ』のドン・アルフォンソを歌って優勝。
ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場、バスティーユ・オペラ、トゥールーズ市立歌劇場、ローマ歌劇場、バルセロナのリセウ劇場、フィレンツェ五月音楽祭、ザルツブルク音楽祭など、すでに世界の著名な歌劇場で活躍している人気バス=バリトンである。
主なレパートリーは、レポレロ、フィガロ、ドン・ジョヴァンニ、『コシ・ファン・トゥッテ』のグリエルモ、『清教徒』のジョルジオ、『アルジェのイタリア女』のムスタファ、『チェネレントラ』のアリドーロ、『アンナ・ボレーナ』のヘンリー8世、『アッティラ』のタイトル・ロールなど。
『ドン・ジョヴァンニ』『アンナ・ボレーナ』、モーツァルトとヘンデルのアリア・コレクションの録音がある。
2014年12月には、ウィーン国立歌劇場における活躍と貢献に対して、オーストリア宮廷歌手の称号が授与された。
マルグリート:
レイチェル・ウィリス=ソレンセン[ソプラノ]
2012年に『フィガロの結婚』の伯爵夫人で英国ロイヤル・オペラにデビュー。その後、『神々の黄昏』のグートルーネ、『ばらの騎士』の元帥夫人、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』のエヴァを歌っている。2017/18年シーズンには、『ドン・ジョヴァンニ』のドンナ・アンナを歌った。
ワシントン州南東部のトリシティズで育地、ブリガム・ヤング大学で教育学と声楽を学んだ。
ヒューストン・グランド・オペラのメンバーを経て、2012年から2015年はドレスデン国立歌劇場のメンバーとして『アルチーナ』のタイトル・ロール、『イドメネオ』のエレットラ、『フィガロの結婚』の伯爵夫人、『ドン・ジョヴァンニ』のドンナ・アンナ、『皇帝ティートの慈悲』のヴィッテリア、『魔弾の射手』のアガーテ、『ユダヤの女』ラシェル、『ボエーム』のミミ、R.シュトラウス作曲『火の欠乏』のディムート、『こうもり』のロザリンデ、『メリー・ウィドウ』のハンナなどを歌った。
アルマヴィーヴァ伯爵夫人はメトロポリタン歌劇場やウィーン国立歌劇場でも歌って成功をおさめているほか、サンフランシスコ・オペラではエヴァ、ベルリン・ドイツ・オペラでは『ローエングリン』のエルザでも、その才能を発揮している。
アントニオ・パッパーノ指揮、サンタ・チェチーリア・アカデミー国立管弦楽団では『フィデリオ』のレオノーラを歌うほか、ベートーヴェンの「第九」でも共演した。
2011年ハンス・ガボール・ベルヴェデーレ国際声楽コンクール優勝、2014年にはリチャード・タッカー賞とドミンゴが主宰するコンクール「オペラリア」ビルギット・ニルソン賞を獲得した。
演出:
キース・ウォーナー
2002年に『ヴォツェック』で英国ロイヤル・オペラにデビュー。同作品はオリヴィエ賞最優秀新演出賞を獲得した。その後英国ロイヤル・オペラでは《ニーベルングの指環》、『オテロ』を演出。ウェールシュ・ナショナル・オペラで『ピーター・パン』と『ヴェニスの商人』、ロイヤル・オペラはロッシ作曲『オルフェオとエウリディーチェの結婚』も手がけている。
ロンドンで育ち、ブリストル大学で英語と演劇を学んだ。1981年にイングリッシュ・ナショナル・オペラに加わり、1984ー89年にはアソシエイト・ディレクターを務めた。スコティッシュ・オペラ演出助手、オペラ・オマハとデンマーク王立歌劇場で芸術監督を務めるほか、『画家マティス』でオーストリア音楽劇場賞を受賞したアン・デア・ウィーン劇場とは強い結びつきを築いている。フランクフルト・オペラでは『ピーター・グライムズ』を演出した。
これまでに150以上の作品を20か国で演出し、また、演劇やミュージカルも手がけているほか、デヴィッド・ブレイクの3つのオペラでは台本を書いた。《指環》チクルスは英国ロイヤル・オペラと東京(新国立劇場)の2つを制作。バイロイト音楽祭では『ローエングリン』を演出した。
手がけた世界初演作品には、コペンハーゲンでのペンデレツキ作曲『ルダンの悪魔』、アンドレ・チャイコフスキー作曲『ヴェニスの商人』、アヴネル・ドルマン作曲『Wahnfried』などがある。
ENOでの the the outreach wing of ENOの設立の手助けや、2006年のニューカッスル地域のホームレスの人々を含むストリートワイズ・オペラへの取り組みなど、多彩な仕事がウォーナーのキャリアにおいて重要な役割を果たしている。
オテロ:
グレゴリー・クンデ[テノール]
2016年に『イル・トロヴァトーレ』のマンリーコで英国ロイヤル・オペラにデビューした。同役での再演のほか、2017年には『オテロ』のタイトル・ロールで舞台に登場している。
イリノイ州カンカキーで生まれ、イリノイ州立大学で合唱指揮、声楽を学んだ。1978年にシカゴ・リリック・オペラで『オテロ』のカッシオを歌ってオペラ・デビュー。以後、メトロポリタン歌劇場、パリ・オペラ座、シャトレ座、シャンゼリゼ劇場、オーストラリア・オペラ、マドリッドのテアトロ・レアル、パラウ・デ・ラ・アーツ、ミラノ・スカラ座、フェニーチェ劇場、パレルモのマッシモ劇場、アン・デア・ウィーン劇場、バルセロナのリセウ劇場などで歌っている。フランス、イタリアもののスペシャリストと認められるほか、ヴェルディの『オテロ』のタイトル・ロール、『湖上の美人』のロドリーゴ、『ノルマ』のポリオーネ、『ユグノー教徒』のラウール、『ルイザ・ミラー』のロドルフォ、『シチリア島の夕べの祈り』のアッリーゴ、『仮面舞踏会』のリッカルド、『運命の力』のドン・アルヴァーロ、『アイーダ』のラダメス、『アフリカの女』のヴァスコ・ダ・ガマ、『ファウストのごう罰』のファウスト、『トロイ人』のエネー、『サムソンとデリラ』のサムソン、『マノン・レスコー』のデ・グリュー、『カヴァレリア・ルスティカーナ』のトゥリッドウ、『道化師』のカニオなど、幅広いレパートリーをもつ。
2013年にはアントニオ・パッパーノ指揮、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団演奏会形式『ピーター・グライムズ』で歌った。 ヨーロッパ各地でコンサート、リサイタルを開催。受賞も多く、近年では2016年の国際オペラ賞ベスト男性歌手があげられる。
デズデモナ:
フラチュヒ・バセンツ[ソプラノ]
2016/17年シーズンに『アドリアーナ・ルクヴルール』のタイトル・ロールで英国ロイヤル・オペラにデビュー。その後、2017/18年シーズンには『ドン・ジョヴァンニ』のドンナ・エルヴィーラに加え〈スプリング・ガラ〉にも出演。2018/19年シーズンには『シモン・ボッカネグラ』のアメリア・グリマルディを歌っている。
アルメニアのエレバンで芸術一家のもと生まれ、はじめにヴァイオリンを学んだ後、エレバンのコミタス州立音楽院で声楽を学んだ。歌手としてのキャリアはドイツ、ゲルゼンキルヒェン歌劇場のメンバーとしてスタートした。ここで、『イル・トロヴァトーレ』のレオノーラ、『ボエーム』のミミ、『清教徒』のエルヴィラ、『椿姫』のヴィオレッタ、『オテロ』のデズデモナ、『ランスへの旅』のコリンナ、『コシ・ファン・トゥッテ』のフィオルディリージ、『フィガロの結婚』の伯爵夫人、『トゥーランドット』のリューを歌った。また、そのほかにも、ウィーン国立歌劇場でミミ、イスラエル・オペラとノルウェー・オペラで『ノルマ』のタイトル・ロールも歌っている。
2006年ゲルゼンキルヒェン歌劇場賞、2013年ブッセートのヴェルディの声コンクールで優秀な成績をおさめたほか、2011年にはバイエルン州文化大臣から優れた芸術家としての奨励、2016年にはアルメニアの文化省から金のメダルを授与された。
2018年より、ドレスデン国立歌劇場のアンサンブル・メンバー。
ヤーゴ:
ジェラルド・フィンリー[バス=バリトン]
1989年に『ドン・カルロ』のフレミッシュで英国ロイヤル・オペラにデビューした。以来、『フィガロの結婚』のアルマヴィーヴァ伯爵、『利口な女狐の物語』の森番、『椿姫』のジェルモン、『ペレアスとメリザンド』のゴロー、『エフゲニー・オネーギン』のタイトル・ロール、『アンナ・ニコール』(世界初演)のT弁護士スターン、『パルシファル』のアンフォルタス、『ウィリアム・テル』のタイトル・ロール、『アドリアーナ・ルクヴルール』のミショネなどを歌っている。2017/18年シーズンは『トスカ』のスカルピアを歌った。
モントリオールで生まれ、オタワの合唱団で歌い始めた。ウェストミンスター寺院の元オルガニストだった大叔父に影響を受け、ケンブリッジのキングス・カレッジ、英国音楽院、ナショナル・オペラ・スタジオで学んだ。
すでに世界の著名な歌劇場に常連として登場しているが、それらの中には、ジョン・アダムズ作曲『原爆博士』のオッペンハイマー、マーク・アンソニー・タネジ作曲『銀杯』のハリー・ヒーガンなど、彼によって初めて演じられた役が含まれている。
また、2012年グラインドボーン音楽祭で初めて歌った『ニュルンベルクのマイスタージンガー』のハンス・ザックスは大成功を収めた。ヨーロッパおよび北米ではピアニストのジュリアス・ドレイクとともにリサイタル、コンサートを開催し、成功をおさめている。
CDおよびDVDでの受賞も数多い。メトロポリタン歌劇場『原爆博士』はグラミー賞2012年最優秀オペラ録音賞を獲得した。
※ 表記の出演者は2019年2月19日現在の予定です。病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても、代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。出演者変更にともなうチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。最終出演者は当日発表とさせていただきます。