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 19世紀のパリを舞台に、高級娼婦マルグリットと青年アルマンの悲恋を描く「椿姫」。アレクサンドル・デュマ・フィスが24歳で書きあげたこの青春小説の舞台化としてはヴェルディのオペラが有名ですが、バレエ「椿姫」は、そのオペラをも超えたとも評価される究極のドラマティック・バレエです。
 振付・演出は鬼才ジョン・ノイマイヤー。彼は小説に立ち返り、主人公の男女の恋の行方を追うだけでなく、その関係の変化や心理の変化をダンスによって余すところなく表現。原作と同時代のパリを生きたフレデリック・ショパンの音楽を時代の空気や主人公たちの心と分かち難く結びつけながら、緻密にしてドラマティックなバレエを生み出しました。 白眉は三つの幕にそれぞれ配された、高度なリフトの技術を駆使するマルグリットとアルマンのパ・ド・ドゥ。第1幕は男性の情熱に女性の心がゆさぶられ、第2幕は二人が束の間の幸福な浮遊感に満たされ、第3幕は互いを傷つけあうことで繋がりを確かめるような恋人たちの心模様が描かれます。とくに「バラード第1番」にのせて恋人たちの壮絶な極限心理を描く第3幕の“ブラック・アダージュ”は、ガラ公演でもたびたび演じられています。また第1幕のヴァリエテ座で演じられる劇中劇「マノン」が、マルグリットの心の鏡となって第2幕、第3幕と場面を替えて登場し、ヒロインの心の襞をつまびらかにしていくのも、独特の演出です。
 パリ・オペラ座バレエ団のエレガントな名花とエトワールたちの競演となる本作は、キャストを替えながら何度でも見たい、心に残る舞台となることは間違いありません。

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