ミラノ・スカラ座 マリーナ・レベカ サイオア・エルナンデス Photo: Kiyonori Hasegawa

ミラノ・スカラ座2020年日本公演
王道『椿姫』と最新『トスカ』
二人のプリマに注目!

Photos: Janis Deinats

マリーナ・レベカ

Photos: Janis Deinats

サイオア・エルナンデス

  本紙表面で発表の通り、来たる2020年にはミラノ・スカラ座日本公演が開催されます。上演される演目『椿姫』と『トスカ』が、イタリア・オペラを代表する2作であることは誰もが認めるところでしょう。『椿姫』は、すでに1995年の日本公演でも上演されたリリアーナ・カヴァーニ演出による伝説的な名舞台。一方の『トスカ』は、今年12月にスカラ座のシーズン開幕を飾る新演出版ということで、その舞台は厚いヴェールに包まれているという状況です。
 どのような演出かがわかっていてもいなくても、オペラ・ファンならこの両演目について、「誰がヴィオレッタ?」「トスカを歌うのは誰?」と問わずにはいられないはず。まずは日本公演で歌う二人のプリマドンナについてご紹介しておきましょう。
 ヴィオレッタを歌うのはラトビアのリガ生まれのマリーナ・レベカ。幼い頃はバレエ・ダンサーを夢みたけれど、13歳のときに祖父とともに行った『ノルマ』を観て「あれを歌いたい!」とオペラの道へ進んだとのこと。声楽を学んだのは生地とイタリア。ローマ・サンタ・チェチーリア音楽院在学中にはザルツブルクやペーザロのアカデミーでも学びました。2009年にザルツブルクでリッカルド・ムーティの指揮で歌ったことが国際的な注目を集めるきっかけとなり、いまや世界中の歌劇場で活躍をみせています。ロッシーニ、モーツァルトをはじめとした数々のレパートリーに、なめらかで美しい声質と強力で豊かな表現力が発揮されていますが、なかでも、ヴィオレッタはメトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場、パリのバスティーユ・オペラ、ミラノ・スカラ座など、世界のトップ歌劇場で歌っている最大の当たり役。“現代最高のヴィオレッタの一人”と認められています。
 トスカを歌うスペインのサイオア・エルナンデスは、スカラ座イチ押しの俊英ソプラノ。2018年のシーズン開幕『アッティラ』のオダベッラで圧倒的な存在感をもって大成功をおさめました。2019年開幕公演『トスカ』は、アンナ・ネトレプコとのダブル・キャストでの登場となります。また、スカラ座は2019/2020年シーズン、新演出『仮面舞踏会』、『ジョコンダ』にもエルナンデスの出演を予定しています。エルナンデスのレパートリーには、『ナブッコ』のアビガイッレや『マクベス』のマクベス夫人、『アイーダ』のタイトルロールなど、強力な声や表現力が要求される役柄が並んでいます。プリマドンナ・オペラと呼ばれる『トスカ』のタイトルロールにも、声の強さと技巧、深い表現力が必須。もちろんトスカも、彼女のレパートリーのトップに挙げられています。
 『椿姫』と『トスカ』は、イタリア・オペラの代表作であり、ミラノ・スカラ座が他の追随を許すことができない二大巨匠ヴェルディとプッチーニの傑作でもあります。スカラ座の威信を担うこととなる“現代最高”と呼ばれる歌姫の登場に、どうぞご期待ください。


東京バレエ団の柄本弾、
NHK Eテレ『旅するフランス語』に出演

Photos: Nobuhiko Hikiji

 東京バレエ団プリンシパル・柄本弾が10月から新シリーズがはじまるNHKEテレの『旅するフランス語』に“旅人”として出演することになりました!
 舞台はフランス・トゥールーズとバスク地方。ダンスやスポーツなど、様々なアクティビティで現地の人々と交流しながら、初めてのフランス語に挑戦します。ぜひご覧ください!

■初回放送日

10月3日(木)午後11:30〜11:55(以降、毎週木曜)

■再放送

翌週月曜 午前6:00〜6:25


東京バレエ団10月公演
勅使川原三郎新作
タイトル(「雲のなごり」)&出演者決定

 東京バレエ団創立55周年記念委嘱作品として、世界的振付家 勅使川原三郎氏を迎えて創作が行われている新作について、このたび作品タイトルと出演者が決定しました。
 リハーサルはこの7月~8月に東京バレエ団スタジオで開始。出演ダンサーたちは武満徹の音楽と勅使川原氏のダンスメソッドに身をゆだねながら、独特のダンスボキャブラリーを身体に染み込ませ、磨いてきました。今後、どのようにダンスが構築されていくのか、ぜひ10月26日(土)、27日(日)に東京文化会館で行われる世界初演の舞台にご期待ください。

■作品タイトル:「雲のなごり」
■演出・振付・照明・美術:勅使川原三郎
■音楽:武満徹「地平線のドーリア」「ノスタルジア」
■出演: 沖香菜子、三雲友里加、柄本弾、秋元康臣、池本祥真(以上、東京バレエ団)、 佐東利穂子(KARAS)
■指揮:ベンジャミン・ポープ
■演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団