[ロイヤル・バレエ]マーラ・ガレアッツィ インタビュー

[ロイヤル・バレエ]マーラ・ガレアッツィ インタビュー

マーラ・ガレアッツィ Mara Galeazzi
(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル・ダンサー)

イタリア出身のマーラ・ガレアッツィは、そのお国柄にたがわぬ情熱的なダンサー。彼女がはじめて『マイヤーリンク』のマリー・ヴェッツェラ役を任されたのはまだ入団一年目の19歳のとき。だがのちに芸術監督モニカ・メイソンは「あのときから、あなたのなかにはマクミランの血が流れていたわね」と彼女に賛辞を送った。まさに芸術監督お墨付きの、フェリやデュランテにつづくイタリア産ドラマティック・ダンサー。だが彼女にそんな言葉を伝えると、ありがたい褒め言葉だけれど「私は私」、と成熟した女性ならではの意志強い答えを返してきた。


--------「私は私」という考え方は、92年にこのカンパニーに入団されたときから持たれていたのですか。

そうですね。私は今までいちども、誰かと競って頂点に立とうと思ったことがありません。ただ私は「自分の好きな役を踊りたい」と思ってきただけ。ですから入団後四ヶ月のあいだ役がつかなかったときには辛かったですけど、運良くその二ヶ月後にはグレン・テトリーの『ラ・ロンド』で大役をもらうことができましたし、その翌年にはマリー役を踊らせてもらうことができた。そしてそのひとつひとつの役で、私は自分のベストを尽くしてきただけ。だから話を元に戻すなら、私は私という考え方はその頃からあったように思います。アートは競技ではありません。アートとは自分だけの絵を描くことです。


--------05年頃から「Dancing for the Children」というアフリカの子供たちのためのチャリティ公演を企画されています。また一昨年にはロイヤル・バレエ団の舞台スタッフとご結婚もなさいました。いまはあなたにとって進化の時期なのですね。

ええ、まさにいま私はダンサーとしても女性としても進化しているところです。チャリティ公演の舞台に立ったときには心からこの仕事の本質的なすばらしさを――つまり「人に喜びを与える」というすばらしさを――知ることができました。また結婚は、私を女性として間違いなく成長させてくれました。ですからいまは逆に、マリーなどの少女役を踊るときには、気をつけなければならないこともある。大人の女性である私が、私自身のまま彼女を演じても、17歳の少女には決して見えませんからね。ただいずれにしろ今まで人生で様々な知識を身につけてきたことによって、役柄へのアプローチはずいぶんたやすくなったように思います。


--------日本公演では『マイヤーリンク』で、マリー・ヴェッツェラとラリッシュ伯爵夫人の二役を踊られますね。

ふたりのとても異なる女性です。いえ、マリーはまだ女性とはいいきれないですね。彼女はまだ女の子。少女ならではのまっすぐな情熱で有名人であるルドルフに恋をしてしまうんです。だからルドルフとの間にあった感情は、愛というよりも少しクレイジーな恋心に近いですね。逆にラリッシュ伯爵夫人は、私の考えでは、ルドルフを心から愛している。彼のためならなんだってする。彼女の愛はトゥルー・ラブです。ですから私はこの二役で、人生のまったく異なる段階にいる二人の女性の、まったく異なる愛をあらわすことになります。日本のお客様には、私の舞台に対しての「熱意」をなにより感じとってもらいたいですね。

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「うたかたの恋」マリー・ヴェッツェラ(photo:Johan Persson)


取材・文:岩城京子(演劇・舞踊ライター)

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