リヒャルト・シュトラウス作曲「ナクソス島のアリアドネ」プロローグ付1幕
指揮:ケント・ナガノ 演出:ロバート・カーセン 上演時間:2時間20分
スタッフ&キャスト
指揮:ケント・ナガノ Musikalische Leitung : Kent Nagan
カリフォルニア出身のケント・ナガノは、2006年9月にバイエルン国立歌劇場音楽総監督に就任しました。また、同年からモントリオール交響楽団の音楽監督も務めていることは、オペラとコンサートの双方で手腕を発揮する実力派指揮者である証明といえるでしょう。 これらの重責を担うまでにも、30年におよぶバークレー交響楽団音楽監督としての活動のほか、リヨン国立歌劇場音楽監督、ハレ管弦楽団音楽監督、ベルリン・ドイツ交響楽団芸術監督、ロサンゼルス歌劇場音楽監督などにおいて重要な役割を果たしてきたことはいうまでもありません。また、オペラ指揮においては、ベルリン国立歌劇場、パリ・シャトレ座、ザルツブルク音楽祭、バーデン・バーデン祝祭劇場など、オーケストラ指揮者としてもウィーン・フィル、ベルイン・フィル、ニューヨーク・フィル、シカゴ交響楽団など、世界を代表するオーケストラのほとんどに客演しています。 ケント・ナガノの音楽づくりは、明快さと優雅さをもち、そして知的であることが高く認められています。さらに、古典派から現代音楽まで、ほとんどすべての分野をレパートリーとしていることも特筆すべきものといえます。 バイエルン国立歌劇場においても、リーム作曲『ダス・ゲヘーゲ』やチン・ウンスク作曲『不思議の国のアリス』の世界初演を果たすとともに、この劇場が誇るモーツァルト、ワーグナー、R.シュトラウス作品においても手腕を発揮。2007/08年シーズンには『エフゲニー・オネーギン』、『イドメネオ』、『ナクソス島のアリアドネ』、2008/09年シーズンには『ヴォツェック』、『ローエングリン』、2009/10年シーズンには『ドン・ジョヴァンニ』、『カルメル会修道女の対話』、『無口な女』などでの成功を収めています。 就任から4シーズンを経たいま、ケント・ナガノ音楽総監督は、伝統を誇るバイエルン国立歌劇場に新鮮さと充実をもたらしたことが認められています。
演出:ロバート・カーセン Inszenierung : Robert Carsen
カナダ出身のロバート・カーセンは、トロントのヨーク大学の演劇科に入学し、その後イギリスのブリストル・オールドヴィク演劇学校に移り、演技を学びました。このことが、後に彼の演出に大きく影響していることはいうまでもありませんが、演出家としての才気は、すでに在学中から眼を引くものでもあったようです。実際、在学中にある教師から「君のアイディアは人を夢中にさせる。いつか演出をしようと考えていないのか?」と問われたことが、カーセンを演出の道へと進ませる契機となりました。 グラインドボーンでの演出助手として、演出家のキャリアをスタートしたカーセンは、1990年代前半から活躍の場を広げ、これまでにエクサン・プロヴァンス音楽祭、パリ・オペラ座、ミラノ・スカラ座、ケルンやアムステルダムの歌劇場、ヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場、メトロポリタン歌劇場、フィレンツェ歌劇場、イングリッシュ・ナショナル・オペラ、ザルツブルク音楽祭などで活躍。数々の受賞歴をもち、現代を代表する演出家の一人となっています。 カーセンの演出は、常に多彩で独創的なアイディアに満ちており、バイエルン国立歌劇場の『ナクソス島のアリアドネ』にも、「観客に驚いて欲しい」というカーセン自身の目論見通り、これまでの上演では考えられなかったようなアイディアがふんだんに盛り込まれています。
美術:ペーター・バプスト Bühne : Peter Pabst 衣裳:ファルク・バウアー Kostüme : Falk Bauer 照明:マンフレッド・ヴォス Licht : Manfred Voss ドラマトゥルーク:イングリット・ツェルナー Dramaturgie : Ingrid Zellner 振付:マルコ・サンティ Choreographie : Marco Santi
予定されるキャスト
アリアドネ/プリマドンナ:アドリエンヌ・ピエチョンカ Ariadne/Primadonna:Adrianne Pieczonka
カナダのバーリントン生まれのアドリエンヌ・ピエチョンカは、ウエスタン・オンタリオとトロントの大学で学びました。国際的な注目を集めたのは、1991年ウィーン・フォルクスオーパーでの『エフゲニー・オネーギン』のタチアーナ役でした。以後、『ドン・ジョヴァンニ』のドンナ・アンナ、『ドン・カルロ』のエリザベッタ、『フィデリオ』のレオノーレ、『さまよえるオランダ人』のゼンタ、『ばらの騎士』の元帥夫人、『トスカ』や『カーチャ・カヴァノヴァ』、『アラベラ』のタイトルロールを、ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場、パリ・オペラ座、英国ロイヤル・オペラ、ウィーン国立歌劇場、グラインドボーン音楽祭、ザルツブルク音楽祭、バイロイト音楽祭などで演じ、高い評価を得ています。 バイエルン国立歌劇場では、2008年に『ナクソス島のアリアドネ』のプレミエが行われた際、「アドリエンヌ・ピエチョンカは、アリアドネの申し子のよう」と絶賛されました。これより以前にカーセン演出の『ばらの騎士』でも珠玉のマルシャリンを演じているピエチョンカは、カーセン演出の魅力を表す最高の歌手の一人といえるでしょう。みずみずしさを湛えた歌声と深い表現力で、カーセン演出の真髄を楽しませてくれます。
バッカス/テノール:ロバート・ディーン・ スミス Bacchus/Der Tenor:Robert Dean Smith
アメリカ、カンザス州出身のロバート・ディーン・スミスは、ピッツバーグ大学で声楽とサキソフォンを学び、ニューヨークのジュリアード音楽院で研鑽を重ねました。目下数少ない正統派ヘルデン・テノールの一人として、世界のオペラハウスでワーグナー歌いとしてひっぱりだこのロバート・ディーン・スミスですが、歌手としてのキャリアはバリトンとしてスタート。1988年からテノールに転向しました。1997年バイロイト音楽祭での『ニュルンベルクのマイスタージンガー』のワルター役によって、国際的な注目を集め、ベルリン、アムステルダム、バルセロナ、ブリュッセル、パリ、ロンドン、東京と、一気に活躍の場を広げました。ドイツ・オペラだけでなく、イタリア・オペラ、フランス・オペラ、ロシア・オペラまでをもレパートリーとしています。 バイエルン国立歌劇場では、2010/11年シーズンに『フィデリオ』のフロレスタンと『ナクソス島のアリアドネ』のテノール/バッカス役で登場。ワーグナー・テノールの系譜に属す英雄的な人物バッカス役は、その美声と存在感を発揮するうってつけの役どころといえます。
ツェルビネッタ:ダニエラ・ファリー Zerbinetta:Daniela Fally
オーストリア北東部のニーダーエスターライヒに生まれたダニエラ・ファリーは、ウィーンで学び、21歳のときにスイスのクールにあるハルデンシュタイン・シュロス・オペラで『ドン・ジョヴァンニ』のツェルリーナを歌ってデビューしました。2005年から2009年には、ウィーン・フォルクスオーパーのアンサンブル・メンバーとして活躍。『真夏の夜の夢』のタイターニア、『カルメン』のフラスキータ、『摩弾の射手』のエンヒェン、『魔笛』のパパゲーナ、『ボッカチオ』のフィアメッタなどを演じました。この間の2008年には、ウィーン・フォルクスオーパーの日本公演『こうもり』で“非のうちどころのないアデーレ”を演じたことを記憶されているファンも多いことでしょう。バイエルン国立歌劇場でも、2009/10年シーズンに当たり役であるこの役で登場しています。 2009年からウィーン国立歌劇場アンサンブルとなったファリーは、オーストリア出身の若手スター歌手の一人として、近年活躍の場を広げ、ますます注目を集める存在となっています。超絶技巧のコロラトゥーラは彼女のもつ最大の武器。ツェルビネッタ役はウィーンでも演じている得意のレパートリーですが、カーセン演出の、戯れを楽しむ生き生きとしたツェルビネッタは、演劇学やミュージカルや俳優としての演技も学んだ彼女の持ち味を存分に活かせるものとなるはずです。
執事長:ヨハネス・クラマ Haushofmeister : Johannes Klama 音楽教師:マーティン・ガントナー Ein Musiklehrer : Martin Gantner 作曲家:アリス・クート Der Komponist : Alice Coote 士官:フランチェスコ・ペトロッツィ Ein Offizier : Francesco Petrozzi 舞踊教師:トーマス・ブロンデル Ein Tanzmeister : Thomas Blondelle かつら師:ペーター・マザラン Ein Perückenmacher : Peter Mazalán 下僕:タレク・ナズミ Ein Lakai : Tareq Nazmi バイエルン国立管弦楽団 Bayerisches Staatsorchester バイエルン国立歌劇場合唱団 Chor der Bayerischen Staatsoper
*表記の配役は2011年2月12日現在の予定です。病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。今回の引っ越し公演においても、予定されていた出演者 がやむを得ず出演できない場合、(指揮者、主役の歌手であっても)代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。出演者変更にともなるチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。最終出演者は当日発表とさせていただきます。