英国ロイヤル・オペラ 2010年日本公演
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スタッフ&キャスト
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指揮:アントニオ・パッパーノ[英国ロイヤル・オペラ音楽監督] Conductor : Antonio Pappano 1987年にオスロでオペラ指揮者としてデビューし、90年には早くも同オペラの音楽監督に迎えられたパッパーノは、92年には32歳の若さでモネ劇場の音楽監督に迎えられました。英国ロイヤル・オペラの音楽監督に就任するまでの10年間には、モネ劇場での活動のほか、ウィーン国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場、バイロイト音楽祭へとデビューを飾り、オペラ指揮者としての地位を揺るぎないものとしていたのです。 デビューから数年にして、歌劇場の重要ポストに迎えられた理由としては、パッパーノが“劇場育ち”の指揮者であることが大きいでしょう。イタリア人の両親の下、ロンドンに生まれ、13歳のときにアメリカ合衆国へと渡ったパッパーノは、ピアノと作曲を学んだ後、ニューヨーク・シティ・オペラやバルセロナのリセウ劇場、フランクフルト、シカゴのオペラハウスでアシスタント・コンダクターとして研鑽を積んでいます。そしてさらに、バイロイトではダニエル・バレンボイムのアシスタントとして6年という歳月を過ごしました。パッパーノは当時を振り返り、こう語ります。「オペラの指揮は自分のやり方でやっています。でも、バレンボイムの下でのバイロイトで得た最初の影響というのは、あり続けることもたしかです」 2002年9月英国ロイヤル・オペラ音楽監督に就任以来、パッパーノは数々の作品を手がけ、ロンドンの聴衆を魅了し続けています。共演者をはじめ、舞台をつくる多くの仲間たちとのコミュニケーションを大切に考えるのがパッパーノの流儀。「オペラは、言葉、演出、音楽、ドラマ性など、それらが舞台作品としてどう一体化していくかが重要です。すべてが一瞬のうちに一体化することは非常に難しいし、時間も必要。だからこそ、完成したパフォーマンスは演奏者にとっても観客にとってもひとしおの素晴らしさをもたらすのです」 8シーズン目となる2009/10年は、2009年9月に新演出の『トリスタンとイゾルデ』でシーズンの幕開きを飾り、『ジャンニ・スキッキ』/『スペインの時』、『賭博者』(2010年2月/新演出)、『シモン・ボッカネグラ』、そして6月には英国ロイヤル・オペラとしては22年ぶりの新演出となる『マノン』を指揮。 これまでに、音楽監督を務めるローマのサンタ・チェチーリア管弦楽団を率いての来日演奏は行っていますが、日本でのオペラ指揮は今回が初の機会となります。 photo:Sheila Rock 演出:リチャード・エア Director : Richard Eyre 美術:ボブ・クローリー Designs : Bob Crowley 照明:ジェーン・カルマン Lighting : Jane Kalman
CAST
ヴィオレッタ: アンジェラ・ゲオルギュー(ソプラノ) Violetta Valéry:Angela Gheorghiu “神が与えた美貌と美声”“オペラ界のスーパースター”―――アンジェラ・ゲオルギューは、デビュー当初から、こうした言葉とともに世界的な注目を集めてきました。以来、舞台に大輪の華を咲かせるゲオルギューは、オペラ・ファンを虜にする世界のトップ・ディーヴァとして、メトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、ザルツブルク音楽祭など、欧米の主要な歌劇場で活躍を繰り広げています。そうしたなかでも、ゲオルギューにとって英国ロイヤル・オペラは、特別な場所といえます。 ルーマニアに生まれ、ブカレストで学んだゲオルギューが国際的なデビューを飾ったのは1992年、英国ロイヤル・オペラでの『ボエーム』でした。そして94年の『椿姫』の大成功は、ゲオルギューの名を世界のオペラ・シーンに決定づけるものとなったのです。このとき指揮者のゲオルク・ショルティは“心から感動させられて”ゲオルギューをヴィオレッタ役に抜てきしたと伝えられています。また、ショルティは、美しさに加え、ドラマティックな表現力を備えたゲオルギューのヴィオレッタを擁したこの公演が、“歴史的な公演になる”と確信していたともいわれます。 以来、ゲオルギューは英国ロイヤル・オペラで数々の役を演じています。ゲオルギュー自身、自分のキャリアの重要な瞬間と英国ロイヤル・オペラとが結びついていることを認め、「特別な友情を感じる」と語っていますが、英国ロイヤル・オペラの聴衆にとってもゲオルギューは、誇るべき歌い手の一人として愛されています。 まばゆいばかりの舞台姿をみせるゲオルギューですが、その真の魅力は美しく、かつドラマティックに響く歌唱力。豊かな表現力が加わる舞台では、圧倒的な存在感が、観客を魅了してやみません。 Photo:CHOPARD アルフレード・ジェルモン:ジェームズ・ヴァレンティ(テノール) Alfredo Germont : James Valénti 世界のオペラ・シーンにおいて、急上昇中の若手テノールの一人として注目されているのがジェームズ・ヴァレンティです。メトロポリタン歌劇場のナショナル・オペラ・コンペティションでの優勝を機に、2003年、25歳でローマ歌劇場にデビュー。その後はミラノ・スカラ座をはじめ、ジェノヴァ、ボローニャ、ベルリン、ドレスデン、ブリュッセル、サンフランシスコの歌劇場、ザルツブルク音楽祭に招かれ活躍をみせてきました。そして2010年にはメトロポリタン歌劇場と英国ロイヤル・オペラにデビューと、快進撃が続きます。 レパートリーは、プロとしてのデビューを飾った『ボエーム』のロドルフォをはじめ、『蝶々夫人』のピンカートン、『リゴレット』のマントヴァ公爵、さらに『ロメオとジュリエット』のロメオや『ファウスト』のタイトルロールといったフランスもの、さらには『愛の妙薬』のネモリーノ、『ランメルモールのルチア』のエドガルドといったベルカントまで、幅広く網羅していますが、なかでも『椿姫』のアルフレード役は、ザルツブルク音楽祭ではネトレプコと共演、メトロポリタン歌劇場と英国ロイヤル・オペラ、そして来日公演でゲオルギューとの共演と続き、ヴァレンティにとってのこの役が、重要な意味をもつものであることがうかがわれます。 190センチを超えるスレンダーなルックスに甘いマスク、柔らかでなめらかな声質と輝かしい高音―――ヴァレンティは、人気テノールの要素のすべてを備えているといえるでしょう。 Photo:Lisa Kohler ジョルジョ・ジェルモン:サイモン・キーンリサイド Giorgio Germont : Simon Keenlyside ロンドン生まれのサイモン・キーンリサイドは、“英国ロイヤル・オペラのアイドル”というべき存在。プロとしてのデビューの翌年である1988年以来、英国ロイヤル・オペラには定期的に出演し、絶大なる人気を獲得しているのです。もちろん、キーンリサイドの人気はロンドンにとどまるものではありません。ウィーン国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場、バイエルン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座など、世界の名立たる歌劇場での活躍は周知のところです。 モーツァルトをはじめ、ヴェルディやプッチーニなどのイタリアものに加え、ワーグナー、ベルク、ブリテンなど、レパートリーの幅広さは、キーンリサイドの実力を表わすものとなっています。のびやかで堂々たる歌いぶりはもとより、演じる役柄によって、繊細な心情を表わすナイーブさ、情熱あふれる熱血漢、あるいはちょっとコミカルなキャラクターなど、抜群の表現力もキーンリサイドのもつ最大の武器となっています。 オペラ『椿姫』の主役はもちろんヴィオレッタですが、ジョルジョ・ジェルモン役がドラマにおける大きなキーパーソンであることも確か。ヴィオレッタは、愛するがゆえにアルフレードの前から去りますが、それは、ジェルモンの大きな心を受け取ることによって決意されるのです。ヴィオレッタの心の痛みを感じながら、深い愛情を表わすジョルジョ・ジェルモン―――日本のファンの前に、またひとつ、キーンリサイドのあらたな魅力が披露されるはずです。 Photo:Uwe Arens ドゥフォール男爵:エイドリアン・クラーク Baron Duphol : Adrian Clarke 医師グランヴィル:リチャード・ウィーゴールド Doctor Grenvil : Richard Wiegold フローラ・ベルヴォワ:カイ・リューテル Flora Bervoix : Kai Rüütel ドビニー侯爵:リン・チャンガン Marquis D’ Obigny : Changhan Lim ガストン子爵:パク・ジミン Gastone de Letoriéres: Ji-Min Park アンニーナ:サラ・プリング Annina : Sarah Pring ロイヤル・オペラ合唱団 The Royal Opera Chorus ロイヤル・オペラハウス管弦楽団 The Orchestra of the Royal Opera House
※表記の配役は2010年7月23日現在の予定です。 病気や怪我などのやむを得ない理由により出演者が変更になる場合があります。今回の引越し公演においても、予定されていた出演者がやむを得ず出演できない場合は、(指揮者、主役の歌手であっても)代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。出演者変更にともなうチケットの払い戻し、日にちの振替はいたしません。正式な配役は公演当日に発表いたします。