英国ロイヤル・オペラ “劇場育ち”のマエストロ、パッパーノ渾身の音楽監督17年間の集大成を聴け! Photo: SIM CANETTY-CLARKE / ROH

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 英国ロイヤル・オペラの4年ぶりの日本公演では、ヴェルディ作曲『オテロ』とグノー作曲『ファウスト』の2作が上演されます。2002年に音楽監督に就任したアントニオ・パッパーノは、これまでに2回の日本公演を率いてきましたが、すでに2020年でポストを離れることを表明しているため、3回目の今回は、パッパーノ音楽監督としては最後、17年間の集大成を日本のファンに披露することになります。  パッパーノは音楽監督として、ブリテンやターネイジの世界初演を手がけるほか、モーツァルト、ヴェルディ、ワーグナー、プッチーニ、リヒャルト・シュトラウス、ラヴェル、ベルク、ショスタコーヴィチなど、幅広い作品を指揮してきました。特定の作曲家や作品を得意とするのではなく、常に作品のもつ音楽性や魅力を追求する姿勢を貫くことによって、英国ロイヤル・オペラにさらなる充実をもたらしたことは、世界中が認めています。
 今回上演される『オテロ』は、2017年キース・ウォーナーによる新演出のプロダクション。光と影でオテロの心理をドラマティックに描き出す舞台とともに、パッパーノの指揮がヴェルディ後期のオペラの魅力である豊かで陰影のあるオーケストレーションを響かせ、『オテロ』が“心理劇”であることを目と耳に納得させてくれます。強靭な声質が要求されるタイトルロールにはベテランのグレゴリー・クンデ、デズデモナ役のフラチュヒ・バセンツは、ゲルゼンキルヒェンやニュルンベルクで研鑽を積み、2016/17年シーズンに英国ロイヤル・オペラにデビューしたアルメニア出身の新鋭、ヤーゴ役は歌唱・表現力ともに定評をもつジェラルド・フィンリーが登場します。
 『ファウスト』は、デヴィッド・マクヴィカーの“奇抜で天才的な”演出が評判を呼んだ2004年制作のプロダクション。美しく豊麗なメロディーに満ちたフランス音楽の香気が、パッパーノのタクトから紡ぎ出されます。タイトルロールのヴィットリオ・グリゴーロ、マルグリート役のソーニャ・ヨンチェヴァ、そしてメフィストフェレス役のイルデブランド・ダルカンジェロと、魅力溢れるキャストが予定されています。
 記憶に留めたい、パッパーノ指揮、英国ロイヤル・オペラの魅惑の2作を、どうぞお見逃しなく!

※2019年2月9日のNBSホームページ「最新情報」でお知らせした通り、「ファウスト」マルグリート役の歌手は、ソーニャ・ヨンチェヴァからレイチェル・ウィリス=ソレンセンに変更になりました。なにとぞご了承ください。