結婚って何? 愛って何?
シェイクスピアの喜劇がおしゃれでハッピーなバレエになった!

ジャン=クリストフ・マイヨーによるシェイクスピアの喜劇──。 ちょっと古めかしいお話が、こんなにも現代的で、粋でお洒落なバレエになるなんて! マイヨーのバレエの、その独創的な世界の魅力に迫ります!

Photo: Alice Blangero

スタイリッシュな舞台で世界を魅了する振付家、
ジャン=クリストフ・マイヨーと「じゃじゃ馬馴らし」──より現代的に、より鮮やかに!

2014年、マイヨーが「じゃじゃ馬馴らし」を上演するというニュースが多くのバレエ・ファンをざわつかせました。シェイクスピアの喜劇「じゃじゃ馬馴らし」といえば、巨匠ジョン・クランコによる歴史的傑作の存在があまりにも大きいうえに、「夫が妻を調教する」という古めかしい価値観に基づく物語は、現代のクリエイターたちにとっては少々とっつきにくいテーマ。古典バレエに現代的な息吹を吹き込んだ斬新な作品で知られるマイヨーの挑戦は、注目の的となりました。

しかもそれは、歴史と伝統を誇る世界最高峰のカンパニー、モスクワのボリショイ・バレエのダンサーたちのための新作。マイヨーがモンテカルロに着任して以来、初めて外のカンパニーに振付けたバレエです。その後、自身のホームでこの作品を上演したマイヨーは、こう振り返っています。「ボリショイの素晴らしいダンサーたちは完璧だった。一方、モンテカルロ・バレエ団にも、ダンサーたちが醸し出す個性がある。この作品をここまで完成させることができたのは嬉しく思うし、これは自分のバレエ団でしかできなかった」。そのマイヨーの意欲作がまもなく日本に、やって来ます。

夫が妻を調教する──!?
時代錯誤な結婚話も、現代的、かつ美しいバレエにして魅せる!

シェイクスピアの喜劇「じゃじゃ馬馴らし」は、気難しくて乱暴な女性、キャタリーナを、夫ペトルーチオがいかに“調教”していくかという物語。そもそも、何人もの求婚者がいる“理想的な結婚相手”である妹のビアンカを嫁がせるために、まずこの姉を片付けなければいけないという父親の考え方からして、いまの私たちにはちょっと受け入れ難いもの。

Photo: Alice Blangero

21世紀のいま、この時代がかった結婚話を果たしてマイヨーはどう捉えたのか!? たとえば、1969年にシュツットガルト・バレエ団で初演されたジョン・クランコの「じゃじゃ馬馴らし」は、人物描写と感情表現に長けた天才振付家だからこそ成し得た歴史的傑作だけれど、マイヨーは、台本を担うジャン・ルオーとともに、まったく違う、新しい解釈でこの物語にアプローチ。そう、マイヨーが描いたのは“調教”ではなく、若いカップルがお互いを見つけ出し、真実の愛を探し当てる究極のラブストーリー! マイヨーは、様々な表情を見せる主役2人のパ・ド・ドゥだけでなく、個性派キャラたちの人間味あふれる魅力的な踊りや祝宴の場の華やかな群舞を実に効果的に配し、その美しい舞台空間に、いまの私たちの心に直に響くドラマを紡ぎ出すのです。

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かなり濃密、そしてダンサブル!
真実の愛を導く、ショスタコーヴィチの映画音楽

ショスタコーヴィチといえば重厚で骨太な交響曲の作曲家、という印象が強いけれど、旧ソ連時代のバレエ「明るい小川」「ボルト」の音楽やジャズ組曲などを手がけたことでも知られています。が、本作で振付家マイヨーは、ショスタコーヴィチが遺した膨大な数の映画音楽に注目、それらを実に効果的にコラージュして、この一風変わったラブ・ストーリーを生き生きと、濃密に描き出しています。さらに、ここぞというところで登場するのは名曲「二人でお茶を」! すべて必聴・必見のバレエです。

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一度観たら忘れられなくなる!
どこまでもスタイリッシュな装置、衣裳

マイヨーのバレエといえば、アートな雰囲気にあふれた装置と衣裳が印象的。今回の装置も「夏の夜の夢」「シンデレラ」などで圧倒的な美しい空間を作り上げたエルネスト・ピニョン=エルネストが担当。また、衣裳を手がけたのはマイヨーの息子のオーギュスタン・マイヨー。シャネルのスタジオで経験を積むほか様々なジャンルで活躍、本作がマイヨー作品初参加の俊英です。

エルネスト・ピニョン=エルネストが手がけた舞台装置
オーギュスタン・マイヨーによるデザイン画

マイヨ―がこの作品のテーマとしたのは”愛”、そして”誰にでも愛される権利がある”ということ。作品に登場する4組のカップルそれぞれの愛の形が、ミュージカル・コメディのように軽快に描かれます。 マイヨ―自身が語る、バレエ「じゃじゃ馬馴らし」の核心をどうぞお聞きください。

NBSチケットセンター 
(月-金 10:00~16:00 土日祝・休)

03-3791-8888

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