ドロテ・ジルベール インタビュー

ドロテ・ジルベール インタビュー

ドロテ・ジルベール(エトワール)

1995年 パリ・オペラ座バレエ学校入学。
2000年 パリ・オペラ座バレエ団入団。
2002年 コリフェに昇格。
2003年 スジェに昇格。
2005年 プルミエール・ダンスーズに昇格。
2007年 11月19日「くるみ割り人形」(ルドルフ・ヌレエフ振付)の終演後、エトワールに任命される。


 7歳のときに故郷のトゥールーズでバレエを見て、「バレリーナって仕事なの?」とドロテは母親に尋ねた。こう思うほど、彼女に感銘を与えた作品、それが「ジゼル」だった。「私がみたときのダンサーはマニュエル・ルグリとノエラ・ポントワだったと、つい最近わかったのよ。信じられないでしょう!?」。大きな瞳をひときわ輝かせて彼女は語る。不思議な運命の巡りあわせだ。そのルグリが彼女のプチ・ペールとなり、そして彼女がエトワールに任命された「くるみ割り人形」のパートナーだったのだから。
「その時に見た「ジゼル」で、言葉を発することなく、踊りで物語を語ることができるということがすごく印象的だったの」

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「ジゼル」ジゼル(photo:Michel Lidvac)

 彼女をバレエの世界に導いた作品をエトワールとなって踊ることが決まったとき、どんな気持ちだったのだろう。
「願いに願った作品なのだから、とてもうれしかったわ。これはクラシック大作の1つ。エトワールの誰もが踊りたい役でしょう。私、いろいろなダンサーのDVDをみて、こうしたい、いや、私ならこうするわ・・・って思ってて。それをやっと実現に移せるときが来たんだわって、わくわくしたの」
 ドロテの東京公演でのパートナーはマチアス・エイマン。2008年秋にモナコで初めて踊り、そして昨秋オペラ座で再び組んでいる。彼女がDVDなどで見たアルブレヒト役はローラン・イレールが多かったそうだ。「ローランのアルブレヒトはジゼルの気持をもてあそび、本当に彼女を愛してんだと気づくのは、彼女の死の直前。でも、マチアスのアルブレヒトは違うの。優しくて・・・情熱に押されて、彼女にすぐに恋をしてしまうのよ」
 それでもアルブレヒトが嘘をつくことには変わりがない。狂乱のシーンを彼女はどう解釈してるのだろうか。「とても正直な娘で、周囲の村人も同じような人々ばかり。だから嘘をつくという行為が理解できない。自分の気持ちに誠ではないことをすることがわからない。素朴な自分はつけこまれたんだと感じ、知らなかった世の中の悪い面を知るの。たとえ心臓病があっても、ポジティブで陽気に生きてきた彼女は、その瞬間に、フリーズしてしまう感じね。わけがわからなくなって、何も受け入れられなくなってしまうんだわ」

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「ジゼル」ジゼル(photo:Michel Lidvac)

 第一幕より第二幕のほうが彼女自身は踊りやすいという。音楽、衣装、照明が織りなす非現実な雰囲気の中、まるで大きな泡の中にとじこめられたようで、自分が存在しないような特殊な感じがするそうだ。
 東京では「シンデレラ」の義妹役も初めて踊る。まだ稽古前なので語ることがないの、と申し訳なさそうなドロテ。でも、この役は気に入ってる。これもDVDで何度もみているそうだ。「少しばかり、足がアン・ドゥダン(内向き)になってて・・この義姉妹役の難しさって、どこまでやるか、というバランスね。トゥーマッチになりすぎてもいけないけど、十分でないと滑稽にならないし。良い塩梅をみつけるのは簡単じゃないわ。でも、舞台でおバカを演じるのは、すごく楽しい。この作品はどの役も個性があるので、それで舞台が生き生きするのね。ヌレエフは舞台をハリウッドにおきかえたのは、すごく良いアイディアだと思う。ぜひ大勢の方に見に来てほしいわ」

大村真理子(フィガロ・ジャポン・パリ支局長)



◆ドロテ・ジルベール出演予定日

「シンデレラ」
2010年3月13日(土)1:30p.m. (義姉)
2010年3月14日(日)1:30p.m. (義姉)

「ジゼル」
2010年3月19日(金)7:00p.m. (ジゼル)

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