「エチュード」

振付:ハラルド・ランダ―
音楽:カール・チュルニー/編曲:クヌドーゲ・リーサゲル

「エチュード」は振付家ハラルド・ランダーの代表作のひとつであり、その題名どおりバレエの練習風景を描いたもの。チェルニーの練習曲によってバレエ・ダンサーの訓練とその進歩のさまざまな段階がつぎつぎに展開される。特別なストーリーはもたないが、バレエ・ダンサーが毎日、技術向上のためにおこなうレッスンを描いている。まず5人の少女が教師の前で、つぎつぎに足の5つのポジションをとり、プリエをする。ついでバーが置かれ、バーによる日常訓練になり、めざましいテクニックを織りまぜたソロやパ・ド・ドゥ、パ・ド・トロワやアンサンブルの踊りが加速度的に展開され、行き着く間もなく緊張感が高まり、華やかなフィナーレに終わる。練習風景を通して古典バレエのテクニックを存分に披露する瀟洒な作品である。

「エチュード」は、1948年1月15日、デンマーク・ロイヤル・バレエ団で初演され、1951年、1962年、1970年と3度ハラルド・ランダーによって改訂演出された。デンマーク以外では1952年にパリ・オペラ座が上演して以来、欧米の主要バレエ団の多くがレパートリーに加えている。

東京バレエ団では1977年に初演。1982年に行った第8次海外公演において、バリ国際ダンスフェスティバル(シャトレ座)で上演し、最大級の賛辞が寄せられた。

Photos: Kiyonori Hasegawa
「ボレロ」

音楽:モーリス・ラヴェル
振付:モーリス・ベジャール

装飾的な要素をいっさい排除し、赤い円卓の上の“メロディー”と周囲をとりかこむ“リズム”とがラヴェルの音楽を大胆に象徴するこの作品は、その簡潔さゆえに、踊り手によって作品自体が形を変える。あるときは美の女神とその媚態に惑わされる男たちの繰り広げる“欲望の物語”、あるときは異教の神の司る“儀式”......。聖と俗の間を自在に往き来し、踊り手の本質をさらけだすこの作品は、初演以来半世紀の間に、多様な姿を見せてきた。

演出もさまざまであり、初演の際は、“メロディー”の女性を取り巻いて“リズム”の男性たちが配された。やがて男性の“メロディー”と女性の“リズム”、そして“メロディー”“リズム”ともに男性が踊る演出が生まれている。

Photos: Shoko Matsuhashi
「バクチⅢ」

振付:モーリス・ベジャール
音楽:インドの伝統音楽

1960年代、モーリス・ベジャールは2度にわたるインドへの旅を契機として、かねてから関心のあったインド文化からその思想・芸術創造に大きな影響を受けた。『バクチ』(ヒンズー教で"親愛"を意味する)は影響を色濃く反映した、ヒンズー教をテーマとし、ヒンズー音楽を用いた。3つの挿話からなる作品である。

全体は3つのパートから成る。最初は古代叙事詩「ラーマーナヤ」で有名な、ヴィシュヌ神の化身ラーマとその妻シーターの踊りで、白の衣裳で踊られる。2つ目はヴィシュヌ神のもうひとつの化身、若さと美貌、音楽の神でもあるクリシュナとラダーの踊りで、黄色の衣裳で踊られる。そして3つ目が東京バレエ団のレパートリーとなっている、シヴァ神と妻シャクティの踊りで、赤の衣裳で踊られる。

「愛ゆえに崇拝者は神的なものと一体化し、己が神の伝説を毎回再体験する。その神には名前などなく、自分自身の至上の現実の一面に過ぎないのだ。(略)

シヴァはヒンズー教・三大神(ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ)の三番目の神である。破壊(とりわけ、幻想と人格の破壊)の神であり、同じく舞踊の神でもある。その妻シャクティは、シヴァが発散しシヴァへと戻ってゆく生命エネルギーに過ぎない。シヴァは静止したままであると同時に、永遠に動いているのである。」

— モーリス・ベジャール

photos: Kiyonori Hasegawa, Koujiro Yoshikawa
「ドリーム・タイム」

音楽:武満徹
振付:イリ・キリアン

キリアンが、敬愛する作曲家武満徹に自分のダンスのための音楽を委嘱。二人がオーストラリア北部のグレート島で行なわれた先住民族アボリジニの祭典を取材し、神聖な体験を共有して生まれたのが本作品。武満の浮遊感あふれる珠玉の音楽にのせて、5人の男女が変幻自在に絡みながら滑らかで流麗な美を生み出す。“ドリームタイム“とは、アボリジニの先祖代々の伝承のこと。

photos: Shoko Matsuhashi
「スプリング・アンド・フォール」

振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:アントニン・ドヴォルザーク

アントニン・ドヴォルザークの哀調を帯びた流麗な名曲「弦楽セレナーデ」にのせ、7人の女性ダンサーと10人の男性ダンサーによって、甘美な抒情やみずみずしい躍動美の世界が織りなされる。題名は英国の詩人ホプキンズの詩作から借用され、ダンスは多義的でメタフィジカルな世界へと展開される。

photos: Shoko Matsuhashi
「かぐや姫」よりパ・ド・ドゥ

演出振付:金森 穣
音楽:クロード・ドビュッシー

「かぐや姫」は東京バレエ団が、日本を代表する振付家、金森穣に委嘱して挑んだ全幕バレエ。
2021年春にクリエーションを始め、同年秋の第1幕、2023年に4月の第2幕初演、そして同年10月の第3幕を加えた全幕世界初演と、2年7か月越しの歳月をかけて完結したプロジェクト。
日本最古の物語文学『かぐや姫』(竹取物語)をもとに、金森は独自の物語バレエを構想。自らの創作活動を通じて得た舞踊の方法論とバレエの伝統的なスタイルを融合させながら、クロード・ドビュッシーの楽曲と日本の伝承文学の世界をみごとに重ねた、新しい物語バレエ。

photos: Shoko Matsuhashi

NBSチケットセンター 
(月-金 10:00~16:00 土日祝・休)

03-3791-8888

英国ロイヤル・オペラ 2024年日本公演  「リゴレット」
  • 2024/06 会場:神奈川県民ホール、NHKホール
東京バレエ団  Choreographic Project 2024
  • 2024/07 会場:東京バレエ団 Aスタジオ(東京・目黒)
東京バレエ団  子どものためのバレエ 「ねむれる森の美女」
  • 2024/8 会場:めぐろパーシモンホール 大ホール