ミラノ・スカラ座2009年日本公演通算100回のレポートがクラシカ・ジャパンで下記のとおり放送されます。
◆クラシカ・ジャパン(スカパー! 各CATV局)
番組名:クラシカ・ラウンジ #81
コーナー名:クラシカ・トピックス「ミラノ・スカラ座日本公演通算100回」
初回放送:11月1日(日) 19:30~
放送期間:11月1日(日)~11月7日(土)
詳細は、こちらでご確認ください。
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昨日9月17日(木) 、ミラノ・スカラ座2009年日本公演が、ダニエレ・ガッティ指揮「ドン・カルロ」で閉幕いたしました。
カーテンコールでは、「スカラ座のみなさん、また会いましょう!」と書かれた看板とともに、イタリア国旗を模した、赤、緑、白の3色の紙テープ、風船が振り落とされ、スカラ座らしい華やかなフィナーレとなりました。
また、この日の公演は、天皇皇后両陛下、来日中のナポリターノ・イタリア大統領ご夫妻もご鑑賞され、カーテンコールでは「ドン・カルロ」の出演者たちに拍手を送っていらっしゃいました。
初日の「アイーダ」をもって、ミラノ・スカラ座の日本公演の通算公演回数100回を達成するという記念すべき幕開けとなった今回の日本公演は、ダニエル・バレンボイム指揮「アイーダ」、ダニエレ・ガッティ指揮「ドン・カルロ」の2演目を上演。毎公演、6年ぶりの日本公演を心待ちにしていたオペラ・ファンから、大きな拍手が送られ、カーテンコールが繰り返されました。ご来場いただきました、たくさんのお客様に心よりお礼申し上げます。2週間の公演中、暖かいご声援をいただき、ありがとうございました!
photo:Kiyonori Hasgeawa
バルバラ・フリットリ ソプラノ・リサイタル
<第1部 19:00 - 19:50>
モーツァルト:
歌劇『フィガロの結婚』より序曲
モーツァルト:
レチタティーヴォ「私は予感していた」と
アリア「ああ、おまえは私の視線を避ける」K.272
モーツァルト:
レチタティーヴォ「哀れな者よ、おお夢よ目覚めよ」と
アリア「まわりにそよぐ微風」K.431(425b)
モーツァルト:
歌劇『イドメネオ』バレエ音楽<パ・スール> K.367
モーツァルト:
歌劇『イドメネオ』より
エレットラのレチタティーヴォ「心が乱れる」と
アリア「オレステとアイアスの苦しみを」
<休憩 20分>
<第2部 20:10 - 21:05>
ヴェルディ:
歌劇『アイーダ』より前奏曲
ヴェルディ:
歌劇『アイーダ』よりアイーダのアリア「勝ちて帰れ」
ヴェルディ:
歌劇『椿姫』より第1幕の前奏曲
ヴェルディ:
歌劇『オテロ』より「アヴェ・マリア」
ヴェルディ:
歌劇『ドン・カルロ』よりエリザベッタのアリア「世の虚しさを知る神よ」
マスカーニ:
歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』より間奏曲
レオンカヴァッロ:
歌劇『道化師』よりネッダのアリア「矢のように大空に放たれて飛ぶ」
指揮:ジュリアン・レイノルズ
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
※チラシ、ホームページ等でお知らせしておりました、本日の曲目が、フリットリ本人の希望により下記のとおり変更となりました。
モーツァルト:
歌劇『コシ・ファン・トゥッテ』より
フィオルディリージのアリア「岩のように動かずに」
↓
モーツァルト:
歌劇『イドメネオ』より
エレットラのレチタティーヴォ「心が乱れる」とアリア「オレステとアイアスの苦しみを」
また、本公演の指揮者は当初お知らせしておりましたアンドリー・ユルケヴィッチからジュリアン・レイノルズに変更となりました。何卒ご了承ください。
チラシ、ホームページ等でお知らせしておりました、バルバラ・フリットリ ソプラノ・リサイタルの曲目が、フリットリ本人の希望により下記のとおり変更となりましたので、お知らせいたします。ご了承ください。
◆モーツァルト:
歌劇『コシ・ファン・トゥッテ』より
フィオルディリージのアリア「岩のように動かずに」
↓
◆モーツァルト:
歌劇『イドメネオ』より
エレットラのレチタティーヴォ「心が乱れる」とアリア「オレステとアイアスの苦しみを」
昨日(9月4日)、ミラノ・スカラ座2009年日本公演が、ダニエル・バレンボイム指揮「アイーダ」で華やかに開幕しました。
1981年の初来日公演から28年。この公演をもって、ミラノ・スカラ座の日本通産公演が100回を達成しました。この後には、舞台上に歌手だけでなく、オーケストラのメンバーも上がり、ステファン・リスナー(ミラノ・スカラ座総裁・芸術監督)、マリア・ディ・フレーダ(ミラノ・スカラ座ジェネラル・ディレクター)、ダニエル・バレンボイム、杉田亮毅(日本経済新聞社会長)、佐々木忠次(財団法人日本舞台芸術振興会専務理事)の5名が法被姿で、鏡割りを行いました。
その後、イタリアの国旗を模した、赤、白、緑3色の紙テープが振り落とされ、"CONGRATULAZIONI AL TEATRO ALLA SCALA PER LA CENTESIMA RECITA I N GIAPPONE"という焼印の押された特製枡を手に100回を祝い乾杯。客席からは割れんばかりの大きな拍手が贈られ、舞台と客席が一体となってこの偉業を祝しました。
photo:Kiyonori Hasegawa
本日行われた記者会見の模様が、下記のサイトに掲載されています。
◆MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/music/090903/msc0909031656003-n1.htm
◆YAHOO! ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090903-00000005-pia-ent
明日の初日を前に、本日11時より、在日イタリア大使館において、ミラノ・スカラ座2009年日本公演の記者会見が行われました。
会見には、駐日イタリア大使/ヴィンチェンツォ・ペトローネ閣下、ミラノ・スカラ座総裁・芸術監督/ステファン・リスナー、「アイーダ」指揮者 ダニエル・バレンボイム、「ドン・カルロ」指揮者/ダニエレ・ガッティ、(財) 日本舞台芸術振興会専務理事/佐々木忠次の5名が出席し、明日の開幕に向けてのそれぞれの想いを語りました。
(左より、リスナー総裁、バレンボイム氏、ガッティ氏)
NHKで放送された会見の模様が、下記NHKのホームページにてご覧いただけます。
>>>NHKホームページ ミラノ・スカラ座ニュース
記者会見の詳細レポートは近日中にこの最新情報でお伝えする予定です。
尚、明日初日の「アイーダ」の公演をもって、ミラノ・スカラ座の日本公演が通算100回を達成いたします。当日券を若干枚数ご用意しておりますので、ぜひこの記念すべき公演にご来場ください。
photo:Kiyonori Hasegawa
9月4日(金)と6日(日)の「アイーダ」のアムネリスに予定されておりましたルチアーナ・ディンティーノは、来日後に喉を痛め、医師により出演が不可能であるという診断がくだされました。そのため、急遽エカテリーナ・グバノヴァが代わって出演することになりました。なにとぞ、ご了承のほどお願い申し上げます。
エカテリーナ・グバノヴァ[メゾ・ソプラノ]
『アイーダ』:アムネリス(9/4,9/6)
ロシア生まれ。
23歳のときに英国ロイヤル・オペラのヤング・アーティスト・プログラムのメンバーとなり、ここで『蝶々夫人』のスズキ、『魔笛』の第3の侍女など、数々の役を歌う。
彼女が高い評価を得たのは、2005年のパリ・オペラ座『トリスタンとイゾルデ』(ピーター・セラーズ演出)でのブランゲーネ役デビューだった。同役は、この成功の後、バーデン・バーデンとロッテルダム音楽祭でのワレリー・ゲルギエフ指揮によるコンサート形式やセミョン・ビシュコフの指揮によるパリ・オペラ座での再演でも歌っている。
ザルツブルク音楽祭には、2005年にリッカルド・ムーティ指揮『魔笛』の第3の侍女でデビューを果たし、翌06年にはサイモン・ラトル指揮『ラインの黄金』のフロスヒルデ、ベルナルド・ハイティンク指揮ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」など、出演を重ねている。なお、2007年に同音楽祭で新演出上演された『エフゲニー・オネーギン』ではオルガ役を演じている。ダニエル・バレンボイム指揮によるこの上演はDVDがリリースされている。
また、2007年12月にはメトロポリタン歌劇場にプロコフィエフ作曲『戦争と平和』のエレン・ベツーホワ役でデビュー。2008/09シーズンには、バイエルン国立歌劇場の『アイーダ』アムネリス役でのドイツ・デビュー、ローマ歌劇場での『アウリスのイフィゲニア』のクリテムネストラ役でイタリア・デビューと、活躍の場を広げている。
ミラノ・スカラ座が日本公演を控えた今年7月に行ったテルアビブへのツアーにも参加。バレンボイム指揮のもと、『アイーダ』のアムネリスとヴェルディの「レクイエム」ソリストを務めた。ヴェルディの「レクイエム」は、ミラノでもバレンボイム指揮のもと歌っている。
初来日は2006年、リッカルド・ムーティ指揮のヴェルディの「レクイエム」(東京オペラの森公演)。2008年にはパリ・オペラ座『トリスタンとイゾルデ』のブランゲーネ役でも来日している。
ミラノ・スカラ座日本公演の開幕が目前に迫ってきましたが、すでに来日し公演準備に取りかかっているスカラ座側より、8月28日現在の「アイーダ」と「ドン・カルロ」の主な配役の発表がありましたので、下記のとおりお知らせいたします。2009年1月末日つけで発表させていただいております配役に一部変更が生じております。なにとぞ、ご了承のほどをお願い申し上げます。
「アイーダ」の9月9日(水)と11日(金)の公演でラダメス役に予定されていたワルター・フラッカーロは喉の炎症による音声障害のため出演できず、代わってスチュアート・ニールがラダメスを演じることになりました。
「ドン・カルロ」の9月8日(火)に宗教裁判長、9月13日(日)と17日(木)にフィリッポ2世を演じる予定だったサミュエル・ラミーは体調不良により自ら降板を申し出てきました。これにともない、宗教裁判長は全公演アナトーリ・コチェルガが、フィリッポ2世は全公演ルネ・パーペが演じることになります。9月15日のエボリ公女はドローラ・ザージックに代わりダブル・キャストのアンナ・スミルノヴァが演じます。また、ロドリーゴ役を9月12日(土)と15日(火)に演じる予定のトーマス・ヨハネス・マイヤーから急病のため来日できないとの一報が入りました。理由は分かり次第発表させていただきますが、氏に代わってダリボール・イェニスが全公演ロドリーゴを演じることになります。
重ねて、ご理解とご了承のほどをお願い申し上げます。
※【8/26更新】定員に達したため、お申し込みを締め切らせていただきました。
ミラノ・スカラ座初日直前の9月2日、イタリア文化会館にて、スカラ座広報部長カルロ・マリア・チェッラによるレクチャーが開催されます。
日本公演で上演されるG.ヴェルディのオペラ「アイーダ」と「ドン・カルロ」について、DVDを使用しながらレクチャーをします(日伊同時通訳付)。作品への理解を深めるまたとない機会。公演をご覧になる前にぜひご参加ください。
◆日時:9月2日(水)18時(開場17時30分)
◆会場:イタリア文化会館アニェッリホール[東京都千代田区九段南2-1-30]
◆入場無料
◆お問合せ:イタリア文化会館 Tel. 03-3264-6011
*聴講をご希望の方は、件名を「9月2日レクチャー」とし、氏名、電話番号、参加人数を明記の上、メール(eventi.iictokyo@esteri.it)またはFAX(03-3262-0853)にてお申し込みください。
主催:イタリア文化会館
協力:ミラノ・スカラ座、日本舞台芸術振興会
今年秋に行われるミラノ・スカラ座日本公演「アイーダ」と「ドン・カルロ」のエキストラの募集をいたします!
このたび上演いたします「アイーダ」と「ドン・カルロ」は、本拠地ミラノでも100名を超えるエキストラを必要とする大規模な演目です。
超一流の歌手、オーケストラ、合唱、豪華なセットのこのオペラのエキストラとして、あなたもミラノ・スカラ座の舞台に立ちませんか?
両演目の参加でも、どちらか一演目のみの参加でも結構です。
1.応募条件
リハーサル、ゲネプロ、本番すべてに参加できる方。
※集合時間が変更される場合もありますので遅れないよう、必ずスケジュールをご確認ください。なお、リハーサルは変更・キャンセルになる場合がございます。あらかじめご了承ください。
2.スケジュール
「アイーダ」
8月26日(水) | 14:00-17:00 | オーディション・衣装合わせ | NHKホール |
18:00-22:00 | リハーサル | ||
8月27日(木) | 10:30-18:00 | リハーサル | |
8月28日(金) | 10:30-13:00 | リハーサル | |
14:00-17:30 | 立ち稽古(3幕・4幕) | ||
19:30-22:00 | 立ち稽古(2幕) | ||
8月29日(土) | 14:00-17:00 | 立ち稽古(1幕・2幕) | |
19:00-22:00 | ピアノリハーサル(1幕・2幕) | ||
8月30日(日) | 14:00-17:00 | ピアノリハーサル(3幕・4幕) | |
9月2日(水) | 11:00-13:00 | 総稽古(2幕) | |
16:00 | 舞台総稽古 | ||
9月4日(金) | 17:00 | 本番1 | |
9月6日(日) | 15:00 | 本番2 | |
9月9日(水) | 18:00 | 本番3 | |
9月11日(金) | 16:00 | 本番4 |
「ドン・カルロ」
8月27日(木) | 18:15-20:30 | オーディション・衣装合わせ | NHKホール |
8月30日(日) | 10:00-12:30 | リハーサル | |
8月31日(月) | 15:00-18:00 | リハーサル | |
9月1日(火) | 14:00-17:00 | ピアノリハーサル(1幕・2幕) | 東京文化会館 |
19:00-22:00 | ピアノリハーサル | ||
9月3日(木) | 10:00-12:30 | 総稽古(1幕) | |
14:30-17:30 | 総稽古(2幕) | ||
19:30-21:30 | 立ち稽古(4幕) | ||
9月4日(金) | 10:30-12:30 | 総稽古(3幕・4幕) | |
9月5日(土) | 16:00 | 舞台総稽古 | |
9月8日(火) | 18:00 | 本番1 | |
9月12日(土) | 15:00 | 本番2 | |
9月13日(日) | 15:00 | 本番3 | |
9月15日(火) | 18:00 | 本番4 | |
9月17日(木) | 15:00 | 本番5 |
3.募集人数
「アイーダ」 男性86名(*女性の募集は締め切らせていただきました。)
「ドン・カルロ」男性34名(*女性の募集は締め切らせていただきました。)
4.出演料
リハーサル 3,000円/1日
ゲネプロ・本番 5,000円/1回
※交通費含む。
※リハーサルがキャンセルとなった場合の支払いはありません。
※リハーサル・本番中の食事は各自ご用意ください。
5.応募方法
以下の応募用紙のファイルをダウンロードし、各項目をご記入の上、Faxか郵送、メールにてご応募ください。
[PDFファイル:応募用紙]
応募用紙をお送りいただきました時点で、オーディションへの登録となります。ご応募を取り消される場合、またはオーディション当日お越しになれなくなった場合には必ず事前にご連絡くださいますようお願い申し上げます。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
財団法人 日本舞台芸術振興会
目黒区目黒4-26-4
FAX:03-5721-8011
E-mail:promotion@nbs.or.jp
担当:森下
ミラノ・スカラ座「アイーダ」を指揮するバレンボイムとパレスチナ人思想家エドワード・サイードの発案で、対立するイスラエルとアラブ諸国の若い音楽家たちが共に演奏するオーケストラ"ウエスト・イースタン・デヴァインオーケストラ"演奏会がNHK「芸術劇場」で放映されます。
□番組名:NHK「芸術劇場」(NHK教育テレビ)
□放送日:2009年4月3日(金)22:30-24:45 NHK教育
□放送内容
情報コーナー「バレンボイム 平和への祈り」
公演コーナー「バレンボイム指揮 ウエスト・イースタン・デヴァインオーケストラ演奏会」
昨年12月7日、ミラノ・スカラ座2008/2009シーズンの幕開けを飾った、ダニエレ・ガッティ指揮『ドン・カルロ』。田口道子さんのレポートでもこのプレミエの模様をお伝えしましたが、このたび各新聞批評がミラノ・スカラ座から届きましたので、ご一読ください。
『フィナンシャル・タイムズ』 アンドリュー・クラーク
『ドン・カルロ』は、かなり充実したできばえだった。その健闘ぶりの背景には、スカラ座とこのオペラの特別な関係がある。なぜなら、元々は1867年のパリで5幕物のオペラとして上演されたこの作品を、ヴェルディはここスカラ座で、4幕形式のイタリア語版に書き換えたからである。スカラ座でのオープニングは長大なセレモニーと化し、4時間30分という長丁場の一夜となった。しかし、舞台の工夫がみごとだったので、時はまたたくまに過ぎていった。今回の成功の立役者として真っ先に挙げられるのは、ダニエレ・ガッティである。そのゆったりとしたテンポは、常に「レガート・カンタービレ」。しかし、無理な作為は微塵もなく、絶妙にコントロールされており、ヴェルディの器楽部分の美しさと歌唱のしなやかさを浮き彫りにした。それは随所に発揮され、なかでも、人生と愛への別れを歌いあげるドン・カルロとエリザベッタのフィナーレの二重唱は白眉となった。エクサン・プロヴァンスやザルツブルク音楽祭でサイモン・ラトルとともにワーグナーの《指環》を手がけているフランス人演出家、シュテファン・ブラウンシュヴァイクが果たした功績も大きい。ブラウンシュヴァイクは、スカラ座が歌の劇場であることをよく心得ており、その演出は、ティボー・ファン・クローネンブロックがデザインしたルネサンス期スペイン風の僧衣や上衣とともに、歌うという行為を何よりも優先させるものとなった。しかし、ブラウンシュヴァイクは、ヴェルディのオペラの元となったシラーの戯曲に対しても、きわめて深い洞察を示した。‥‥異端者火刑の場面は異様なまでの迫力で、大勢の登場人物からなるフレスコ画ではなく、個人のドラマが描き出され、フィリッポ2世に対する私刑に立ち会っているかのようだった。
スチュアート・ニールのカルロは――力強く、明晰かつ繊細――大きな驚きだった。ダリボール・イェニスは満足すべきロドリーゴ像を作りあげた。アナトリー・コチェルガは、冷徹無比の宗教裁判長。フィオレンツァ・チェドリンスは控えめなエリザベッタで、歌いあげる箇所よりもピアニッシモにおいてその力量を発揮した。代わってプリマドンナの役割を担ったのがドローラ・ザージック。公演は成功のうちに終わった。
『ジョルノ』 エルヴィオ・ジュディチ
ますます評価を高めるスカラ座での『ドン・カルロ』公演‥‥ダニエレ・ガッティの指揮もまた、明暗のコントラストをますます強め、音楽としてもドラマとしても深い内容に裏打ちされた無限のディテールに彩られたものとなった。それとぴったり調和していたのが、本物の演出によって作られた舞台、すなわち、単なるイメージではなく、登場人物たちの内面世界を照らし出すことに腐心した舞台作りである。‥‥音楽も舞台も――オペラ作品である以上、当然といえば当然だが――キャストに焦点が集められた。ますますはっきりしてきたのは、スチュアート・ニールの実力のほど‥‥当初はもちろん慎重さが目立ったが、その後は充実した安定感と力強さにあふれていた。つややかな美声が、明暗のコントラストに一層の磨きをかけ、それによって、興味深くも多面的な役柄を表現するのに成功した。異端者の火刑の場では、切り裂くような鮮烈なB音をいともやすやすと歌いこなした。つづいて秀逸だったのが、ミカエラ・カロージのエリザベッタ。ゆたかな声量、魅力的な陰影に富む中・低音域、響きわたる高音域は、宙に薄く漂うのも、包みこむのも思いのまま。それはアポッジョや呼吸の卓越したコントロール技術のたまものである。スケールゆたかな声量とすばらしい声質、それに、言うにおよばず、洗練されたそのフレージングや演技において、アンナ・スミルノヴァはファーストキャストのエボリを圧倒した。‥‥嬉しい驚きだったのが、バリトンのトーマス・ヨハネス・マイヤー。声量よりも美声に優るマイヤーの、牢獄の場面でのたぐいまれな繊細さは心に深く響いた。
『イル・ガッゼッティーノ』 マリオ・メッシニス
ダニエレ・ガッティは、フィリッポ2世の苦悩や、このオペラの政治的駆け引きと激情の場面だけをことさらクローズアップするのではなく、ストーリーのいくつもの流れの間に完璧なバランスを作りあげる。それによって、ドラマチックな緊張を直截な洞察力で掘り下げると同時に、哀切きわまりない数々の場面を、登場人物たちの不安に打ち震える内面を、ドン・カルロとエリザベッタの品位に満ちた悲嘆を浮き彫りにする。器楽パートを綿密に分析したガッティは、ヴェルディ音楽とオーストリア=ドイツ文化との間の――あからさまではないが、地下水脈のように流れている――近親性を強調する。管弦楽による荘厳な表現が、隅々にまで神経が行き渡ったフレージングの繊細さと共存する。‥‥それは独創的かつ啓発に満ちたテクスト解釈といえる。あらゆるパートにわたってこれほど透明かつコンパクトな音楽をスカラ座管弦楽団から聴いたのは稀にみる経験である。オーケストラは、さまざまな音域が均質にほどよく溶け合い、まるで中央ヨーロッパのような音を奏でた。
『イル・ソーレ24オーレ』 カルラ・モレーニ
観客は‥‥『ドン・カルロ』を観るために――ただそれを観るためだけに!――スカラ座に足をはこんだ。音楽のためだけに訪れた観客は、知性を全開にし、感動に身を任せながら、みずからの五感を通じて体験した。
指揮台に立つガッティの卓越した統率力の功績。緊迫したテンポ、安易な迎合は一切なく、反対に、細部までコントロールを効かせ、オーケストラをこれでもかとばかりに駆り立てる。そこに奏でられる音楽はこよなく美しく、特に独奏の部分は、洗練されたテイストと繊細な分節法によって引き立てられる。ガッティのこのスカラ座のヴェルディこそは、ムーティ、アッバード、そしてその前の時代の最良の伝統を汲みあげるものである。毅然として伝統をよみがえらせるガッティの腕は、舞台に完璧に映し出され、このオペラについての苦い直観によってさらに磨き上げられる。たとえば、宮廷の軽やかな情景が、異端者の火刑の場と対比される。あちらでは死に向かい、こちらでは祝祭へと急ぐ。スカラ座に音楽監督が必要だとするなら、ここにその監督がいる。
『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』 ジョージ・ルーミス
ブラウンシュヴァイクがエクサン・プロヴァンスやザルツブルクで手がけているワーグナーの《指環》の制作に対しては賛否両論が入り乱れたが、今回のスカラ座での制作は、元々の規模に立ち返った注目すべきものであり、伝統的な舞台演出のもつメリットが生かされている。
ブラウンシュヴァイクのアプローチは、このオペラが今回のような形――つまり、ヴェルディがミラノの上演に際して改訂した4幕版――で上演されたとき、特別な意味をもつ。そこではフォンテヌブローの森の場面が省かれるが、あざやかな記憶として残される。
ダニエレ・ガッティ指揮
ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団 特別演奏会
■公演日時:2009年9月16日(水) 7:00p.m.
■会場:NHKホール
■入場料(税込):
S=¥19,000 A=¥17,000 B=¥15,000 C=¥10,000 D=¥7,000
■一斉前売開始日:2009年4月11日(土)10:00a.m.~
■NBS WEBチケット先行抽選予約受付期間:3月10日(火)~3月26日(木)
■予定される曲目
~ヴェルディ・プロ~
「ルイザ・ミラー」より
序曲
「第1回十字軍のロンバルディア人」より
合唱「大いなる都イェルサレム」
合唱「おお主よ、ふるさとの家々を」
「マクベス」より
第3幕の魔女や悪霊の踊り
合唱「しいたげられた祖国よ」
「ドン・カルロ」より
合唱「喜びの日の夜が明けた」
「ナブッコ」より
序曲
合唱「祝祭の聖具は落ちて壊れるがいい」
合唱「行け、わが思いよ、金色の翼に乗って」
「シチリア島の夕べの祈り」より
序曲
「オテロ」より
第3幕のバレエ音楽
「アイーダ」より
合唱「エジプトの栄光」
バルバラ・フリットリ ソプラノ・リサイタル
■公演日時:2009年9月18日(金) 7:00p.m.
■会場:東京オペラシティ コンサートホール
■入場料(税込)
S=¥15,000 A=¥12,000 B=¥9,000 C=¥6,000 D=¥4,000
■一斉前売開始日:2009年4月11日(土)10:00a.m.~
■NBS WEBチケット先行抽選予約受付期間:3月10日(火)~3月26日(木)
■予定される曲目
モーツァルト:
レチタティーヴォ「私は予感していた」と
アリア「ああ、おまえは私の視線を避ける」K.272
モーツァルト:
歌劇『コシ・ファン・トゥッテ』より
フィオルディリージのアリア「岩のように動かずに」
モーツァルト:
レチタティーヴォ「哀れな者よ、おお夢よ目覚めよ」と
アリア「まわりにそよぐ微風」K.431(425b)
ヴェルディ:
歌劇『アイーダ』より
アイーダのアリア「勝ちて帰れ」
ヴェルディ:
歌劇『ドン・カルロ』より
エリザベッタのアリア「世の虚しさを知る神よ」
ヴェルディ:
歌劇『オテロ』より
「アヴェ・マリア」
レオンカヴァッロ:
歌劇『道化師』より
ネッダのアリア「矢のように大空に放たれて飛ぶ」
ほかオーケストラ曲
指揮:アンドリー・ユルケヴィッチ
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
2月15日(日)の日本経済新聞にミラノ・スカラ座2009年日本公演の特集記事が掲載されました。
「アイーダ」、「ドン・カルロ」の作品解説、「ドン・カルロ」を指揮するダニエレ・ガッティ、「ドン・カルロ」でエリザベッタ役を演じるバルバラ・フリットリのインタビュー、ミラノ・スカラ座の衣裳工房レポートなどが掲載されています。