[ロイヤル・バレエ]ロベルタ・マルケス インタビュー

[ロイヤル・バレエ]ロベルタ・マルケス インタビュー

ロベルタ・マルケスRoberta Marquez
(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル・ダンサー)


小さな顔、すっと伸びた首筋、しなやかで女性らしい足のライン。ブラジル出身のバレリーナ、ロベルタ・マルケスの身体つきは、まるでドガの彫刻『14歳の踊り子』のよう。鋭角的なラインを美とする最先端のモード界が忘れ去ってしまった、柔らかであどけない少女のような優美さを体現する。そんな彼女も今年で、バレエ団のプリンシパルとして6年目。ダンサーとして成熟期に。恵まれた身体と確かな技術を淡い上品なヴェールで包み、マルケスは、これぞクラシック・バレエという古典的な美しさをみせてくれる。

--------あなたは『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『コッペリア』『ジゼル』など、特に、十九世紀クラシック・バレエの演目で高い評価を得ていますね。

そうですね、それはとても嬉しいことです。なぜなら、わたしは古典演目を踊ることが大好きですから。それになんだかんだ言っても、わたしたちはクラシック・バレエのカンパニーにいるわけで、古典演目を踊りつづけることはやはり大切にしたいと思います。ただ今後は、今までの自分の得意分野ではない踊りにもすこしずつ挑戦していきたい。たとえばわたしは『白鳥の湖』のオデットのようなアダージオを踊ることはわりと得意としますが、フォーキンの『火の鳥』のように力強く溌剌としたステップはそこまでじゃない。でもモニカ(メイソン)にうながされて、いざ『火の鳥』に挑戦してみたら、自分でも知らない自分の能力に気づくことができてとても楽しかったんです。ですから今後はもっといろいろ、それこそ斬新なコンテンポラリー作品にも挑戦してみたいと思っています。


--------明日のソワレ(3月10日)では、スティーブン・マックレーと『ロミオとジュリエット』を踊られますね。彼とは近年、とてもよいパートナーシップを築かれているように思います。

ええ、スティーブンとは一緒に踊る前からとても良い友達だったので、遠慮なくなんでも話すことができるんです。人によってはわたしは照れてしまって、言いたいことが言えないことがあるのですが、彼とはリハーサルでどんなことでも言いあえる。それが本番でのパートナーシップに役だっているように思います。ジュリエットは大好きな役のひとつです。わたしはブラジルで、たしかまだ14歳ぐらいのときに、はじめてワシーリエフ版の『ロミオとジュリエット』を踊ったんですけれど、そのときよりもずっと自由に、ずっと自然体に、ジュリエットになれているように思います。それにスティーブンのロミオはとてもみずみずしいので、彼の若いエネルギーがわたしにも感染して、作品全体に高揚感が生まれるんです。


--------日本では彼と『リーズの結婚』を踊られますね。

アシュトンを踊るときに何より大事なのは、難しいステップの数々を手もなくこなしているように見せること。軽やかに弾むように、ジャンプなどのステップこなさなければいけません。あとはこうしたコミック・バレエで大切なのは、ステップやマイムのタイミング。きっかけが数秒ずれるだけで、なんにも面白みのない退屈な作品になってしまいますからね。でもスティーブンとなら大丈夫です。呼吸のタイミングもばっちりです。

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『リーズの結婚』(photo:Bill Cooper)


取材・文:岩城京子(演劇・舞踊ライター)

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