ガエターノ・ドニゼッティ作曲「ロベルト・デヴェリュー」全3幕
指揮:フリードリッヒ・ハイダー 演出:クリストフ・ロイ
スタッフ&キャスト
指揮:フリードリッヒ・ハイダー Musikalische Leitung : Friedrich Haider
リンツ生まれのフリードリッヒ・ハイダーは、ウィーン音楽院とザルツブルク・モーツァルテウムで学び、1979年、18歳のときには、オーストリア作曲家大賞を受賞し、注目されましたが、1984年にクラーゲンフルトで指揮者としてデビュー。以後、オペラ指揮者として活躍しています。1991年から94年には、ストラスブールのライン・オペラ首席指揮者を務めるほか、ドレスデンのゼンパーオパー、フェニーチェ歌劇場ほか、イタリア、 スペイン、フランス、ドイツの歌劇場に客演を重ねています。2002年にはウィーン国立歌劇場に『ランメルモールのルチア』を、2006年にはメトロポリタン歌劇場に『リゴレット』を振ってデビューを果たしました。レパートリーは幅広く、70曲以上におよびますが、なかでもベルカント・オペラにおいては、その音楽づくりが高い評価を得ています。2008年ウィーン国立歌劇場日本公演『ロベルト・デヴェリュー』では、演奏のみの真価が問われる演奏会形式において、優れた棒さばきのもと、出演歌手とオーケストラを緊密に結びつけ、舞台付上演に優るとも劣らない名演奏を生みだしました。バイエルン国立歌劇場での2003年の新演出上演の指揮も務めたハイダーは、作品の魅力とこのプロダクションの持ち味を知り尽くした指揮者といえます。
演出:クリストフ・ロイ Inszenierung : Christof Loy
エッセン生まれのクリストフ・ロイは、フォルクヴァング音楽大学でオペラ演出と美術史を学びました。1990年から演出の仕事を始め、デュッセルドルフ、フランクフルト、ハンブルク、ミュンヘン・カンマーシュピール、アン・デア・ウィーン劇場、ブリュッセルのモネ劇場、英国ロイヤル・オペラ、グラインドボーン音楽祭、ザルツブルク音楽祭などで活躍しています。 クリストフ・ロイの演出の特色は、時代や設定を変えた、いわゆる“読み替え”としてつくった場合でも、作品のもつ音楽性や物語のテーマが、より一層浮き彫りにされるという点にあるでしょう。『ロベルト・デヴェリュー』においても、時代は現代に置き換えられていますが、そこには、4人の男女の複雑な関係と心理状況が緊張感をもって描き出されるのです。 バイエルン国立歌劇場でロイが演出した、2003年ヘンデル作曲『サウル』、2004年『ロベルト・デヴェリュー』、2008年ヘンツェ作曲『バッカスの巫女』が、「オペルン・ヴェルト」誌の最優秀演出作品に選ばれました。また、このほかにもロイは、バイエルン国立歌劇場で『アルチーナ』、『イタリアのトルコ人』、グルベローヴァ主演による『ルクレツィア・ボルジア』の演出を行っています。
美術・衣裳:ヘルベルト・ムラウアー
Bühne und Kostüme : Herbert Murauer
合唱指揮:セーレン・エクホーフ
Chöre : Sören Eckhoff
予定されるキャスト
エリザベッタ:エディタ・グルベローヴァ Elisabetta:Edita Gruberova
“完全無欠なコロラトゥーラのプリマ・ドンナ”と称されるエディタ・グルベローヴァ。ブラティスラヴァ生まれのこの歌姫は、1968年に生地の歌劇場でデビューの後、70年にウィーン国立歌劇場の『魔笛』で夜の女王を歌い、その後グラインドボーン、ザルツブルク音楽祭でも夜の女王を歌って、一躍世界の注目を集めることとなりました。以来、40年余りのキャリアにおいて、ミラノ・スカラ座、英国ロイヤル・オペラ、メトロポリタン歌劇場、バイエルン国立歌劇場、パリ・オペラ座ほか、世界中から賞賛を浴び続けています。 グルベローヴァが多くの優れた公演を行ってきたことはいうまでもありませんが、グルベローヴァのために歌劇場が上演を実現させることができた稀少な作品があることは、特筆すべきでしょう。ドニゼッティやベッリーニが書いたベルカント・オペラには、美しい声と卓越した歌唱技術を備えた“ベルカントのディーヴァ”グルベローヴァの存在が必要だったのです。『ロベルト・デヴェリュー』も、そうした作品の一つです。2008年ウィーン国立歌劇場日本公演の演奏会形式において、グルベローヴァの圧倒的な歌唱によってこの作品の魅力に新たに出会った日本のオペラ・ファンも多いことでしょう。クリストフ・ロイ演出による『ロベルト・デヴェリュー』は、グルベローヴァ自身もお気に入りのプロダクションとのこと。グルベローヴァ渾身の上演が迫ります。
ロベルト・デヴェリュー:アレクセイ・ドルゴフ Roberto Devereux:Alexey Dolgov
ロシア、ノヴォシヴィルスク生まれ。モスクワのチャイコフスキー音楽院で学んだ。ソリストとしてのキャリアは、まずスタニスラフスキー劇場で開始した。ここでは、「ボエーム」のロドルフォ、「コシ・ファン・トゥッテ」のフェッランド、「エフゲニー・オネーギン」のレンスキー、「ランメルモールのルチア」のエドガルドなどを歌った。2007年、ワシントン・ナショナル・オペラでの「リゴレット」のマントヴァ公爵、ヒューストン・グランド・オペラでの「ボエーム」のロドルフォで驚異的な成功をおさめ、一躍、世界の注目を集めることとなった。 すでにこれまでに共演した指揮者としては、プラシド・ドミンゴ、ダニエル・ハーディング、アレクサンダー・シェリー、パトリック・サマーズ、ドミトリー・ユロフスキーなどがあり、また、出演した歌劇場は、英国ロイヤル・オペラ、マドリッド王立歌劇場、パリのシャンゼリゼ劇場、ロサンゼルス・オペラ、ヒューストン・グランド・オペラ、ワシントン・ナショナル・オペラ、サレルノのヴェルディ劇場、トリエステのテアトロ・コムナーレ、ボリショイ劇場などが挙げられる。 「ロベルト・デヴェリュー」のタイトルロールは、2010年秋にモントリオール・オペラで演じ、成功をおさめている。また本年6月、メトロポリタン歌劇場日本公演の「ランメルモールのルチア」にもエドガルド役で急遽出演し、好評を博したことは記憶に新しい。
サラ:ソニア・ガナッシ Sara:Sonia Ganassi
イタリア、レッジョ・エミーリア生まれのソニア・ガナッシは、国際的な人気と実力を誇るトップ・メゾ。1992年にローマ歌劇場で『セビリャの理髪師』のロジーナでデビューし、以後、フィレンツェ、ボローニャ、メトロポリタン歌劇場、マドリード、英国ロイヤル・オペラ、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座など、著名な歌劇場で活躍しています。レパートリーの中心はイタリア・ベルカント・オペラで、ロジーナをはじめ、『アルジェのイタリア女』、『ラ・ファヴォリータ』のレオノーラ、『アンナ・ボレーナ』のジェーン・シーモア、『マリア・ストゥアルダ』のエリザベッタ、『カプレーティとモンテッキ』のロメオ、『ドン・カルロ』のエボリ公女などを得意としています。バイエルン国立歌劇場では、『チェネレントラ』のアンジェリーナのほか、グルベローヴァ主演の『ノルマ』で、恋敵であるアダルジーザ役で共演し、成功を得ました。『ロベルト・デヴェリュー』でもまた、エリザベッタの友人であり恋敵でもあるサラ役での共演となりますが、ガナッシの豊かな表現力は、この作品を支える大きな力となるはずです。
ノッティンガム公爵:デヴィッド・チェッコーニ Herzog von Nottingham : Devid Cecconi セシル卿:フランチェスコ・ペトロッツィ Lord Cecil : Francesco Petrozzi グヮルティエーロ:スティーヴン・ヒュームス Sir Gualtiero Raleigh : Steven Humes ロベルトの使い:ジョン・チェスト Un paggio + Un famigilare : John Chest ジャーコモ:ヨハネス・クラマ Giacomo : Johannes Klama バイエルン国立管弦楽団 Bayerisches Staatsorchester バイエルン国立歌劇場合唱団 Chor der Bayerischen Staatsoper
*表記の配役は2011年2月12日現在の予定です。病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。今回の引っ越し公演においても、予定されていた出演者 がやむを得ず出演できない場合、(指揮者、主役の歌手であっても)代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。出演者変更にともなるチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。最終出演者は当日発表とさせていただきます。