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Photo: Yuji Namba

2021/11/03(水)Vol.433

シュツットガルト・バレエ団 2022年日本公演に向けて
フリーデマン・フォーゲル インタビュー
2021/11/03(水)
2021年11月03日号
バレエ
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インタビュー

Photo: Yuji Namba

公演中止のお知らせ

2022年3月に予定しておりましたシュツットガルト・バレエ団日本公演は、欧州での新型コロナウイルスの感染急拡大の影響でドイツの国家機関の決定により日本公演の許可が下りず、弊財団もバレエ団側との協議の結果、実現は不可能であるとの結論に至りました。本公演にご期待くださったお客さまにはたいへん申し訳なく、心よりお詫び申し上げます。
詳細はコチラのページでご確認くださいますようお願い申し上げます。

シュツットガルト・バレエ団 2022年日本公演に向けて
フリーデマン・フォーゲル インタビュー

2022年3月、4年ぶりの日本公演が予定されているドイツの名門シュツットガルト・バレエ団の演目が、当初予定されていた「うたかたの恋」から「オネーギン」へと変更になったと発表され、フリーデマン・フォーゲルのオネーギン実現を喜んだファンも多いはず。フリーライターの小田島久恵さんによるインタビューをご紹介します。

「自分の中に別の本質を探し当てることで、
オネーギンという役を作り上げることが出来ました」

ダンサーとして真の円熟期を迎え、古典からコンテンポラリーまで多彩な表現で世界中のファンを魅了するフリーデマン・フォーゲル。来年3月のシュツットガルト・バレエ団の日本公演では、当たり役である『オネーギン』のタイトル・ロールを踊る。8月に開催された第16回世界バレエフェスティバルAプロでは、パリ・オペラ座のエトワール、ドロテ・ジルベールと第1幕のパ・ド・ドゥを踊り、本作初共演とは思えない息の合った演技を見せた。ドロテは来年3月の公演でゲスト・ダンサーとして登板が決定し、奇跡のデュオが再びステージに降臨することとなる。バレエ・フェスの合間を縫って取材に応じてくれた。
「ドロテとは『ジゼル』で共演したことはあったけれど、『オネーギン』は初めて。しかも、Aプロ初日の3日前に一緒に踊ることをオファーされたのです。とても驚きましたが、ときにサプライズな出来事というのは、最高の結果をもたらすものです。ドロテのタチヤーナは感動的で、貴重なパートナーシップが生まれたと実感しました。ダンスの素晴らしいところは、国境がないところだと思います。ボディランゲージを使うから、日本のダンサーであってもフランスのダンサーであっても、心を響かせ合って演じることが出来るのです」

「オネーギン」第1幕を踊るドロテ・ジルベールとフォーゲル
(2021年「世界バレエフェスティバル」より)
Photo: Kiyonori Hasegawa
「オネーギン」第3幕を踊るエリサ・バデネスとフォーゲル
Photo: Wang Chong Wei
 

以前はオネーギンとの決闘で倒れる一途なレンスキーを踊っていた。今では、複雑な内面を持つオネーギンを彼以上に踊れるダンサーはいないと思わせる。
「最初の頃は、自分にはオネーギンを踊れるだろうかという不安もありましたが、自分の中に別の本質を探し当てることで、オネーギンという役を作り上げることが出来ました。マリシア・ハイデは僕のメンターであり、ご存じのようにクランコのミューズですが、彼女は『舞台ではあなた自身でありなさい』と教えてくれました。役を踊っていても、観客は僕自身が何者なのかを観にきているのだと。「人間性を見せることが踊りの本質」で、観客がダンサーと繋がるのは、そういうものを見せたときなのだと語っていました。彼女はとても謙虚ですが、シュツットガルトに素晴らしいオーラを残していった人で、今でも時々見に来てくれます。彼女が舞台袖に立っていてくれると、非常に大きなパワーをもらえるんです」

コロナ禍では、舞台芸術全体が大きな影響を受けた。フリーデマン自身も多くのことを考えたという。
「それ以前は、僕は世界中で踊っていました。カンパニーではオリジナルのプランを「プランB」にして、それすらも実現が難しくなり「プランC」になるという状況で......僕たちはかなりの時間をトレーニングとリハーサルに費やしました。2020年はほとんどがクラスレッスンと、わずかなプログラムを上演しただけで終わり。大切なのは、今のこの時間をどのように過ごすかということで、世界の状況をどうにかすることは出来ないのです。精神面では、かなりダウンしました。公演に入る前の準備段階での興奮、踊っているときの感動、舞台が終わった後の解放感......すべてを味わえなかったのです。色々な変更を余儀なくされる中で、何かポジティブなものを残していくことが大事だと思っています」

「眠れる森の美女」
Photo: Uli Beuttenmüller

フリーデマンは出演しないが、もうひとつの来日公演の演目である『眠れる森の美女』の魅力についても語ってくれた。
「ハイデ版の『眠れる森の美女』の最大の特徴は、男性が踊るパワフルなカラボスです。おとぎ話でありながら、非常にカラフルで、登場人物の内面が人間らしく描かれています。王子の姫のラブストーリーというだけでなく......男性が力強くジャンプし、大きな存在感を示していくカラボスの表現は、最もこの版で飛躍している点だと思います」
「人の心に訴えかけける」ということを繰り返し語ってくれた。琴線に触れる舞台が待ち遠しい。

取材・文 小田島久恵 フリーライター

※このインタビューはオンラインで実施したものです。
※ポートレート撮影は国の定めた規定にそって、ソーシャルディスタンスの遵守をはじめとする、感染症対策を十分に行い、実施したものです。

公式サイトへ チケット購入

シュツットガルト・バレエ団日本公演
「眠れる森の美女」
「オネーギン」

公演日

「眠れる森の美女」
2022年
3月11日(金)18:30
3月12日(土)14:00
3月13日(日)14:00

「オネーギン」
2022年
3月19日(土)14:00
3月20日(日)14:00
3月21日(月・祝)14:00

会場:東京文化会館

※配役については公式サイトをご覧ください。

入場料[税込]

S=¥21,000 A=¥19,000 B=¥17,000
C=¥14,000 D=¥11,000 E=¥8,000
*ペア割引[S,A,B席]あり

★「眠れる森の美女」特別親子券あり

U25シート=¥4,000
*NBS WEBチケットのみで発売。