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Photo: Yuji Namba

2021/11/17(水)Vol.434

シュツットガルト・バレエ団 2022 年日本公演に向けて
エリサ・バデネス インタビュー
2021/11/17(水)
2021年11月17日号
TOPニュース
バレエ

Photo: Yuji Namba

公演中止のお知らせ

2022年3月に予定しておりましたシュツットガルト・バレエ団日本公演は、欧州での新型コロナウイルスの感染急拡大の影響でドイツの国家機関の決定により日本公演の許可が下りず、弊財団もバレエ団側との協議の結果、実現は不可能であるとの結論に至りました。本公演にご期待くださったお客さまにはたいへん申し訳なく、心よりお詫び申し上げます。
詳細はコチラのページでご確認くださいますようお願い申し上げます。

シュツットガルト・バレエ団 2022 年日本公演に向けて
エリサ・バデネス インタビュー

2022年3月のシュツットガルト・バレエ団日本公演に向け、前号のフリーデマン・フォーゲルに続いて、今回はフリーライターの加藤智子さんによるエリサ・バデネスのインタビューをご紹介します。

「『オネーギン』は、人間らしさが投影されたバレエであるところが素晴らしい、100回観ても飽きません」

今夏の世界バレエフェスティバルで、パートナーのフリーデマン・フォーゲルとともに一際強い存在感を示したエリサ・バデネス。シュツットガルト・バレエ団のプリンシパルとしてキャリアを重ねる彼女が、バレエフェスで踊った『オネーギン』第3幕のパ・ド・ドゥは、多くの人々に感銘を与えた。

――世界バレエフェスティバルに出演するにあたり、どんな気持ちで『オネーギン』のパ・ド・ドゥを選ばれましたか。

バデネス:この作品をバレエフェスで踊ることができるのは本当に光栄なこと! バレリーナであれば誰でも踊りたいと思う役柄の一つ。だからこそ責任は重い。多くの人に愛されているパ・ド・ドゥだけに、私も皆さんに愛されるように踊らなければならないと感じています。

――ヒロインのタチヤーナ役については、どのような思いで演じていますか。

バデネス:最初に踊ったのはたしか、22歳の時。まだとても若かった。年齢を重ねれば、役柄へのアプローチは変わってくると思うし、私はオリガ役も踊っているので、その立場からタチヤーナを見ることもできる。二役を演じることで役柄を深める経験ができました。演技はさらに、その場の感情、相手役によっても変わります。役柄に身を委ねるということも大事なことです。

――クランコの全幕バレエ、『オネーギン』は、シュツットガルト・バレエ団の看板演目として絶大な人気を誇り、世界各地の劇場で上演されている作品ですね。その人気の秘密はどんなところにあるのでしょう。

バデネス:クランコのバレエの素晴らしいところは、バレリーナたちが舞台上にただ立っているだけの作品ではないということ! その一人ひとりのキャラクターが明確で、リアルな人間が舞台上にいるかのようにつくられています。タチヤーナもまさにそう。小さい彼女が成長して、最後には思いを寄せる人にさよならと言わざるを得なくなる──。その心情をしっかりと表現しているので、観ている人は皆共感する。
『オネーギン』は、人間らしさが投影されたバレエであるところが素晴らしいのです。ディテールにいたるまでしっかりと描かれる作品ですから、100回観ても飽きません。

「オネーギン」第3幕を踊るエリサ・バデネスとフリーデマン・フォーゲル
Photo: Wang Chong Wei

このインタビューの約1カ月後、2022年3月のシュツットガルト・バレエ団日本公演の演目変更が発表され、『オネーギン』全幕上演が実現するというニュースがもたらされた。日本の舞台に再び登場する、バデネスのタチヤーナに注目したい。さらにもう一つの演目、マリシア・ハイデ版『眠れる森の美女』で、彼女はオーロラ姫を演じるという。

「『眠れる森の美女』は全編を通して魔法がかけられているような作品ですから、全部が見どころといってもいい」

――シュツットガルト・バレエ団の『眠れる森の美女』はマリシア・ハイデのヴァージョンですね。

バデネス:ユルゲン・ローゼの美術・衣裳がとても美しい、完璧なフェアリーテイルです。幕開きからまさにマジック! これぞまさにクラシック・バレエといえる作品です。

――オーロラ姫という役柄について、どのように捉えていますか。

バデネス:クランコの影響もあるかと思うのですが、ナチュラルに捉えています。オーロラ姫をリアルに、いまどきの若者と変わらない、若くてフレッシュで人間的なところを大事に表現しています。

――ハイデ版の特徴の一つとして、悪の精・カラボスの独特の存在感が挙げられます。

バデネス:ハイデ版のカラボスは男性が踊る役ですが、これはバレリーナだって誰もが踊りたいと思う役! 大きなマントを纏って、狂言回しのような役割を担います。幕が閉じる頃にはもう、皆カラボスのことが好きになって、最終的には全部カラボスに持っていかれてしまう(笑)
カラボスだけではありません。全編を通して魔法がかけられているような作品ですから、全部が見どころといってもいい。カンパニーが一丸となって演じる生き生きとした舞台を、東京の皆さんにもぜひ楽しんでいただきたいですね。

「眠れる森の美女」オーロラ姫を踊るエリサ・バデネス
Photo: Stuttgart Ballet

日本公演の実現を心から楽しみにしているというバデネス。インタビューの締めくくりには、「日本は第二の故郷。全身全霊でのぞみたい」と、とびきりの笑顔を見せた。

取材・文:加藤智子(フリーライター)

※このインタビューはオンラインで実施したものです。
※ポートレート撮影は国の定めた規定にそって、ソーシャルディスタンスの遵守をはじめとする、感染症対策を十分に行い、実施したものです。

公式サイトへ チケット購入

シュツットガルト・バレエ団日本公演
「眠れる森の美女」
「オネーギン」

公演日

「眠れる森の美女」
2022年
3月11日(金)18:30
3月12日(土)14:00
3月13日(日)14:00

「オネーギン」
2022年
3月19日(土)14:00
3月20日(日)14:00
3月21日(月・祝)14:00

会場:東京文化会館

※配役については公式サイトをご覧ください。

入場料[税込]

S=¥21,000 A=¥19,000 B=¥17,000
C=¥14,000 D=¥11,000 E=¥8,000
*ペア割引[S,A,B席]あり

★「眠れる森の美女」特別親子券あり

U25シート=¥4,000
*NBS WEBチケットのみで発売。