会場はつねに、熱狂と興奮のるつぼ。
東京を世界最大のバレエ国際都市へとのし上げたフェスティバル。

写真は第14回のカーテンコールよりPhoto: Kiyonori Hasegawa

世界で活躍するトップダンサーたちが3年に1度東京に集う〈世界バレエフェスティバル〉は、その伝統と実績、規模において、世界最高のバレエ・ガラとして国際的に名を馳せています。

42年前、〈世界バレエフェスティバル〉が初めて開催された1976年当時、有名バレエ団のスターが国や所属バレエ団を超えて一堂に会するのは稀なことでした。英国のマーゴ・フォンティーン、ロシアのマイヤ・プリセツカヤ、キューバのアリシア・アロンソという3大プリマが同じ舞台に立つ。そのこと自体が衝撃として大きなニュースになったのです。

その後ジョルジュ・ドン、パトリック・デュポン、シルヴィ・ギエム、アレッサンドラ・フェリ、マニュエル・ルグリ、ウラジーミル・マラーホフといった新たなスターたちが加わり、〈世界バレエフェスティバル〉は開催のたび熱狂と興奮のるつぼと化しました。並み居るスターたちを前にして、彼らの演技を比較しようと高まる観客の期待。スターたちはその空気を受けて競争心を燃やし、最大限の魅力をアピールできるようパフォーマンスのボルテージをあげる。この好循環で、〈世界バレエフェスティバル〉は最高峰のスターたちが誇りと意地をかけて至芸を競い、伝説を築き上げる舞台となったのです。

また、各国トップのバレエ団の代表でもある出演者たちは、さまざまな芸術的背景をもち、彼らが披露するバラエティに富んだ作品やスタイルが、そのまま国際的なバレエの縮図として見えてきます。〈世界バレエフェスティバル〉を観れば、バレエ界の“いま”が肌でわかるのです。 〈世界バレエフェスティバル〉は、その時々にもっとも輝きを放っている旬のスター、30~40名を選んで開催してきました。いまでは類似の催しが珍しくありませんが、クオリティとボルテージの高さにおいて他の追従を許しません。

バレエは、極限まで鍛えぬかれた肉体と精神が、高い表現力をともなって感動をもたらす芸術です。舞台で発露されるのはまばゆいばかりの生命の輝き。その最高の瞬間の連続を体験できるのが〈世界バレエフェスティバル〉なのです。