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2025/07/03 2025:07:03:12:59:15

3年後にまた会いましょう!東京文化会館
2009年 第12回世界バレエフェスティバル特別プログラム〈オマージュ・ア・ベジャール〉カーテンコールより
photo: Kiyonori Hasegawa

 64年もの長きにわたり「オペラ・バレエの殿堂」として、わが国のバレエやオペラの公演を支えてきた東京文化会館。NBS主催公演の拠点でもあった東京文化会館が、発表されておりますとおり、来年(2026年)5月より3年間の工事休館に入ります。建物の老朽化が進んでおり、改修工事はやむを得ないとはいえ、この3年間の空白にはさまざまな想いが巡ります。すでに休館まで1年を切り、カウントダウンが始まっています。東京文化会館の休館はオペラ・バレエ愛好家の皆さまにとって、海外の芸術団体による大型公演を観る機会が失われることを意味します。

2009年ミラノ・スカラ座「ドン・カルロ」
photo: Kiyonori Hasegawa
シルヴィ・ギエムが最後に『白鳥の湖』(第2幕より)を踊ったのも東京文化会館だった(2007年、東京バレエ団との共演。王子役は二コラ・ル・リッシュ)
photo: Kiyonori Hasegawa

 当ホームページをご覧になっている方の中には「ほかにもオペラやバレエをやっている劇場はあるのにどうして?」と不思議に思われる方も少なからずいらっしゃると思います。それぞれの劇場によって事情は異なるものの、大型の舞台装置を飾れる舞台スペースや機構がなかったり、1団体が連続で使用できる日数に制限があったり、客席数が少なくて興行的に成立しないなど、オペラやバレエ公演に適した劇場が首都圏には致命的に不足しているのが現状なのです。

2018年シュツットガルト・バレエ団『白鳥の湖』
3層構造になっている巨大な回廊が特徴のユルゲン・ローゼのデザインによる舞台装置。
photo: Kiyonori Hasegawa
2008年英国ロイヤル・バレエ団『シルヴィア』
photo: Kiyonori Hasegawa
マリアネラ・ヌニェスのプリンシパル昇進後、日本における全幕初主演の舞台

 「大阪や名古屋、福岡や札幌のような大都市でやればいいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかと思います。それらの都市にも素晴らしい機構を備えた劇場がありますが、集客という観点では現状で1公演かせいぜいで2公演しかできないのが実態と言わざるを得ません。

 首都圏の劇場不足によって一番懸念されることが、観客の皆さまの鑑賞機会が失われることと、わが国のバレエやオペラ活動そのものが衰退することです。とはいえ、我々にはこの如何ともしがたい事実を受け入れるほかなく、この3年間をいかに乗り切るという難題に、全身全霊をかけて取り組むほかありません。観客の皆さまには大変不本意ながらご不便をおかけしたり、物足りなさを感じさせてしまうなど、これまで通りに行かないことが多くなるに違いありません。我々自身が首都圏の劇場不足によって苦境に立たされていることを、ぜひともご賢察のうえご理解をたまわりたくお願い申し上げます。

2012年ウィーン国立歌劇場『アンナ・ボレーナ』
中央は"コロラトゥーラの女王"として君臨したエディタ・グルベローヴァ
photo: Kiyonori Hasegawa
1976年、第1回〈世界バレエフェスティバル〉カーテンコール
3年に1回のバレエ界最大の祝祭も東京文化会館からはじまった
photo: Seiichi Hasegawa

 東京文化会館が来年5月に工事休館に入るまでに、NBSは同会館において下記の主催公演を予定しています。3年間はあまりにも長いと感じますが、ここであらためて、東京文化会館を愛し、公演に足を運んでくださったお客様への感謝と、劇場への慰労の気持ちをこめ、「3年後にまた会いましょう!東京文化会館」と銘打ち、休館に入る最後の日まで、皆さまとともに一公演ごとにカウントダウンしながら、東京文化会館に想いを馳せたいと思っています。そして2029年の春まで皆さまと心を一つにして、東京文化会館がリノベーションを終えて再開場する日を待ちたいと思います。再開場の暁には東京文化会館の新しい門出を祝い、一緒に祝杯を上げられることを願っています。

2020年 コロナ禍の初期、様々な工夫の元で開催されたパリ・オペラ座バレエ団『オネーギン』
photo: Hidemi Seto

3年後にまた会いましょう!東京文化会館

NBSによる東京文化会館休館までのラインナップをご紹介します。

1:2025年6月20日(金)~29日(日)

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団
『眠れる森の美女』、『シンデレラ』

※休館前、最後の大型招聘バレエ公演となりました。

2:2025年8月1日(金)~11日(月祝)

〈バレエ・スプリーム〉
※休館前、パリ・オペラ座、英国ロイヤル・バレエ団に関連する最後の公演となります。

オペラ座&ロイヤルの精鋭が贈る  〈バレエ・スプリーム 〉
3:2025年9月20日(土)~23日(火祝)

東京バレエ団『M』
※休館前、最後のベジャールの全幕作品上演となります。

東京バレエ団『M』
4:2025年10月5日(日)~26日(日)

ウィーン国立歌劇場『フィガロの結婚』、『ばらの騎士』
※休館前、最後の大型オペラ招聘公演となります。このような350名規模の来日による招聘公演は、今後ますます貴重になります。

ィーン国立歌劇場
5:2025年11月2日(日)~3日(月祝)

東京バレエ団『ラ・シルフィード』

東京バレエ団『ラ・シルフィード』
6:2025年11月18日(火)~24日(月祝)

東京バレエ団『ドン・キホーテ』

東京バレエ団『ドン・キホーテ』
7:2025年12月11日(木)~14日(日)

東京バレエ団『くるみ割り人形』
※休館前最後の『くるみ割り人形』となります。

8:2026年2月下旬

東京バレエ団公演

9:2026年3月下旬

東京バレエ団公演

10:2026年4月末~5月上旬

大型オペラ公演予定
※本公演が東京文化会館休館前、最後のオペラ公演になります。

11:2026年5月上旬

東京文化会館 さよなら公演予定。