2009年11月 一覧

バンジャマン・ペッシュ インタビュー

バンジャマン・ペッシュ(エトワール)

1986年 パリ・オペラ座バレエ学校入学。
1992年 18歳でパリ・オペラ座バレエ団入団。
1994年 コリフェに昇格
1997年 スジェに昇格。
1999年 プルミエ・ダンスールに昇格。
2005年 9月22日中国・上海公演で「ジゼル」のアルブレヒトと「アルルの女」のフレデリを演じ、終演後、エトワールに任命される。


 バンジャマンが「ジゼル」を初めて踊ったのは2002年。「これはキャリアの最後まで共に歩んでゆきたい作品。なぜってダンサーが個人として経験し成熟することで、役作りが豊かになってゆくから。良いワインと同じ。年月を経るほどに熟成して、味わい深くなるんです」。
 アルブレヒトについて彼の解釈はというと・・・舞台上に颯爽と登場するのは、城の中で育ち、その環境ゆえに少しばかり傲慢なプリンス。それが物質的に恵まれない農家の素朴な娘に出会う。彼女こそが真実。それまで味わったことのない感情に素直に心を動かされ、その気持ちに流されるまま、婚約者のいる身である現実を忘れ、その結果、物語の展開は悪い方向へ向う。

09-11.25Pech02.jpg

「ジゼル」アルブレヒト(photo:Julien Benhamou/Opéra national de Paris)


「第二幕でのケープをかけて登場するシーンでは、罪悪感と贖罪の気持ちから歩みは映画のスローモーションのように。頭の中ではジゼルとの最初の出会いから思い返していて、もし僕がこうしていたら結果は違っていただろう・・と。心、ここにあらずという歩みなんです」。
「ジゼル」での彼にとって大切な3シーンの1つがここである。もう1つは、第一幕でジゼルと鉢合わせする出会いの場。次の展開を知っているという動きにならぬよう、ごく自然に演じるように努めるという。もう1つは最後にジゼルが墓に消え、さて、これが夢だったのか現実だったのか、というアルブレヒトの思いをみせる場である。「演技過剰もいけないし、カリカチュアすぎてもいけない。できる限り自然に演技する必要があるので、とても難しい役ですよ。公演のたびに、白紙の状態で臨むようにしてます」
 第二幕でよく話題にのぼるアントルシャ・シスは、ダンサーの任意。従ってダンサーによって見せるものが異なるのだ。その部分、彼はドゥーブル・アッサンブレを見せた。アントルシャ・シスより自分には難しい、と言うダンサーもいるように、これは力強さを要求されるテクニックだ。「流れとして、このほうが僕にはしっくり思えたので。ショーヴレとアタナソフの「ジゼル」をみたけど、彼もアントルシャ・シスはしなかった。でも彼らが舞台上で発したものは凄かった。技術の披露よりダンサーの俳優的演技が重要な作品。150年前のバレエが、近日のものとして存続できるのもそれゆえですよ」。東京公演の彼のパートナーのイザベルも、演劇性を重視するタイプである。ダンスを超えた、深い感動を残す舞台が期待できそうだ。

大村真理子(フィガロ・ジャポン・パリ支局長)


09-11.25Pech01.jpg
「ジゼル」アルブレヒト(photo:Icare)


◆バンジャマン・ペッシュ出演予定日

「ジゼル」 2010年3月20日(土)6:30p.m. (アルブレヒト)

明日(11/21)より、一斉発売開始!

2009年11月20日 16:07 公演情報

いよいよ、明日11月21日(土)10時より、NBSチケットセンター、NBS WEBチケット、プレイガイドにて、パリ・オペラ座バレエ団2010年日本公演の一斉発売が開始となります。

S券~E券までの全席種を発売いたしますが、「ジゼル」3月21日(日・祝)のS席、A席、B席はセット券受付初日の段階で満席となったため、NBSチケットセンター、NBS WEBチケットでのお取り扱いはございません。また、2演目セット券発売、NBS WEBチケットでの先行抽選予約発売などで、残席が少なくなっている公演もございます。あらかじめご了承ください。

なお、発売する座席はNBSチケットセンター、NBS WEBチケット、プレイガイドにより異なります。
NBSチケットセンター電話予約は、発売開始日と発売開始後10日間はお席番号のご案内ができませんので、お席を選んで購入されたい方は、NBS WEBチケット、プレイガイドをご利用ください。

マチュー・ガニオ インタビュー

マチュー・ガニオ(エトワール)

1992年~99年 マルセイユ国立バレエ学校で学ぶ。
1999年 パリ・オペラ座バレエ学校に入学。
2001年 17歳でパリ・オペラ座バレエ団入団。
2002年 コリフェに昇格。
2003年 スジェに昇格。
2004年 5月20日「ドン・キホーテ」(ルドルフ・ヌレエフ振付)終演後、エトワールに任命される。


09-11.18Mathieu01.jpg 若くして皆に注目されるプレッシャーって、今まさに浅田真央ちゃんが味わっているようなものなのだろうか。マチュー・ガニオがエトワールになった時は、そのまま順調に大きくなっていくと思われたが、本人は相当苦しんだという。
 「だって、バレエ団内での立場は、それまで自分が憧れていたルグリ、イレール、ニコラ・ル・リッシュ、オレリー・デュポンなどと同じになったとしても、バレエのスキルはもちろん、作品の考察の深さとか、あらゆる意味で彼らの域に達していないことは自分でもわかっていたからね。ただ、そこで焦らずにその都度やるべきことに向き合っているうちに、成長の速度がエトワールになる前よりも早くなっているのを感じた。それが環境というものなのかはわからないけど」
 来日公演では、華のあるマチューならではの役どころを見せてくれる。それも音楽こそ耳になじんだプロコフィエフの「シンデレラ」なのに、舞台上で展開されるのはお城の宮廷内の話ではなく、映画業界のドラマ。
「で、僕が踊るのも、王子様じゃなくて、映画スター(笑)。シンデレラだって可哀想な、いじめられっ娘ではなく、自分の力で映画界をのし上がっていこうとしている、という設定が面白いよね。映画スターという存在に対しては、やっぱり昔から憧れがあったから、演じていてもワクワクするし。僕がロールモデルにしたのは、アラン・ドロン。古い?そうかなあ(笑)。でも僕たちの「シンデレラ」も今の何でもありの映画業界じゃなくて、選ばれた人間しか入れないような、そう、まさしく古き佳き時代の銀幕のイメージがあるんだ。ダンスにしてもフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースがスクリーンを彩ったエレガンスに満ちていて。特にシンデレラと映画スターのパ・ド・ドゥなんて、バレエとして見ても信じられないくらいに美しい。バレエも映画もよく知っているヌレエフならではの振付だからね。両方のいいところを取り入れることができたんだろうね」
 パリ・オペラ座バレエの大先輩パトリック・デュポンが、アラン・ドロンと共演したバレエ業界のことを描いた映画(「ダンシングマシーン」)がある、と伝えると、
「なんか、観るのが怖いな(笑)。それって」

佐藤友紀(フリーライター)

09-11.18Mathieu02.jpg
「シンデレラ」映画スター


◆マチュー・ガニオ出演予定日

「シンデレラ」
2010年3月13日(土)6:30p.m. (映画スター)
2010年3月15日(月)6:30p.m. (映画スター)

photo:Laurent Philippe(舞台写真)、Nobuhiko Hikiji

メディア情報~マチュー・ガニオ 読売新聞pop Style

先日もお知らせいたしましたとおり、本日(11/18)の読売新聞夕刊(pop Style面"ALL ABOUT")で、マチュー・ガニオの大型インタビューが掲載されます。

掲載に先駆けて、YOMIURI ONLINEでマチューの動画メッセージ、そして取材記者blog(マチューの写真あり)がご覧いただけますので、ぜひアクセスしてみてください!

>>>YOMIURI ONLINE pop Style動画
>>>YOMIURI ONLINE pop Styleブログ

「ジゼル」プロモーション動画完成!

2009年11月16日 17:40 Movie | パリ・オペラ座バレエ団

パリ・オペラ座バレエ団「ジゼル」のプロモーション動画が完成しました。
キャストは、日本公演最終日に主演する、オレリー・デュポンとニコラ・ル・リッシュ、そしてミルタはエミリー・コゼットが演じています。

「シンデレラ」「ジゼル」キャスト追加発表!

2009年11月14日 09:44 公演情報

パリ・オペラ座バレエ団より、2010年日本公演のキャスト追加発表がありました。
「シンデレラ」の継母役と「ジゼル」のミルタ役が決定いたしましたので、お知らせいたします。


パリ・オペラ座バレエ団2010年日本公演

「シンデレラ」全3幕

 2010年
シンデレラ
映画スター
継母
3/12(金)6:30p.m.
アニエス・ルテステュ
ジョゼ・マルティネス
ステファン・ファヴォラン
3/13(土)1:30p.m.
マリ=アニエス・ジロー
カール・パケット
ジョゼ・マルティネス
3/13(土)6:30p.m.
デルフィーヌ・ムッサン
マチュー・ガニオ
ステファン・ファヴォラン
3/14(日)1:30p.m.
マリ=アニエス・ジロー
カール・パケット
ジョゼ・マルティネス
3/15(月)6:30p.m.
デルフィーヌ・ムッサン
マチュー・ガニオ
ステファン・ファヴォラン


「ジゼル」全2幕

 2010年
ジゼル
アルブレヒト
ミルタ
3/18(木)7:00p.m.
アニエス・ルテステュ
ジョゼ・マルティネス
マリ=アニエス・ジロー
3/19(金)7:00p.m.
ドロテ・ジルベール
マチアス・エイマン
エミリー・コゼット
3/20(土)1:30p.m.
アニエス・ルテステュ
ジョゼ・マルティネス
マリ=アニエス・ジロー
3/20(土)6:30p.m.
イザベル・シアラヴォラ
バンジャマン・ペッシュ
エミリー・コゼット
3/21(日・祝)1:30p.m.
オレリー・デュポン
ニコラ・ル・リッシュ
マリ=アニエス・ジロー

マチアス・エイマン インタビュー

マチアス・エイマン(エトワール)

2001年 パリ・オペラ座バレエ学校入学。
2004年 16歳でパリ・オペラ座バレエ団入団。
2005年 コリフェに昇格。
2006年 スジェに昇格。
2007年 プルミエ・ダンスールに昇格。
2009年 4月16日「オネーギン」(ジョン・クランコ振付)でレンスキーを踊り、終演後エトワールに任命される。


「ジュエルズ」の"ルビー"で、大先輩のオーレリー・デュポンをパートナーに生き生きとした表情で余裕の舞台を見せたマチアス・エイマン。彼の弾ける躍動感にステージは明るく煌き、その美しく力強い跳躍と軽快な脚さばきに観客は呆気にとられた。いや、劇場中がどよめいた、といっても過言ではないかもしれない。

09-11.13Mathias03.jpg

「ジュエルズ」ルビー(photo:Michel Lidvac)

 最新&最年少エトワールということで彼にのしかかる世間の期待の重さを承知する彼は、"現在の自分の最高のレヴェルの舞台をみせる"、"観客に喜びを与え、自分も舞台の喜びを享受する"ということを自分に課している。「ジゼル」のオペラ座での初出演を振り返り、リハーサルの段階で悩んだと語れるのは、舞台の結果に満足している証だろう。
「自分でもアルブレヒトを踊ったことのあるローラン・イレールと稽古をしたんです。楽しみを求めてジゼルに言い寄る貴族、というのが彼の役の解釈でしたが、稽古を始めて、僕にはそれは向かないってわかったんです」。その結果、エネルギー溢れる若さという彼の持ち味を生かしたアルブレヒトが舞台に登場した。心から愛する人に出会えた喜びを満身にたたえたプリンスである。二コラのはリハーサルだったが、対ジゼル的にマッチョな男という印象を受けたという。「彼の年齢にはそれは似合ってるけど、22歳の僕がそう演じたら馬鹿げてしまう。ドロテと僕の若い二人にとっての現在のベストをみつけてくれたローランは素晴らしい」と語るマチアス。東京公演までまだ数か月あるので、それまでの成長によって、舞台はまた別のものになるかもしれないと本人も期待している。「でも、パートナーは絶対に変えないよ。僕のジゼルはド・ロ・テ!そしてドロテのアルブレヒトはマ・チ・ア・ス!(笑)僕たち年齢も近いので、すごく気が合うんだ。二人で最高の舞台を約束します」。

09-11.13Mathias01.jpg
「ジゼル」アルブレヒト(photo:Julien Benhamou/Opéra national de Paris)

 卓越したテクニックを評価される彼である。第2幕のアントルシャ・シスに観客が湧いたのは想像に難くないだろう。ここはソー・ド・バスクと組み合わせたり、まったくしなかったりとダンサーの任意パートである。「僕は振り付けに則って、最初からアントルシャ・シスだけ。この部分の音楽は心に訴える強さがあって、たとえ脚が疲れきっていても、音楽にのせられてしまうんだ。この部分は自分の命の果てまで行こうという自殺行為という物語的強さもある。それに僕のクオリティの1つは、ソー(跳躍)とバットゥリー(脚の打ち合わせ)。これを見せないのは残念でしょう。観客を感動させる、男性ダンサーにとって輝かしい瞬間でもあるので、アントルシャ・シス、絶対に見逃さないで!」
大村真理子(フィガロ・ジャポン・パリ支局長)



◆マチアス・エイマン出演予定日

「ジゼル」 2010年3月19日(金)7:00p.m. (アルブレヒト)

メディア情報

読売新聞の水曜夕刊popstyle面で、旬の人物を、見開き2ぺージを使って紹介する新聞史上最大規模の人物特集"ALL ABOUT"に、マチュー・ガニオが登場します!
掲載は来週の水曜日(11/18)の予定。マチュー・ガニオのすべてをご覧いただけます!
絶対にお見逃しなく!

メディア情報~ELLE ONLINE マチュー・ガニオ動画インタビュー

◆ELLE ONLINE

ELLE TVでマチュー・ガニオ特別インタビュー動画がご覧いただけます!
これは8月の第12回世界バレエフェスティバルで来日した際に収録されたもの。
バレエフェスティバルで披露した「ジゼル」のワンシーンもご覧いただける貴重な動画をお見逃しなく!

>>>ELLE TV マチュー・ガニオ特別インタビュー

メディア情報

◆Dance Cube -チャコット webマガジン

チャコットのwebマガジン-「Dance Cube」に"パリ・オペラ座バレエ団「ジゼル」のレビューが掲載されています(筆者:三光洋さん、秀まなかさん)。
来年の日本公演で「ジゼル」に主演するダンサーたちの舞台写真も多数掲載されていますので、ぜひご覧ください!

>>>Dance Cube

「シンデレラ」プロモーション動画完成!

2009年11月 9日 10:25 Movie | パリ・オペラ座バレエ団

お待たせしました!
パリ・オペラ座バレエ団「シンデレラ」のプロモーション動画が完成しました。

2010年日本公演の初日を飾る、アニエス・ルテステュとジョゼ・マルティネス主演の映像です。
「シンデレラ」はあまりにもお見せしたいシーンが多くて、編集にとても悩みました。
ヌレエフ版「シンデレラ」は1930年代のハリウッドが舞台。
実際の映画を彷彿とさせるシーンもたくさん登場します。
そこで、今回はハリウッドの撮影所のシーンを中心に構成してみました。
これが「シンデレラ」? と一瞬考えてしまう、巨大なキング・コング像、ロココ風の宮廷人らしき人々、そして囚人と看守たち・・・これは映画の撮影風景として登場するシーンなのです。
全編にさまざまな工夫が凝らさせている「シンデレラ」。見所満載です!
ぜひ来年の公演でお楽しみください。

イザベル・シアラヴォラ インタビュー

イザベル・シアラヴォラ(エトワール)

09-11.08Isabelle03.jpg1988年 パリ・オペラ座バレエ学校入学。
1990年 18歳でパリ・オペラ座バレエ団入団。 
1993年 コリフェに昇格。
2000年 スジェに昇格。
2003年 プルミエール・ダンスーズに昇格。
2009年 4月16日「オネーギン」(ジョン・クランコ振付)終演後、エトワールに任命される。


 どこまでも長く華奢な脚と優美なポワントワークで、フランスでは多くのバレエファンを魅了して久しいイザベル。たいそうな美女である。彼女がエトワールに任命されたのは、今年の4月16日「オネーギン」の公演後で、その直後のルグリのアデュー公演が彼女にとってエトワールとしての初デフィレだった。最新エトワールの歩みに惜しみない拍手が観客からは贈られたのだが・・。「実はこのとき舞台で初めて上がってしまったのよ。新エトワールの出に、先輩エトワールたちがチチチチと舌を鳴らして、はやしたてる習慣があるの。それを背に舞台を降りはじめんだけど、手が急に震えてしまって。びっくりしたわ」、と笑う。よほど感激が大きかったのだろう。

09-11.08Isabelle01.jpg

「ジゼル」(photo:Michel Lidvac)

 任命後、エトワールたちは次々と新しい役を得る。イザベルにとって、今シーズン開幕の「ジゼル」がその1つ。「天井桟敷の人々」「椿姫」で見せた豊かな演劇性を、この作品でも多いに発揮してみせた。女優的役作りを問われる作品を好む彼女が長年演じてみたいと願っていた第一幕の狂乱の場は、とりわけ好評だった。ジゼルの心をどう描いたのだろう。「アルブレヒトにとってジぜルとのことは気晴らし。でも彼女はとてもピュアで、彼をとても愛している。だから彼の言うことを心から受け止めているの。だからこそ永遠の愛を誓う!と指を天に挙げたはずの彼の嘘に、彼女、プチっと切れてしまうのよ。ね、想像してみて。自分のフィアンセが他の人とすでに婚約してたって。これは電気ショックのように強いわ。真実を質そうとしても、彼は目をそらすだけ。いったい何がおきたの?私、すごく幸せだったのに、いったい何がおきたの・・と。母親の姿も見分けられない、自分の体すら自分のものではないよう。最後にヒラリオンに揺すぶられて一瞬気を取り戻すのだけど・・。今わの際に人生の厳しさを知り、彼女、若い娘から大人に成長するのよ」

09-11.08Isabelle02.JPG
「ジゼル」アルブレヒト役のステファン・ビュヨンと(photo:Michel Lidvac)

 ウィリ(精霊)となった第二幕では、ポエジーを感じさせる彼女特有の繊細な脚の動きが生かされ、パートナーのステファン・ビュヨンの見事なサポートもあり、本当に宙をさまようようだったそうだ。が、精霊とはいえ、彼女は人間的感情を表現することにしたという。「彼が踊り終えて倒れたときに夜明けを告げる鐘がなるでしょ。彼の命が救われたことがわかって、喜びで顔を輝かせるのよ。最後、私は地中に戻るけど、あなたは助かった。もう二度と会えなくなるのね・・とお墓のほうへと引かれてゆくシーンは、最高!」
 公演時の感動を思い返し、目を輝かせて語るイザベル。東京ではバンジャマン・ぺッシュがパートナーになる。彼とはオペラ座では「ラ・バヤデール」「アルルの女」を踊り、また外部のガラでも共演しているので、お互いの間には信頼関係が築かれているという。エトワールとなって初の来日。新たなパートナーと「ジゼル」を踊ることを、今から心待ちしている。

大村真理子(フィガロ・ジャポン・パリ支局長)

2演目セット券発売状況

本日より、「シンデレラ」「ジゼル」の2演目セット券受付がはじまりましたが、13時の受付終了時点で、「ジゼル」3月21日(日・祝)のS席、A席、B席がすでに満席となっております。

明日から受付を開始する、NBS WEBチケットの先行抽選予約では、システム上、「ジゼル」3月21日(日・祝)をお申し込みいただくことは可能ですが、お席をご用意することはできませんので、あらかじめご了承ください。

明日(11/7)より2演目セット券発売開始!

いよいよ、明日(11月7日)10時より2演目セット券発売がはじまります。
パリ・オペラ座バレエ団2010年日本公演のチケットは、ご希望の演目、券種によっていくつかの購入方法があります。
初めてバレエのチケットを購入される方、NBS WEBチケット サービスを利用したことがない方、などなどチケット購入方法がよくわからない・・・という方もいらっしゃると思いますので、2演目セット券の受付を前に購入方法を簡単にご紹介いたします。


◆「シンデレラ」「ジゼル」の2演目ともに、S、A、B券でご覧になりたい方は・・・。

明日、11月7日(土)10時より受付を開始する、2演目セット券発売をご利用ください。
NBSチケットセンター(TEL03-3791-8888)電話予約のみで受付いたします。
2演目セット券は、「シンデレラ」「ジゼル」のご購入枚数が同数であれば、日にちと券種は自由な 組み合わせでお求めいただけます。

例えば、こんな組み合わせが可能です。


  ◇「シンデレラ」3/12(金)S券2枚 + 「ジゼル」3/18(木)B券2枚
  ◇「シンデレラ」3/15(月)A券1枚&3/14(日)S券1枚 + 「ジゼル」3/19(金)S券2枚
  ◇「シンデレラ」3/12(金)B券3枚 + 「ジゼル」3/19(金)S券1枚&3/20(土)A券2枚


2演目セット券のご予約では、お席のご指定はいただけません。また、どちらか1演目のみをキャンセルすることもできませんので、お申し込み際にはご注意ください。


◆「シンデレラ」「ジゼル」のどちらか1演目を、S、A、B券でご覧になりたい方は・・・。

11月8日(日) から受付を開始するNBS WEBチケット 先行抽選予約をご利用ください。
11/8(日)10時から11/10(火) 18時までの受付期間中であれば、24時間いつでもパソコン・携帯からお申し込み可能です。
パソコンからお申し込みの際は、NBSのHPのトップページ左最上部にある「WEBチケット」からどうぞ。なお、事前に会員登録(登録料・年会費無料)が必要となりますので、はじめてご利用なさる方は、まず会員登録をお済ませください。


 ●NBS WEBチケット 先行抽選予約●

 ◇お申込期間: 11月8日(日)10:00~11月10日(火)18:00
 ◇お取扱席種:S券・A券・B券
 ◇受付枚数:4枚まで *第1希望~第3希望までご入力いただけます。
 ◇抽選結果発表:2009年11月16日(月)予定
  *抽選結果については、抽選日に登録済のメールアドレス宛てにご連絡いたします。
 
 ※「先行抽選予約」は先着順ではありません。受付期間にお申し込みいただいた中から
   コンピューター抽選にてお席を決めさせていただきます。
 ※11月7日(土)の2演目セット券発売日に満席になった券種は、発売されません。
   ご了承くださいますよう、お願いいたします。



◆C、D、E券でご覧になりたい方は・・・。

11月21日(土) 10時からの一斉発売をご利用ください。
NBSチケットセンター電話予約、NBS WEBチケット、プレイガイドで受付をいたします。
お席を選んで購入したいという方は、NBS WEBチケットをパソコンからご利用いただくと、座席を確認しながら、お席をお求めいただけます。
発売する座席はNBSチケットセンター、NBS WEBチケット、プレイガイドで異なります。
なお、NBSチケットセンター電話予約は、発売開始日と発売開始後10日間はお席番号のご案内ができません。また、2演目セット券発売で満席になった券種(S~B券)は発売されませんので、ご了承ください。


チケットの購入方法で何かご不明の点がありましたら、NBSチケットセンター(TEL03-3791-8888)にお電話でお問い合わせください。

「ジゼル」公演レポート

 10月21日、「ジュエルズ」の初日にマニュエル・ルグリ引退後初のデフィレがガルニエ宮で行われた。ルグリに代わりに最後に登場するのは二コラ・ル・リッシュである。その貫禄、王者の風格といえばいいのか・・。彼は9月に「ジゼル」のファーストキャストでアルブレヒトを踊ったが、この時も(特に第二幕において)格の高さと存在感を存分に発揮。オレリー・デュポンと共にベテランエトワールによるレヴェルの高い舞台をみせた。第一幕のオレリーは踊ることが何よりも好き!という思いが伝わる、生きいきとしたジゼルである。女性ダンサーたちがこれぞ見せどころとする狂気のシーンについて、彼女のはあっさりしたものだと感じたのだが・・・。
 10月3日はアニエス・ルテステュに代わり、ジョゼ・マルティネスのパートナーを突如オレリーが務めることに。村娘に心から思いを寄せる優しいプリンスといった風情だったアルブレヒトの裏切りに対し、彼女は突如狂気に陥るのではなく、深い深い悲しみをこめて踊り、そして狂乱の一瞬をみせて最期を迎えた。このオレリーのジゼルの解釈は妙に説得力があり、私には1つの発見だった。 

09-11.05Giselle-Dupont-photo_JulienBenhamou-OperanationaldeParis.JPG

ジゼル:オレリー・デュポン (photo:JulienBenhamou/Opera national de Paris)

 このシーン場をこってり感なく、かつドラマティクに盛り上げたのはデルフィーヌ・ムッサンである。彼女は第一幕では恋する無邪気な娘を繊細な演技で披露し、第二幕では重力を感じさせず、かつ詩情たっぷりな精霊ぶりで観客を圧倒した。私が彼女を観た10月4日のパートナーは、バンジャマン・ペッシュだった。ケープをひるがえして登場した彼は、優雅かつ傲慢な男。アヴァンチュールを求める貴族という解釈が明解で、これで一気に物語に引きずりこまされた。パリのバレエファンが待ち望み、そして大好評を博したイザベル・シアラヴォラのジゼルを相手に、東京公演で彼がどんなアルブレヒトを演じるか、気になるところだ。

09-11.05Giselle-Isabelle Ciaravola-photoMichelLidvac2.jpg
ジゼル:イザベル・シアラヴォラ(photo:Michel Lidvac)

 10月8日はドロテ・ジルベールとマチアス・エマンという組み合わせで見た。9月19日にバスチーユで行われた公開リハーサルでは、指導するローラン・イレールのノーブルな振りに、まだ若いマチアスがかすんでしまった印象を受けたが、さすが向上心の強いマチアスだけあり、そんな日は遠い彼方という舞台だった。優れたテクニックで知られた二人ゆえに第二幕は見応えがあり、とりわけ、アルブレヒト役の見せ場のひとつであるアントルシャ・シスをマチアスは20回以上・・・。今後演技的にも磨きがかかった二人の舞台を期待したい。進化の様を追ってゆく楽しみがあるのが、若いダンサーの舞台を見るひとつの面白みなのだから。

09-11.05Gilbert-Heyman-photoM. Lidvac.jpg
ジゼル:ドロテ・ジルベール、アルブレヒト:マチアス・エイマン(photo:Michel Lidvac)

 「ジゼル」は1841年の初演という古いバレエながら、今も観客の涙を誘う完成度の高いバレエ。さまざまな組み合わせで何度でも見たい作品である。第二幕、青白い光の中を幾重ものチュールを三角にひろげてコール・ド・バレエがアラベスクで移動するたび、ガルニエ宮は観客の感嘆のため息や拍手で満たされた。その美しさ、これだけでも劇場に足を運ぶ価値がある!という気にもなった。
大村真理子(フィガロ・ジャポン・パリ支局長)

アニエス・ルテステュ インタビュー

アニエス・ルテステュ(エトワール)


1983年 パリ・オペラ座バレエ学校入学。
1987年 16歳でパリ・オペラ座バレエ団入団。
1988年 コリフェに昇格。
1989年 スジェに昇格。
1993年 プルミエール・ダンスーズに昇格。
1997年 10月31日「白鳥の湖」(ルドルフ・ヌレエフ振付)の終演後、エトワールに任命される。


09-10.31Agnes01.jpg 幼い頃に観たヌレエフの舞台で、「バレエに関する二つの夢が芽生えた」というアニエス・ルテステュ。それは「将来こういう衣裳をデザインして、この男の人(ヌレエフ)と踊りたい」とかなり具体的なものだったとか。
「自分でデザインを手がけるようになってから、より明確に気づいたんだけど、チュチュって少し前傾しているというか、真っすぐじゃない方が踊りやすいの。そう、美しくて踊りやすいというのが絶対条件なのよ」
 1幕と2幕の衣裳の違いも楽しめるのが、来日演目一つ『ジゼル』だ。
「『ジゼル』って、どうしても精霊たちが踊る、第2幕のほうが注目されがちだし、私自身も踊るのは大好きだけど、第1幕だって振付・演出によっては皆さんが考えているようもエキサイティングなのよ。少なくともパリ・オペラ座バレエ団が今度日本に持って来るパトリス・バール版には、これまで語られなかった秘密があるし(笑)」
 「秘密」という言葉を口にする時は、大げさにわざと周囲をうかがうようなしぐさをしてみせるアニエス。すっかりドラマティック・ダンサー、女優ダンサーの雰囲気十分だ。
「1幕で私が踊るジゼルは、身体が弱いという従来の解釈だけではない、何か決定的に他の村娘と違うニュアンスがある。それって、村にやって来た公爵と、ジゼルの母親のアイ・コンタクトがヒントで、2人はヨーロッパの国々に昔あった領主の初夜権で関係を持ち、ジゼルはその落しだね、という解釈なのよ。びっくりした?だからたぶん母親もそうやって村娘ジゼルを育てただろうし、ジゼルがアルブレヒトと恋に落ちるのも、他の村娘にないエレガンスというか高貴さゆえ、と。そう考えると、なおさらアルブレヒトの裏切りを知ったときのショックが大きいのは当然でしょう」
 パリ・オペラ座バレエ団のレパートリーになっているもう一つのマッツ・エック版『ジゼル』の「人間関係の濃さもどこかで反映させてるわ(笑)」という。その相乗効果による、さらなる深みが楽しみ!

佐藤友紀(フリーライター)


09-10.31Agnes02.jpg

「ジゼル」ジゼル


◆アニエス・ルテステュ出演予定日

「シンデレラ」
2010年3月12日(金)6:30p.m. (シンデレラ)

「ジゼル」
2010年3月18日(木)7:00p.m. (ジゼル)
2010年3月20日(土)1:30p.m. (ジゼル)

photo:Icare(舞台写真)、Nobuhiko Hikiji