オペレッタ「こうもり」OPERETTE DIE FLEDERMAUS
ヨハン・シュトラウスII世作曲 ハインツ・ツェドニク演出
ロザリンデ:アイゼンシュタインの妻。アルフレートのかつての恋人。 舞踏会ではハンガリーの伯爵夫人を名乗る。(Sr.) アデーレ:アイゼンシュタイン家の女中。舞踏会では女優オルガになりすます。(Sr.) イーダ:アデーレの姉。バレリーナ。(Sr.) オルロフスキー公爵:ロシアの大貴族。日々の生活に退屈しきっている。(MS.) アイゼンシュタイン:ウィーンの富裕な銀行家。 役人を侮辱したため5日間の軽禁固刑に服することになっている。 フランス貴族ルナール侯爵として舞踏会に参加。(T.) ファルケ博士:アイゼンシュタインの友人の公証人。 とあることから“こうもり”とあだ名され、その原因を作った アイゼンシュタインへの復讐の機会をうかがう。(Br.) アルフレート:声楽教師。4年前にふられたロザリンデを愛し続けている。(T.) フランク:新任の刑務所長。騎士シャグランと名乗って舞踏会に出没している。(Br.) フロッシュ:刑務所の看守。 ブリント博士:アイゼンシュタインの弁護士。(T.)
第1幕 幕が上がるとすぐに聞こえるのは、アルフレートが家の外でロザリンデへの想いを歌うセレナーデ「飛び去った小鳩は」は。 アイゼンシュタインの家の居間では女中のアデーレが、姉イーダから今夜の夜会に来ないかという誘いの手紙を読む(アデーレの手紙の歌)。女中の身ではそう簡単に出かけられないと嘆くアデーレは一計を案じ、ロザリンデに「叔母が病気なのでお暇を」と言ってみるが、あっさり断られる。 アイゼンシュタインのもとにやって来た友人のファルケは、刑務所に行く前に、今夜のオルロフスキー公爵の夜会で女の子たちと戯れよう、と誘う(「一緒に夜会に出かけよう」)。 上機嫌な上に、刑務所に礼服を着て行こうとしている夫の姿を怪しんだロザリンデは、アデーレに休みをやり、自らも臨戦態勢を整える。アイゼンシュタインがいざ出かけるという場面では、「一週間もただひとりで」と、互いに大袈裟に別れの悲しさを歌うが、次第にウキウキした音楽へ。アデーレも加わって踊り出す三重唱となる。 さっさとアイゼンシュタインのガウンを着てくつろぐアルフレートの口説き文句にまんざらでもないロザリンデ。二人は「忘れることこそ人生の幸福」と酒を飲みながら歌う。そこに刑務所長がアイゼンシュタインを迎えに来た! ロザリンデから、主人になりすまして!と言いくるめられたアルフレートは、ロザリンデに堂々と別れのキスをして刑務所へと連行されていく。
第2幕 オルロフスキー公爵邸の豪華な広間には着飾った男女が歌い踊り、沸き立つような音楽によって第2幕が開く(合唱「夜会は招く」)。 ファルケはまず、アイゼンシュタインをフランスのルナール伯爵としてオルロフスキー公爵に紹介。オルロフスキー公爵は「お客を招くのは私の趣味で」と歌い、人々に挨拶する。 次にファルケはアイゼンシュタインにアデーレを女優のオルガと紹介。アイゼンシュタインから「うちの女中に似ている」と言われたアデーレは、「侯爵さま、あなたのような方は」と、一同の前で“ルナール侯爵”を笑い者にする。
第3幕 朝、刑務所長フランクの仕事部屋で、看守のフロッシュが酔っ払ってくだをまいているところにフランクが夜会から帰って来る。二人の酔っ払いが愉快なやりとりをしているところに、アデーレとイーダがやって来る。アデーレは、 夜会で “シャグラン”と名乗ったフランクを追いかけて来たのだ。自分は本当は女中なのだけれど、本物の女優になりたいのでパトロンになって欲しい、と頼み込む(「田舎娘の姿で」)。 刑務所に出頭してきたアイゼンシュタインは、すでにアイゼンシュタインが入っていると聞いてびっくり。混乱するアイゼンシュタインが自分の名前を語っているのは誰かを突き止めようと弁護士に変装して待っているところに、アルフレートを逃がそうとロザリンデが駆け付ける。ことの成り行きを知ったアイゼンシュタインは妻の浮気を責めるが、ロザリンデは昨夜まき上げた懐中時計を示し、夫を逆襲。そこにファルケとオルロフスキー公爵ほか、夜会の客たち皆が現れ、実は昨夜は茶番劇「こうもりの復讐」だったことが明かされる。アイゼンシュタインは妻に許しを請うと、ロザリンデは「シャンパンが悪酔いさせたのね」と応じる。すべて水に流してシャンパンを讃える陽気な一同の歌で幕を閉じる。
photo: Dimo Dimov/ Volksoper