当代最強の3指揮者による最もウィーンらしい演目
近年の引っ越しオペラ公演中の白眉

今回、音楽の都ウィーンの誇るオペラの殿堂が、威信をかけて日本にもってくるのは3本のオペラ。指揮者にはマレク・ヤノフスキ、アダム・フィッシャー、リッカルド・ムーティと、当代最強の3人が顔を揃えます。

R.シュトラウスの『ナクソス島のアリアドネ』は、1980年の初来日時と2000年の2度上演している、もっともウィーンらしい作品です。指揮者マレク・ヤノフスキは、ドイツの伝統を受け継ぐ正統派。長らくオペラ上演の指揮から離れていましたが、今夏にはバイロイト音楽祭での《ニーベルングの指環》を、そして秋にはウィーン国立歌劇場日本公演に登場と、オペラ界において今年最大の注目を集めることになりそうです。

ワーグナーの『ワルキューレ』は、過去9回におよぶウィーン国立歌劇場来日公演中、今回が初のこととなります。満を持して取り上げるこの機会を指揮するのはワーグナーのスペシャリストとして名高いアダム・フィッシャーです。“ワーグナーの聖地”バイロイトでの実績、ウィーン国立歌劇場において絶対の信頼を勝ち得ているフィッシャーの手腕が光ることでしょう。

モーツァルトの『フィガロの結婚』を振るのはリッカルド・ムーティ。自身のオペラ指揮者としての原点にモーツァルト・オペラを挙げるムーティは、モーツァルトはイタリア語を母国語のように理解していて、この作品は言葉のニュアンスやその裏側にある深い意味を心底理解することが必要であるとの考えから、今回は若いながらも国際的に活躍しているイタリア人歌手たちを起用しています。ムーティの緻密な音楽づくりと、ポネルの不朽の名演出が絶妙に響き合う今回の『フィガロの結婚』は、究極の上演になるはずです。

3人の巨匠指揮者が得意とする3本のオペラ。厳選された豪華歌手陣を揃えた評価の高いプロダクション。そしてもちろん“ウィーン・フィル”の母体である世界一のオペラ・オーケストラ、ウィーン国立歌劇場管弦楽団・・・。近年のオペラの引っ越し公演の中でも、とりわけ充実した内容の本公演に、どうぞご期待ください。

Photo:Wiener Staatsoper / Michael Poehn