1975年イギリス、オックスフォード生まれ。高校在学中より、サイモン・ラトルのアシスタントを務め、1994年にバーミンガム市交響楽団で指揮者デビュー。その後クラウディオ・アッバードに認められ、1996年にはベルリン芸術週間でベルリン・フィルを振ってデビューを果たした。
 若くしてトロントハイム響とノルショーピング響の首席指揮者、ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンの音楽監督を歴任。2011年6月まではマーラー・チェンバー・オーケストラの音楽監督を務めた。現在は、スウェーデン放送交響楽団音楽監督、ロンドン交響楽団首席客演指揮者を務めている。ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、バイエルン放送響、スカラ座、ニューヨーク・フィルなどに定期的に出演するほか、2010/11年シーズンから新日本フィルのミュージック・パートナー、2012年4月から軽井沢大賀ホールの芸術監督に就任するなど、日本の楽壇との関係も深い。
 オペラ指揮者としても活躍。スカラ座では、2005年にシーズン開幕の「イドメネオ」でデビュー以来、2007年「サロメ」、2008年「青ひげ公の城」とダッラピッコラ作曲「囚われ人」、2011年「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「道化師」を指揮。このほかにも、ザルツブルク音楽祭、英国ロイヤル・オペラ、ウィーン国立歌劇場、バイエルン国立歌劇場などで活躍。また、エクサン・プロヴァンス音楽祭とは関係が深く、数々のオペラで成功をおさめている。
 今シーズンは、1月のスカラ座での新演出「ファルスタッフ」のほか、ベルリン・ドイツ・オペラとウィーン国立歌劇場で「さまよえるオランダ人」でのデビューが予定されている。

 1970年イタリアのパヴィア生まれ。ヴェルディの諸役を中心に世界の舞台で活躍中。なかでもファルスタッフは最大の当たり役と認められている。ファルスタッフ役を初めて歌ったのは、ヴェルディ没後100年の2001年、スカラ座がヴェルディの生地ブッセートで開催した大統領臨席のメモリアル公演だった。ここでの大成功により、これまでにウィーン国立歌劇場、バイエルン国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、チューリッヒ歌劇場ほか、ヨーロッパの主要な歌劇場に登場し、いまや“当代きってのファルスタッフ”と称されている。
 今回上演されるロバート・カーセン演出は、ヴェルディ生誕200年に際しての新演出。マエストリは、スカラ座にとって特別な意味をもつ二つのメモリアル公演を担うこととなった。豊かな声、自身も認めるファルスタッフそのもの(?)の堂々たる体躯、コミカルさをもちながらも人生の“哲学”を感じさせる奥深い表現など、当たり役として極められたファルスタッフが、聴衆をうならせるはず。

 イタリアのルッカ生まれ。ルチアーナ・セッラに師事した経験をもち、スカラ座アカデミーではレオ・ヌッチ、ルイス・アルヴァにも師事し、研鑽を重ねた。
 2004年にベルガモのドニゼッティ劇場でデビュー。その後、スカラ座で「セビリャの理髪師」のフィガロも歌った。翌2005年以降、スカラ座には「ボエーム」のショナール、「ランメルモールのルチア」のエンリーコ、「シモン・ボッカネグラ」のパオロ、「なりゆき泥棒」のドン・パルメリオーネと、出演を重ねている。
 パルマ、トリノ、ジェノヴァ、ボローニャなど、イタリア各地での活躍は、ほどなくヨーロッパ各地へと広がり、さらに2010年にはメトへのデビューを飾った。2007年以降、チューリッヒ歌劇場で数々の成功をおさめているが、その中の一つとして、「ファルスタッフ」のフォード役がある。2007年にベルガモ・ドニゼッティ劇場公演で来日したことがあり、美しい声に加え役柄にぴったりの“イケメン”ぶりがファンの間でちょっとした話題を呼んだ。

 イタリアのヴィテルボ生まれ、ローマで学んだ。現在最も注目すべきイタリア人若手テノールの一人。2010年にウィーンのハンス・ガボール・ベルヴェデーレ国際声楽コンクール第1位ほか、数々の国際コンクールでの入賞歴が実力を示している。
 近年の特筆される活躍としては、2011年リッカルド・ムーティ指揮の聖霊降臨祭音楽祭とラヴェンナ音楽祭「I due Figaro」、ローマ歌劇場での新演出「マクベス」のマクダフ、新演出「ナブッコ」のイズマエーレをはじめ、2012年ヴェネツィアの「椿姫」のアルフレードでのデビュー、英国ロイヤル・オペラ「オテロ」のカッシオの成功などが挙げられる。
 2013年は、スカラ座のフェントン役でのデビューをはじめ、グラインドボーン音楽祭、ベルリン国立歌劇場、マドリッド、シカゴ・リリック・オペラ、シュレスヴィヒ・ホルスタイン音楽祭への出演が予定されている。
 「ファルスタッフ」のフェントン役は、2015年にバイエルン国立歌劇場でもデビューする予定。次代を担う新星登場!

 ミラノ生まれ、ヴェルディ音楽院で学んだ。数々の国際的なコンクールの受賞を経て、これまでにメトロポリタン歌劇場、英国ロイヤル・オペラ、ミラノ・スカラ座、バスティーユ、バイエルン国立歌劇場をはじめ、フィレンツェ、ナポリ、ローマ、ジュネーヴ、ボローニャ、ブリュッセル、ニース、チューリヒ、バルセロナ、バレンシアの歌劇場に出演。また、ザルツブルクやラヴェンナ、グラインドボーン、ヴェルヴィエほかの音楽祭でも活躍するトップ・ディーヴァと認められている。レパートリーは、「ボエーム」のミミ、「カルメン」のミカエラ、「フィガロの結婚」の伯爵夫人、「オテロ」のデズデモナ、「コシ・ファン・トゥッテ」のフィオルディリージ、「ドン・ジョヴァンニ」のドンナ・エルヴィーラ、「トゥーランドット」のリュー、「トロヴァトーレ」のレオノーラほか数多い。なかでも「ファルスタッフ」のアリーチェ役は自身も“演じ甲斐がある”と語る当たり役の一つ。今年1月、体調不良のためミラノでの初演では実現しなかったフリットリのアリーチェは、日本のファンの大きな期待のなかで披露されることとなる。

 ロシアのモルドヴィア出身。ヴォロネジ国立音楽アカデミーを卒業後、2003年から05年までスカラ座アカデミーで研鑽を重ねた。チャイコフスキー国際コンクール、エレナ・オブラスツォワ・コンクール、ヴェルディの生地ブッセートの“ヴェルディの声”など、数々の国際コンクールでの受賞歴をもつ。
 スカラ座ではムーティ指揮の「モーゼとファラオ」、新演出の「マリア・ストゥアルダ」ほか、出演を重ねているが、なかでも、2007年にはマゼール指揮「椿姫」でアンジェラ・ゲオルギューの代役としてヴィオレッタを演じ、好評を博したことはその後の活躍の場を広げる契機となった。
 近年、活躍の場がウィーン、ベルリン、エクサン・プロヴァンスなど、ヨーロッパ各地へと広がっていることは実力の証し。“天使のような無邪気さ”を感じさせるリリコ・レッジェーロの声が要求されるナンネッタ役で、日本のファンにその魅力を初披露する。

 シエナ生まれ。フィレンツェ、ヴェローナ、シエナ、ミュンヘンの音楽院で学び、トーティ・ダル・モンテやバーリなど数々の国際コンクールで優れた成績を得た後、イタリアおよび欧米各地で活躍するようになった。レパートリーは、「セビリャの理髪師」のロジーナ、「チェネレントラ」のアンジェリーナ、「アルジェのイタリア女」のイザベッラなどのロッシーニ作品をはじめ、「コシ・ファン・トゥッテ」のドラベッラ、「フィガロの結婚」ケルビーノ、「ドン・ジョヴァンニ」のツェルリーナ、「イドメネオ」のイダマンテなどモーツァルト作品、「シャモニーのリンダ」のピエロット、「ホフマン物語」のニクラウス、「アンナ・ボレーナ」のジョヴァンナ・シーモア、さらにバロック・オペラの諸役もこなすという幅広さをもつ。
 スカラ座ではこれまでに、「セビリャの理髪師」のロジーナ、「イタリアのトルコ人」のザイーダ、「ナブッコ」のフェネーナなどを歌っている。
 「ファルスタッフ」のメグ・ページ役は、2006年フィレンツェ歌劇場日本公演でも演じた。

 イタリアのトリエステ生まれ。スポレートやパドヴァ、フィラデルフィアで開催された「パヴァロッティ国際声楽コンクール」ほか、数々の国際コンクールで優れた成績を獲得。一躍注目を集めたのは、1999年ペーザロのロッシーニ・フェスティバル「タンクレディ」だった。以後、ロッシーニのレパートリーを中心に、世界の舞台で活躍。2002年には、マリリン・ホーン、ルチア・ヴァレンティーニ・テッラーニに次ぐ3人目のメゾ・ソプラノとして「ロッシーニ・ドーロ」を受賞した。
 近年では、「ドン・カルロ」のエボリ公女や「アイーダ」のアムネリス、「トロヴァトーレ」のアズチェーナといったヴェルディ・オペラにもレパートリーを広げ、成功をおさめている。「ファルスタッフ」のクイックリー夫人役は、今年1月スカラ座での初演がデビューとなった。ドラマを進める“狂言回し”的な重要な役割を与えられているカーセン演出のクイックリー夫人は、バルチェッローナの新たなはまり役といえそう。

※ ミラノ・スカラ座「ファルスタッフ」、9月4日、8日、14日の公演で、フォード役を演じる予定となっておりました、ファビオ・カピタヌッチは、深刻な腰椎坐骨神経痛のため来日することができなくなりました。カピタヌッチに代わり、ダブルキャストで9月6日、12日に出演する予定のマッシモ・カヴァレッティが、全公演フォード役を演じます。
※ 表記の出演者は2013年9月2日現在の予定です。病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても、代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。出演者変更にともなうチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。最終出演者は当日発表とさせていただきます。