カール・パケット インタビュー

カール・パケット インタビュー

カール・パケット(プルミエ・ダンスール)

1987年 パリ・オペラ座バレエ学校入学。
1994年 17歳でパリ・オペラ座バレエ団入団。
1996年 コリフェに昇格。
2000年 スジェに昇格。
2001年 プルミエ・ダンスールに昇格。


 ヌレエフ版の「シンデレラ」は一般に知られる童話の灰かぶり姫とは異なり、30年代のハリウッドが舞台。シンデレラと恋に落ちる男性の主役はプリンスではなく、銀幕の人気スターである。しっかりとした骨格の長身でブロンドヘアのカール・パケットには、役作りせずとも俳優的風貌が漂う。映画をみるのは大好きで、昔はショーン・コネリー、今はジョージ・クルーニーの作品は見逃さないと語るカール。「でも僕自身、俳優になろうなんて夢見たことはないですよ。言葉で表現することがひどく苦手。その点体を介して表現するダンスは、話さなくて済むので・・・」
 オペラ座では主役もあれば準主役も、という具合に、プルミエ・ダンスールの彼の活躍は幅広い。「クラシックの大作については、どの役がとりわけ好きということは特にないです。僕なりに登場人物を作り上げて舞台にたち、その舞台の上の僕は本当の僕ではない、ということが好きなので。ましてやヌレエフの振り付けなら、どれも男性ダンサーにとって踊りがいがあるように創られてますからね。「シンデレラ」はいかにもハリウッドという感じを誇張した世界。その人気俳優なので、とにかくショー・オフな役。森英恵による輝きのあるコスチュームもダンサーの価値を美しくひきたててくれて、踊るのが楽しい作品ですね。気に入ってますよ、これは」

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「シンデレラ」映画スター(photo:Laurent Philippe)

 第一幕に彼の登場シーンはない。第二幕、映画の撮影スタジオのシーン。いくつものコミッカルなスケッチの後、ようやく映画俳優が姿を現すのだ。しかも、舞台中央の階段の上からいともゴージャスに!「そうなんです。それまでのシーンはすべて彼の登場のため、という感じ。バレエそのものが、この俳優の役をひきたてるように創られてるんです。そして登場してから最後までは、ほとんど舞台上にいます。僕がこの作品で1つ驚くことは、第二幕のソロの部分。これはヌレエフらしくない、というか、ヌレエフの創作の中で最も男性的な振り付けだと僕は思っているんです」。自分のダンスは男性的と評価する彼ならではの指摘だろう。ちなみにバレエ学校時代、力強さを湛えた「ラ・バヤデール」の戦士ソロルが彼の憧れだったとか。 
 彼のこれまでのシンデレラはクレールマリ・オスタ、デルフィーヌ・ムッサン、エミリー・コゼットだった。3月の東京公演では、初めてマリ=アニエス・ジローと組む。最近は「ジュエルズ」、過去には「パキータ」で組んでいる二人なので、すでに良い関係が築かれている。バレエ団の中でも長身を競い、確かなテクニックで定評のある二人が踊る「シンデレラ」。ハリウッド全盛時代が持つスケールの大きさ、グラムール、豪華さも存分に味わえそうで、見ごたえのある舞台が待ち遠しい。

大村真理子(フィガロ・ジャポン・パリ支局長)

◆カール・パケット出演予定日

「シンデレラ」
2010年3月13日(土)1:30p.m. (映画スター)
2010年3月14日(日)1:30p.m. (映画スター)


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