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2020/07/15(水)Vol.402

世界の劇場に緊急アンケート実施! 〜コロナ禍とこれから〜(2)
2020/07/15(水)
2020年07月15日号
世界の劇場を知ろう
特集

世界の劇場に緊急アンケート実施! 〜コロナ禍とこれから〜(2)

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団

2020年9月はバレエ団のバーミンガム市移転30周年!

劇場閉鎖英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団は自前の劇場を持っていないが、ホーム・シアターであるバーミンガム・ヒッポドローム劇場は、3月23日に政府が全国的なロックダウンを宣言すると同時に閉鎖した。しかし、安全対策として、バレエ団はそれよりも1週間早い3月16日には活動を停止していた。英国政府による休業制度(休業補償等)が活用可能になると同時に、ほぼすべてのダンサーと職員が制度を活用している。

再開または再開予定ダンサーたちは8月3日に仕事に復帰予定。安全のため少人数のグループごとの活動となる。スタッフは今後数カ月にわたる段階的な復帰を推進中。

閉鎖期間中施策この9月に、バレエ団はバーミンガム市移転30周年を迎える。残念ながら一般向けの放映に耐えうる品質の映像アーカイヴを保有していないため、ロックダウン期間中の活動の中心は、過去12年ほどでSNSで発信した内容を洗い出し、もともと計画していた30周年記念のキャンペーンの一環として再発信することとした。(国が指定する)休業中は、バレエ団のメンバーは自主判断でのみ「働くこと」が許されている状態なので、ロックダウン期間中は、仕事の依頼や指示はしていない。そうしたなかでも、ダンサーとオーケストラは新たなオリジナル作品の創作のために、忙しく活動し、自宅での撮影をもとに、短編作品を複数完成させている。
ロックダウン期間中に100以上のコンテンツを配信、あるいは再配信。すべてはバレエ団のFacebookで視聴可能。

再開後のスケジュールへの影響2020/21シーズンのプログラムやスケジュールについては、変更が生じる。今後、ウェブサイトやFacebook,Instagramで発表。

ローマ歌劇場

夏恒例の野外公演、チルコ・マッシモで再開します!

劇場閉鎖3月4日の首相府令を受け、新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、ローマ歌劇場は3月5日に、同日上演予定であった「海賊」公演とその後の公演をすべて中止。上演を予定していた『トゥーランドット』のリハーサルも、同日ストップ。

再開または再開予定オーケストラ、コーラス、バレエ団のリハーサルは6月16日に再開。ソーシャル・ディスタンス確保のため、オーケストラにはコスタンツィ劇場の「Sala Respighi」を、コーラスにはコスタンツィ劇場の内部を割り当てることで、歌手たちが、一人ひとつのボックス席を使えるようにした。指揮者は舞台上から指揮。
バレエ団は6月29日までは、10人一組のグループごとに、リハーサル室と舞台上で練習をしてきたが、30日からは市内の公立学校の体育館で、48人のダンサーが十分な距離を保ちながら、ジュリアーノ・ペパリーニの新作のリハーサルを進めている。
ローマ歌劇場は、夏恒例の野外公演で一般のお客様向けの上演を再開する。例年は、カラカラ野外劇場で開催しているが、今年は、別の会場「チルコ・マッシモ」(カラカラよりも広い古代ローマ競技場)で、企画はすべて編成し直しての公演となった。
劇場の設営等については、技術部がコロナウイルス感染予防策に沿うように準備。ステージの広さはカラカラ野外劇場の1.5倍に、オーケストラとコーラスのための空間もより広く、またステージと客席の間の距離も大きくとっての開催となる。
プログラムも全面的に改め、『リゴレット』(ガッティ指揮、ダミアーノ・ミキエレット演出)、コンサート形式で『セビリャの理髪師』と『メリー・ウィドウ』(ステファノ・モンタナーリ指揮)、バレエ「四季」、そしてアンナ・ネトレプコとユシフ・エイヴァゾフのコンサートを予定。

閉鎖期間中施策3月18日に、「テアトロ・ディジターレ(Teatro digitale)」と題した無料配信を開始。内容は、オペラ、バレエ、「オペラのレッスン(Lezioni di opera)」、また新たなコーナーとして「ちょこっとオペラ(Opera in pillole)」など。
RaiPlay(イタリア放送協会RAIのマルチメディアポータル)や劇場のYouTubeチャンネルでは、30のオペラと7つのバレエのコンテンツを無料で配信。オペラは、ソフィア・コッポラ演出、ヴァレンティノ衣裳による『椿姫』をはじめ、『シモン・ボッカネグラ』、『エルナーニ』、リッカルド・ムーティ指揮『ナブッコ』など。また、ローマ歌劇場の歴史を飾る主役たちとして、ルドルフ・ヌレエフとカルラ・フラッチによる「ジゼル」、ライナ・カバイヴァンスカ出演の『メリー・ウィドウ』、ルチアーノ・パヴァロッティとプラシド・ドミンゴ共演による初演100周年『トスカ』や、ロックダウン前の最後のオペラ公演となったロバート・カーセン演出『エフゲニー・オネーギン』なども配信。
6月1日には、ただ一人、セルジョ・マッタレッラ大統領のみのご臨席のもと、ダニエレ・ガッティ指揮、ローマ歌劇場管弦楽団による「共和国記念日コンサート(Concerto della Festa della Repubblica)」を開催。これはロックダウン後、初めてのコンサートとして、RAIのテレビ(Rai 1)とラジオ(Rai Radio 3)で生中継された。

再開後のスケジュールへの影響最新の新型コロナウイルス感染対策の規定では、室内では客席を200席までしか使えないことになっており、また現状では9月時点での警戒レベルがどのようになっているか分からないため、今後の予定についてはまだ発表できない状況。

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