第7回 めぐバレエ祭り 芸術監督 斎藤友佳理 インタビュー 「古典から現代の感性まで多彩な魅力を堪能できる公演に」

Photo: Kiyonori Hasegawa、Nobuhiko Hikiji

「ライモンダ」

8月に開催される第7回めぐろバレエ祭り。そのメインの催しは、毎年、子どもも大人も存分に楽しめる舞台として人気を集めている、東京バレエ団によるバレエ公演だ。注目のプログラムとその見どころを、東京バレエ団芸術監督・斎藤友佳理に聞いた。
まずは、めぐろバレエ祭りで揺るぎない人気を誇る、子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』
「2015 年の初演以来、全国の劇場でたくさんの子どもたちが楽しんでくれた作品です。客席の反応がいつも違うから、上演のたびにいろんな発見があるんです」と、各地の子どもたちの歓声を思い出して笑みを見せる斎藤。東京バレエ団の代表的レパートリー『ドン・キホーテ』を1時間半ほどの長さにまとめ、登場人物による楽しいお話付きのバレエに仕立てた。
「2年前には振付のウラジーミル・ワシーリエフさんがいらしてブラッシュ・アップをしてくださったり、なんと馬のロシナンテの声を自ら演じてくださったり! 団員たちも皆、思い切り楽しみながら取り組んでいます」
 この4年の間に何組ものダンサーが主役を演じたが、今回の2公演では実にフレッシュな配役が実現!
「午前の部のキトリとバジルは秋山瑛と池本祥真。東京バレエ団入団後、様々なソリスト役を踊っていますが、二人で組んで主役を踊るのはこれが初めてです。午後の部は伝田陽美と柄本弾。『ラ・バヤデール』のガムザッティとソロル、『エスメラルダ』のパ・ド・ドゥなどで高評を得ている二人です。両組とも、それぞれの個性を思う存分発揮し、舞台をリードしてくれるでしょう」
 もういっぽうの公演は〈サマー・バレエ・コンサート〉。例年趣向を凝らしたプログラムで人気を得ているコンサート形式の公演に、斎藤は指導者として様々な思いを込める。
「様々なパ・ド・ドゥを上演するコンサート形式の公演は、ダンサーたちにとって意義深い勉強の場に。また、コンサート形式でやるたびに、必ず新作を上演しようとも決めています。皆には、多くの方々に喜んでいただける小品のレパートリーが必要と考えているからです。
 実は、今年はアグリッピーナ・ワガノワの生誕140年にあたるんです。そこで、彼女の作品の中でもっともよく知られたパ・ド・ドゥ、『ディアナとアクテオン』を取り上げます。全幕バレエ『エスメラルダ』の劇中劇で、抜粋で上演される機会は多いけれど、東京バレエ団にとっては初挑戦です」
 ワガノワといえば、数多くのスターを輩出したロシアの名門バレエ学校、ワガノワ・バレエ・アカデミーを思い浮かべる人が多いだろう。
「そう! でも、実際のところ何をした人なのか、あまりよく知られていませんね。ワガノワはバレエの指導法を体系化し、より正確に、より効率的にバレエを習得する方法を確立した教育者として、舞踊史にその名を残しています。バレエに携わる人、興味を持って観てくださる方々には、ぜひ、彼女のことを少しでも知っていただきたいと思っているんです」
 ダイナミックな技にあふれる野性味たっぷりのパ・ド・ドゥを、若手の涌田美紀と井福俊太郎、吉江絵璃奈と池本祥真がどう魅せてくれるか、楽しみだ。
 続いてはがらりと雰囲気を変えて『眠れる森の美女』より“ローズ・アダージオ”の登場。 「オーロラ姫とともに、真摯にアダージオに取り組む四人の王子たちにもご注目を。また『海賊』のパ・ド・トロワは川島麻実子と秋元康臣、宮川新大と、3月の全幕初演とは違った組み合わせでお届けします。クライマックスは上野水香と柄本弾を中心としたベテラン勢による『ライモンダ』より。昨年の初演で人気を得た作品ですが、より精度の高い上演を目指します」
 さらに、3年目を迎えた団員の振付プロジェクト〈Choreographic Project〉から、2月のステージで観客賞に選ばれたブラウリオ・アルバレスの『夜叉』にくわえ、審査対象外で上演し高く評価された岡崎隼也の『理由』も上演。
「様々な色合いの古典から、団員たちの現代的な感性から生まれた作品まで、ダンスの多彩な魅力をたっぷりと堪能いただける公演になります。どうぞお楽しみに 」

Photos: Kiyonori Hasegawa

「ドン・キホーテの夢」

第7回
めぐろバレエ祭り

東京バレエ団
〈サマー・バレエ・コンサート〉
子どものためのバレエ
「ドン・キホーテの夢」

東京バレエ団
〈サマー・バレエ・コンサート〉

【公演日】

2019年
8月24日(土)12:00(開場11:30)
8月24日(土)15:30(開場15:00)

会場:めぐろパーシモンホール大ホール(東急東横線「都立大学駅」より徒歩7分)
*音楽は特別録音による音源を使用します

【予定される上演作品】

【第1部】

    ワガノワ生誕140年記念
    「ディアナとアクテオン」コール・ド・バレエ付上演
    「眠れる森の美女」より“ローズ・アダージオ”
    「海賊」より“パ・ド・トロワ”
【第2部】
    コレオグラフィック・プロジェクト〈Choreographic ProjectⅣ〉
    「理由」 振付:岡崎隼也
    「夜叉」 振付:ブラウリオ・アルバレス
【第3部】
    「ライモンダ」より 出演:上野水香、柄本 弾 ほか

子どものためのバレエ
「ドン・キホーテの夢」

【公演日】

2019年
8月25日(日)11:30(開場11:00)  キトリ:秋山 瑛 バジル:池本祥真
8月25日(日)14:30(開場14:00)  キトリ:伝田陽美 バジル:柄本 弾

会場:めぐろパーシモンホール大ホール(東急東横線「都立大学駅」より徒歩7分)
*音楽は特別録音による音源を使用します

【入場料[税込]】

S=¥5,000 A=¥4,000
[中学生以下:S=¥2,500 A=¥2,000]

対象:4歳以上