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毎月第1水曜日と第3水曜日更新
NBS日本舞台芸術振興会
毎月第1水曜日と第3水曜日更新

転々点々

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2021/10/13(水)

いまベジャール・バレエ団が公演中だが、「バレエ・フォー・ライフ」の後半スクリーンに大写しにされるドンの映像を見るたびに、晩年、彼が苦悩していた姿が蘇ってくる。ドンから「この映像をつくったので見てくれ」といわれて、二人でテレビのモニターで見たのだが、その異様な映像に絶句してしまい、彼に何も声をかけられなかった。そのとき見た映像なのだ。あれから30年、ドンは「ブレーク・フリー」の曲にのって、自由へと旅立っている。(T)

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2021/10/06(水)

10月6日付朝日新聞朝刊で「ライブ業界 視界不良」という見出しの記事を見つけた。ぴあ総研によると、チケット販売額はコロナ禍前に比べて依然半分以下だという。10月1日に緊急事態宣言が解除されたが、感染者が激減した理由はワクチン接種が進んだだけでなく、夏に猛威をふるった後、ウィルス側の事情で一休みしているだけなのかもしれない。第6波の襲来も囁かれている。心の健康のために、鬼の居ぬ間にどうぞ劇場にお越しください。(T)

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2021/09/29(水)

ようやく緊急事態宣言が解除されることになった。モーリス・ベジャール・バレエ団(BBL)の初日を目前に控え少し安堵している。「不要不急」の対象として劇場に行くのをためらっていた人も、これで大手を振ってBBLの公演に足を運べるのではないか。ほぼ半年にわたって抑圧されていた気持ちを、ここで一気に発散されてはいかがか。「ボレロ」や「バレエ・フォー・ライフ」のプログラムは、興奮と感動で生きる喜びを呼び覚ませてくれるはずだ。(T)

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2021/09/15(水)

本日来訪されたグランドプリンス新高輪の山本総支配人からのプレゼント。チョコレートでできた宝石箱だ。細かな模様が施されている上、ホワイトチョコに公演を直前に控えた「海賊」の写真がプリントされている。チョコレート職人もコロナ禍で仕事が少なくなっているので、はりきって取り組んでくれたという。仕事を毎日継続しなければ腕が落ちるとうかがったが、日々鍛錬が必要なアーティストと同じだ。もったいなくて食べられそうにない。(T)

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2021/09/13(月)

緊急事態宣言が9月30日まで延長になった。「緊急」ではなく「慢性」になってしまっている。9月23日から26日に予定している東京バレエ団の「海賊」も、本来なら追い込みをかけるタイミングだが、50%の入場者制限がかかってしまった。7月30日に遅れて発売した「舞台の魅力体験事業」の26日の公演は50%までまだ余裕がある。この公演はプレ・トークや舞台装置のヒミツ公開の特典付き。「慢性」を打破する「元気の出る」ステージは必見。(T)

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2021/09/03(金)

ミキス・テオドラキス氏の訃報を新聞で見つけて息をのんだ。ベジャール振付の「ギリシャの踊り」の作曲家だ。東京バレエ団は7月3日から19日まで〈HOPE JAPAN〉と題した公演で、この作品と「ボレロ」をもって全国11都市を巡演、8月28日・29日にも〈横浜ベイサイドバレエ〉で港をバックにした野外ステージで、この作品を上演したばかりだ。ギリシャの空と海を感じさせる哀調を帯びた曲がいまだ耳の奥で鳴っている。ご冥福を祈る。(T)

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2021/09/01(水)

東京バレエ団が8月28日・29日に出演した〈横浜ベイサイドバレエ〉は、港の夜景をバックに野外特設ステージで上演される横浜ならではの魅力にあふれた催しだ。2012年以来、前市長の肝いりで3年に一度開催されてきたDance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021の一環だが、総プログラム数は約200にも及ぶ。先の市長選で新しい市長に代わったが、ようやく根付いてきたダンスの祭典をぜひとも継続してほしい。「ダンスの街・横浜」よ、永遠なれ!(T)

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2021/08/23(月)

〈第16回世界バレエフェスティバル〉はコロナに翻弄されながらも、いくつもの障害を乗り越え、薄氷を踏む思いでなんとかゴールまでたどり着きことができた。バレエファンの熱烈な応援と出演者たちの参加への強い意志がなければ、間違いなく途中で挫折していただろう。過去15回の実績とバレエファンの感動体験や熱い思いが一つに結集し、大きな岩を動かしたように感じる。開催実現にご尽力いただいたすべての方々に心より感謝したい。(T)

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2021/07/21(水)

〈HOPE JAPAN〉と題する東京バレエ団の全国10都市をめぐるツアーが終了した。コロナ禍に加え豪雨に見舞われたハラハラの旅だったが、なんとか「希望」をつなぐことができた。ベジャール振付の「ギリシャの踊り」「ボレロ」他のプログラムで、「ボレロ」の後はどこでも熱狂的なスタンディングオベーションだった。もう一度観たいという声がたくさん寄せられているが、8月28日(土)29日(日)の〈横浜ベイサイドバレエ〉でも上演される。(T)

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2021/07/09(金)

4度目の「緊急事態宣言」が発出された。東京五輪の期間中は「蔓延防止」を延長するだけだろうと予想していただけに大ショックだ。直撃を受けるのは、いま開催に向け悪戦苦闘しながら準備を進めている〈世界バレエフェスティバル〉。このコロナ禍においては公演の直前までチケットを買い控える人が多いのだから、このタイミングで販売を停止せざるを得ないのはきびしい。チケットの売り止めがかかるのは7月12日(月)深夜の0:00時から。(T)

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2021/07/08(木)

今回の〈世界バレエフェスティバル〉に、「コロナ禍における開催実現にご支援を!」と呼びかけたところ、700万円を超えるご寄付を頂戴した。感謝感激だ。たくさんの応援コメントもいただいた。〈バレエフェス〉と共に人生を歩んだファンも多く、励まされるとともに身が引き締まる思いだ。まだ開催に向けいくつものハードルがあるが、日本の観客のためバレエ界全体のため、なんとしても実現し期待に応えなければという思いが強くなっている(T)

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2021/07/07(水)

お隣の国、韓国の劇場や実演芸術界は、「リベンジ消費」で活気づいているという。人々がコロナ禍でできなかったことをしようと、劇場やコンサートホールに詰めかけ、チケットの売り切れが相次いでいるらしい。日本もワクチン接種が進み、コロナ禍の出口が見えてきたら、これまでの反動で「リベンジ消費」に向かうのだろうか。オリンピック直後に開催予定の〈世界バレエフェスティバル〉をきっかけに「リベンジ」攻勢が始まらないものだろうか。(T)

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2021/06/02(水)

"イタリアの名花"カルラ・フラッチが亡くなった。享年84歳。〈第1回世界バレエフェスティバル〉で初来日して以来、6回来日。東京バレエ団を愛してくれ、86年のミラノ・スカラ座公演に「レ・シルフィード」でゲスト出演。家族のように思っていると語っていた。棺がスカラ座のホワイエに安置され、劇場をあげて最大の敬意が捧げられた。棺の蓋をしてはじめてその人の値打ちが判るというが、故人の存在の大きさを改めて思い知った。(T)

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2021/05/12(水)

ダニエル・バレンボイムのインタビューが日経新聞朝刊(5月10日)に載っていた。「1980年ごろからテクノロジーの進歩や経済の変化の半面で、精神世界がないがしろにされてきたように思う」。「生きる上で精神世界がいかに必要なものか、無視されてきた」。「コロナ禍によって顕著になったのではないか」とあった。このことを世界中のアーティストたちが異口同音に嘆いている。文化芸術の灯を消してはならないということは、精神世界を守ることだ。(T)

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2021/05/06(木)

最近、日本バレエ団連盟から発行された報告書によると、「海外のバレエ団で活躍する主な日本出身者」は34カ国で231人にのぼるという。プロとして海外で活躍する人数は、スポーツや他の文化芸術のジャンルと比較してもトップ・クラスなのではないか。人材の海外流出の一因は、経済面を含めダンサーを取り巻く環境が海外に劣るからだ。欧米のバレエ大国なみに環境が整い優秀人材の受け皿ができれば、国内のバレエ団は飛躍的に発展するはずだ(T)

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2021/04/20(火)

4月19日、東京・春・音楽祭の「マクベス」を聴いた。厳しい入国条件などコロナ禍でさまざまな制約がある中、指揮者のリッカルド・ムーティや主要な歌手などを招いて実現したもので、関係者のご努力に頭が下がる。ムーティは来日後の記者会見で「私には若い演奏家やオーケストラの育成を継続する義務がある」と語ったというが、リハーサルの様子はネットでもライブ配信された。その素晴らしい成果は総立ちの観客が送る熱い拍手が物語っていた。(T)

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2021/04/09(金)

昨日に続き日経新聞の連載「不要不急とよばれて」⑤。どこの国でも「文化芸術は主要な産業として認められている」のに対し、日本は「産業として分析されてこなかったため、国はどこを支援すれば業界が回り出すか全く把握していない」と、内外の事情通の話を掲載。混乱の原因は支援が損失補償ではなく、これから実施する事業への「補助金」だったからで、記事は「見取り図のないまま、未来に向けて金をばらまく」という言葉で締めくくられている。(T)

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2021/04/08(木)

4月5日から日経の朝刊に「不要不急とよばれて」と題する連載記事が載っている。見出しだけを拾うと①「コロナ禍 がけっぷちの芸術界」②「ライブで配信 表現革新」③「客席のロボット 私の分身」④「紙のチラシ 必要ですか?」。今回のコロナ禍で我々の舞台芸術を取り巻く世界は猛スピードで変わっている。この変化のスピードについて行けないと脱落し、淘汰されてしまう。今回のコロナ・ショックは我々にとって死ぬか生きるかの境目だ。(T)

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2021/03/08(月)

ハチャメチャな天才ダンサー、パトリック・デュポンの突然の訃報にショックを受けた。超高速で61年の生涯を駆け抜けた。鰻好きでパチンコ好き、日の丸の鉢巻きをしたお茶目なデュポンの姿を思い出す。80-90年代の日本のバレエ市場が最も活気のあった時代の中心的な存在だった。「世界バレエフェスティバル」の常連でもあった。今夏の「バレエフェス」で追悼したいと考えている。それまでにコロナ禍が収束に向かい、あの黄金の日々が戻ってくることを。(T)

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2021/03/04(木)

東京都の調査によると、1都3県で新型コロナ感染症が拡大した2020年6月から11月に劇場やホールでのコンサートや演劇などを観に行かなかった人が60%。頻度・回数が減ったとする人が33%だったという。理由は「観たい公演が中止・延期になった」(55%)、「会場での感染が不安だった」(52%)。数字で見ると、コロナ禍の影響の大きさをあらためて実感する。長いトンネルを抜けたとしても、はたして元のコロナ禍前の状況に戻れるのだろうか。(T)

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2021/02/09(火)

コロナ禍で舞台映像の配信があふれているが、三浦雅士氏は2月8日の毎日新聞夕刊で、舞台関係者が「舞台はライヴでなければ迫力が伝わらない」というのは嘘で、ライヴでなければ駄目だということの本当の意味に気づいたという。「ライヴが決定的に重要なのは、演奏者や舞踊手や役者たちの芸を最高のものにするのが、じつは観客や聴衆つまりその公演に立ち会ったものたちの呼吸と熱気にほかならない・・・舞台を作るのは観客なのだ」と喝破している。(T)

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2021/02/04(木)

EUはコロナ禍により2019年と比較して、2020年は航空業界では31.4%、文化分野が31.2%、旅行業界は27%の収入を失ったと発表。文化分野のなかでも音楽業界は特に影響を受けており、76%の収入減、実演芸術はそれよりも高い90%の収入減。EUは今後何年にもわたって影響が続き、今すぐにでも業界再構築に向け、「きちんとした法的枠組み」を整える必要があると呼びかけたという。はたして日本は?(昭和音楽大学バレエ研究所の調査から)(T)

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2021/01/04(月)

「世界文化賞」を主宰する日本美術協会から「芸術の力とコロナウィルス・パンデミック」と題する立派な冊子が届いた。過去の受賞者が表題のテーマについて語っていて感銘を受けた。大女優ソフィア・ローレンは「この新しい状況に立ち向かうためには、楽観主義は非常に強力な武器になります。私は楽観主義者であり、今までずっとそうでした。どんな問題にも必ず解決策があると固く信じ、そう思わなかったことはありません」と。こうありたいものだ。(T)

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2020/12/14(月)

「起承転々」のVol.45「幻の『復活ガラ』」で、日本バレエ団連盟の加盟団体合同による「復活ガラ」が頓挫した顛末を書いた。予定していた1月9日に、企画を変え、東京バレエ団の「ニューイヤー祝祭ガラ」を入れることにした。演目はベジャールの「ボレロ」、バランシーンの「セレナーデ」ほかのプログラム。この時期の「ボレロ」は大災厄をはらい、希望をもたらす神聖な儀式。禍を転じて福となすために、どうぞ、東京文化会館に詣でてください。(T)

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2020/11/19(木)

「バレエはただバレエであればよい。雲のやうに美しく、風のやうにさわやかであればよい。人間の姿態の最上の美しい瞬間の羅列であればよい。人間が神の姿に近づく証明であればよい」と三島由紀夫は書き残している。その三島自身がモーリス・ベジャールによってバレエになった。いま評判の東京バレエ団の「M」である。11月21日に神奈川県民ホールでの最終公演の後、三島の50回目の命日である11月25日から30日まで、舞台映像が全世界に向けて配信される。(T)

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2020/11/10(火)

コロナの第2波が欧米を襲っている。イタリア政府は国内のすべての劇場を閉鎖することを決定した。指揮者のリッカルド・ムーティはそれに反発し、ジュゼッペ・コンテ首相に対し、「心の糧となるものを人々に与えるため、劇場や音楽活動を再開させるべきだ。それがないと社会は野蛮になる」と発言。アメリカ大統領選挙の状況をみても、社会が野蛮になってきていると実感。劇場芸術には精神を安定させ、心を豊かにする力があると、あらためて思った。(T)

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2020/11/02(月)

三島由紀夫をテーマにしたベジャールのバレエ「M」について、小説家の佐藤究氏が書いた批評が朝日新聞(11月1日付け朝刊)に載った。小説家らしい切り口で感心した。その中で舞踏家の土方巽の「お酒があって、樽をバンと割るでしょ。皆が水被るでしょ。腹切って、おしまいじゃないんだよ。そういう結び目を彼は残していった」という言葉を引いている。11月25日は50年前に樽が割られた日。その4日前に「M」は横浜で再演される。(T)

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2020/10/07(水)

デザイナーの高田賢三氏の死を世界中が悼んでいる。2011年東日本大震災の後、「HOPE JAPAN」と題してシルヴィ・ギエムや先日亡くなった花柳壽應氏など内外のアーティストの協力によって復興支援チャリティ・ガラを催したが、その公演のイメージ・ヴィジュアルを高田賢三氏が手掛けてくださった。橙色の日の丸に一輪のポピーの花。傷ついた人々の心に沁み、希望を感じさせるデザインだった。今と似ている当時の気持ちを思い出した。(T)

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2020/09/14(月)

このコロナ禍がなければ、9月15日がミラノスカラ座日本公演の初日だった。いまごろは、カオス状態だったに違いない。公演中止に追い込まれたのは何年もかけて準備してきただけに痛恨の極みだ。ようやく劇場への50パーセントの入場制限が緩和される。再開に向けて光明が差してきたものの、依然、外来の団体やアーティストの入国制限は解かれないままだ。劇場関係者の忍耐の糸が切れる前に、一日も早くコロナ前の日常が回復することを。(T)

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2020/08/10(月)

〈めぐろバレエ祭り〉のオンライン・プログラムで、東京バレエ団芸術監督の斎藤友佳理が毎日新聞の齋藤希史子記者のインタビューに答え、コロナ禍で困難を強いられているバレエ団の活動について率直に語っている。公演が次々に中止や延期に追い込まれ、そのつど厳しい決断を迫られてきた不安な日々。ダンサーたちの安心・安全を気遣いながら、コロナ対策やマスクをつけてのリハーサル難しさなど。本日、12時から視聴可能。(T)

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2020/07/27(月)

観客の収容人数を50パーセントに抑え、前後左右の席を空ける感染予防のガイドラインが一日も早く撤廃されないと、劇場文化が死滅すると危機感を抱いている。京都大学ウィルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授が「国などが示している2メートル程度のソーシャルディスタンスは、マスクに抵抗感が強い欧米を基準にしたものと説明。感染予防は「マスクする、黙る、手を消毒するので十分」とし、文化芸術活動の維持には「ソーシャルディスタンスの項目を消さないとだめ」(7月21日京都新聞)と強力な援護射撃の発言。(T)

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2020/07/21(火)

コロナ感染者の急増が不安を煽るなか、こんな記事を見つけた。英国政府が文化芸術に対し、2100億円を追加援助するという。「劇場や美術館は我が国にとって心臓の鼓動のような存在」とジョンソン首相(ウェブ版「美術手帖」2020.7.13)。日本の文化芸術もコロナ禍によって甚大な損害を被っていて、先の2次補正予算で500億円がついて我々関係者は色めきだったものだが、英国はその4倍だ。この差が文化芸術に対する彼我の姿勢の違いだろうか?(T)

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2020/07/17(金)

ウェブ版「NBSニュース」の2号目。第1と第3水曜日に月2回更新することになったので、「起承転々」も月に2回になると思われている人もいるようだ。期待してもらうのは、ありがたく光栄なことなのだが、残念ながら私には月2で書くほどの時間がとれそうにない。そこで、せめて気になる時事ネタをスピード感をもってこの200字のコーナーに上げたい。不定期で思いついたときに点々と。お付き合いいただけると嬉しい。(T)