大和証券グループ Presents リッカルド・ムーティ指揮 シカゴ交響楽団 2019年日本公演 リッカルド・ムーティ 高松宮殿下記念世界文化賞 photo: Todd Rosenberg

リッカルド・ムーティに聞く
「シカゴ響が伝統的に得意とするレパートリーの作品は皆さんを満足させる、そして私にとっては特に意義深いものになります」

シカゴ交響楽団(CSO)がシーズン・オフの夏も、マエストロ・ムーティの活動は止まることはありません。
イタリアのラヴェンナで若い音楽家たちの指導に力を注ぐマエストロ・ムーティは、2019年の日本公演を自身にとっても特別なものと考えているようです。
オペラ演出家の田口道子さんによる、マエストロの言葉と近況をご紹介!

Photo: Todd Rosenberg

 7月28日、連日35度を超す猛暑の中、マエストロは77歳の誕生日を迎えた。
 ラヴェンナでは7月21日からマエストロのイタリアン・オペラ・アカデミーが開催されていて毎日午前10時30分から13時30分までと16時30分から19時30分まで一日6時間のレッスンが行われている。今年の課題は『マクベス』で、若い指揮者とコレペティへの指導に熱が入っている。
 喜寿を迎えたとは思えないほど若々しく精力的なマエストロは、7月はラヴェンナフェスティバルの「友情の道」の演奏会でキエフへ行き、フィレンツェでは首席指揮者就任から50年の記念演奏会を指揮し、アカデミー終了の翌日8月4日には一昨年地震で大きな被害を受けたノルチャで慈善演奏会を行う。そしてその後はザルツブルク音楽祭でのコンサートと続く。
 そのお忙しい合間に、2019年のシカゴ交響楽団日本公演についてお話を伺った。 「シカゴ響とは二年前に続いて二回目の日本公演です。1975年にウィーンフィルと初来日した時から私は日本、特に日本の文化や国民性に愛着を感じています。本来ならアジア・ツアーなのですけれど、日本での滞在を長くして、日本を中心にしたツアーにしました。シカゴ響は世界のうちで最も偉大なオーケストラの一つで、私は音楽監督を務めていることを名誉に思っています。今年、音楽監督としての契約を更新したので2022年まで三期目を務めることになります。来年は日本の皆さんにドイツ、ロシア、イタリアの作品をお聴きいただきます。ドイツロマン派のブラームス、ロシアのリムスキー=コルサコフとチャイコフスキー、そしてイタリアのヴェルディの作品です。彼らはロマン派から近代へと移行する、ほとんど同時代に活躍した作曲家です。シカゴ響が伝統的に得意とするレパートリーの作品ですから、日本の皆さんにきっとご満足いただけると思います。私にとって、日本での演奏会は今回特に意義深いものになります。というのは、今年、世界文化賞をいただくことになったからです。この賞は芸術家、私のような音楽家にとって最高に名誉なことだと思います。私がこの素晴らしい賞をいただくのに値するのかと思うと困惑してしまいますが、長い年月、音楽に身を捧げて、日本でも多くのオペラや演奏会を指揮してきたことが認められたと思うととても幸せです」とここまで一気にお話しくださった。
 シカゴ響と共にグラミー賞に輝いたヴェルディの「レクイエム」については、「私はヴェルディに関しては他のどの作曲家よりも深く研究しています。彼の作品は時には歌手が効果を狙うために勝手に手を加えて演奏して、それが伝統として残っていることを非常に残念に思うのです。ヴェルディの「レクイエム」は多くのレクイエムの中でも最も崇高な作品だと思います。ブラームスの偉大な「ドイツ・レクイエム」は生者に対しての慰めですが、ヴェルディは死者に向き合っているのです。ですから、ベートーヴェンの「英雄」にも影響を与えたイタリアの1700年代、1800年代の伝統的な葬送行進曲の音色ですが、人間と死との関係、つまり死というものが実態として存在するかのように生きている人間と対話するのです。私は敢えて日本の合唱団と演奏することを望みました。過去の経験から、日本の合唱団の素晴らしさ、演奏への真摯な取り組み方には感服しているからです。彼らは世界の中でも最も繊細で、しかも順応性があります。シカゴ響との共演はきっと素晴らしいものになると今から楽しみにしています。日本の合唱団といえば、児童合唱団の素晴らしいことには驚きました。正確なリズム、音程、表現力、すべて完璧です」
 マエストロは10月23日の世界文化賞授賞式に参加するための来日が決まっている。ちょうどウィーンでの仕事中なので滞在は二日間だけという。2歳になる孫のグレゴリオ君からバースデーケーキをプレゼントされた時のマエストロの顔からは、あの精悍な、怖い指揮者の表情がすっかり消えていた。

リッカルド・ムーティ指揮
シカゴ交響楽団
2019年日本公演

【公演日】

プログラムA
2019年1月30日(水)19:00

ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 op.68
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調op.73

プログラムB
2019年2月3日(日)14:00

リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」op.35
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調op.64


オペラ・フェスティバル特別プロ
ヴェルディ作曲「レクイエム」

2019年1月31日(木)19:00
2019年2月2日(土)14:00


会場:東京文化会館

【予定されるソリスト】


合唱:東京オペラシンガース

【入場料[税込]】

[プログラムA・B]
S=¥39,000 A=¥34,000 B=¥29,000 C=¥24,000 D=¥19,000 E=¥14,000 F=¥10,000
[「レクイエム」]
S=¥44,000 A=¥39,000 B=¥34,000 C=¥29,000 D=¥24,000 E=¥19,000 F=¥14,000

ダイワU25 シート ¥5,000

NBS WEB チケットのみで10/12(金)より発売。
満25歳までの方を対象に、「C席」相当の席を「ダイワU25シート」として各日30席ずつ、計120席ご用意します。座席はご指定いただけません。チケットは公演当日のお受け取りとなります。公演当日、年齢を確認できる身分証を携行ください。