ガエターノ・ドニゼッティ作曲「ロベルト・デヴェリュー」全3幕
指揮:フリードリッヒ・ハイダー 演出:クリストフ・ロイ
解説
エディタ・グルベローヴァのエリザベッタ、ホセ・ブロスのロベルトといえば、2008年のウィーン国立歌劇場日本公演演奏会形式での奇跡的な体験を思い出す人も多いでしょう。老いゆく女権力者の愛と孤独、苦悩を圧倒的なコロラトゥーラで表現するグルベローヴァのエリザベッタは、これまで誰一人到達できなかった歌唱芸術の頂点といえます。クリストフ・ロイの演出は、時代をエリザベス朝の英国から現代へ、女王を女社長へと設定を移したもの。違和感がまったくないばかりか、グルベローヴァの表情も、威厳を第一とする女王のそれより、現代に生きる生身の女性としての激しさが直接的にあらわれて、現代の観客の共感を呼びます。物語の結末はわかっていても、エリザベッタがロベルトに詰め寄る場面をはじめ、サラが夫に責められる場面、拘束されたロベルトの嘆き、圧巻のフィナーレまで、緊迫感がどんどん渦を巻くように重なって、観客を強烈なカタルシスに導いていきます。今回はグルベローヴァお気に入りのクリストフ・ロイ演出の舞台付上演で、あの奇跡を再び体感できます!
指揮:フリードリッヒ・ハイダー
Photos:Wilfried Hösl/Kiyonori Hasegawa(Haider)