イザベル・シアラヴォラ インタビュー

イザベル・シアラヴォラ インタビュー

イザベル・シアラヴォラ(エトワール)

09-11.08Isabelle03.jpg1988年 パリ・オペラ座バレエ学校入学。
1990年 18歳でパリ・オペラ座バレエ団入団。 
1993年 コリフェに昇格。
2000年 スジェに昇格。
2003年 プルミエール・ダンスーズに昇格。
2009年 4月16日「オネーギン」(ジョン・クランコ振付)終演後、エトワールに任命される。


 どこまでも長く華奢な脚と優美なポワントワークで、フランスでは多くのバレエファンを魅了して久しいイザベル。たいそうな美女である。彼女がエトワールに任命されたのは、今年の4月16日「オネーギン」の公演後で、その直後のルグリのアデュー公演が彼女にとってエトワールとしての初デフィレだった。最新エトワールの歩みに惜しみない拍手が観客からは贈られたのだが・・。「実はこのとき舞台で初めて上がってしまったのよ。新エトワールの出に、先輩エトワールたちがチチチチと舌を鳴らして、はやしたてる習慣があるの。それを背に舞台を降りはじめんだけど、手が急に震えてしまって。びっくりしたわ」、と笑う。よほど感激が大きかったのだろう。

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「ジゼル」(photo:Michel Lidvac)

 任命後、エトワールたちは次々と新しい役を得る。イザベルにとって、今シーズン開幕の「ジゼル」がその1つ。「天井桟敷の人々」「椿姫」で見せた豊かな演劇性を、この作品でも多いに発揮してみせた。女優的役作りを問われる作品を好む彼女が長年演じてみたいと願っていた第一幕の狂乱の場は、とりわけ好評だった。ジゼルの心をどう描いたのだろう。「アルブレヒトにとってジぜルとのことは気晴らし。でも彼女はとてもピュアで、彼をとても愛している。だから彼の言うことを心から受け止めているの。だからこそ永遠の愛を誓う!と指を天に挙げたはずの彼の嘘に、彼女、プチっと切れてしまうのよ。ね、想像してみて。自分のフィアンセが他の人とすでに婚約してたって。これは電気ショックのように強いわ。真実を質そうとしても、彼は目をそらすだけ。いったい何がおきたの?私、すごく幸せだったのに、いったい何がおきたの・・と。母親の姿も見分けられない、自分の体すら自分のものではないよう。最後にヒラリオンに揺すぶられて一瞬気を取り戻すのだけど・・。今わの際に人生の厳しさを知り、彼女、若い娘から大人に成長するのよ」

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「ジゼル」アルブレヒト役のステファン・ビュヨンと(photo:Michel Lidvac)

 ウィリ(精霊)となった第二幕では、ポエジーを感じさせる彼女特有の繊細な脚の動きが生かされ、パートナーのステファン・ビュヨンの見事なサポートもあり、本当に宙をさまようようだったそうだ。が、精霊とはいえ、彼女は人間的感情を表現することにしたという。「彼が踊り終えて倒れたときに夜明けを告げる鐘がなるでしょ。彼の命が救われたことがわかって、喜びで顔を輝かせるのよ。最後、私は地中に戻るけど、あなたは助かった。もう二度と会えなくなるのね・・とお墓のほうへと引かれてゆくシーンは、最高!」
 公演時の感動を思い返し、目を輝かせて語るイザベル。東京ではバンジャマン・ぺッシュがパートナーになる。彼とはオペラ座では「ラ・バヤデール」「アルルの女」を踊り、また外部のガラでも共演しているので、お互いの間には信頼関係が築かれているという。エトワールとなって初の来日。新たなパートナーと「ジゼル」を踊ることを、今から心待ちしている。

大村真理子(フィガロ・ジャポン・パリ支局長)

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