2019年1月14日開催のスタジオ・パフォーマンス Photo: Kiyonori Hasegawa

英国ロイヤル・オペラ事務局長来日

神奈川県民ホール、舞台袖でチェックするコーマック・シムズ事務局長

 去る3月中旬、英国ロイヤル・オペラのコーマック・シムズ事務局長が日本公演の準備のため来日しました。前回の日本公演では神奈川県民ホールでの公演がありませんでしたが、今回は『オテロ』『ファウスト』の両演目計3公演が行われることから、神奈川県民ホールのチェックは重要です。舞台袖の広さや高さの確認はじめ、オーケストラ・ピット、楽屋やリハーサル室の広さや設備などを細かくチェックしていました。また、出演者が宿泊するホテルでも、部屋の一つひとつを実際に見て、細かくメモをとっていました。
 オペラを上演するための機能を備えた「オペラハウス」の上演を、機構的に充分とはいえない日本の劇場で再現するためには、常にさまざまな困難が生じます。舞台機構だけでなく、楽屋の数、リハーサルや衣裳などの荷物を置くスペースなど、公演開幕まで半年の時点から、綿密にプランをつくっていかなければなりません。
 ジェットラグを感じる間も無いほどの短期滞在でシムズ事務局長はロンドンへと戻って行きました。


日本公演を見据え、
ロンドンで『ファウスト』公演!

 ロンドンのロイヤル・オペラハウスでは4月11日から5月7日まで、『ファウスト』を公演。今公演は、日本とはキャストは異なりますが、もちろん秋の日本公演を見据えてのこと。初演からすでに15年を誇る人気ロングラン演目ですが、舞台装置の仕込みや転換については、日本側の舞台監督を交え、日本での公演を検討しながら、いつもより念入りな準備がされていたようです。
 舞台には、この前後に公演がある『運命の力』と、翌週に始まる『ビリー・バッド』、そしてバレエ『ロミオとジュリエット』の舞台装置がスタンバイ状態となっていました。
 『ファウスト』の舞台装置は、“吊りもの”が比較的多く用いられています。まずは大掛かりな“吊りもの”を、一つひとつ準備して作業が進められていきました。
公演初日の11日は、この作品が、どこかイリュージョンのような魅力をもっているせいなのか、いつもより若い観客の数が多かったようです。クスクスと笑い声が聞こえたのは、「キャバレー地獄」で踊り子たちが踊る場面。たしかに、何度見てもこの場面は笑顔になってしまいます。もう一つ、通常のオペラとは異なる盛り上がりを見せるのは第5幕のバレエの場面。こちらは舞台上でダンサーたちが声を上げて摩訶不思議な「ワルプルギスの夜」を楽しませてくれるのです。
 オペラ『ファウスト』は、これまで日本ではほとんど上演の機会が無かった演目なので、秋の日本公演で初めて観るという方も多いはず。とびきり楽しいロイヤル・オペラの舞台をどうぞお楽しみに!

まずは図面を見ながら、続いて現場での打ち合わせ。