[ロイヤル・バレエ]スティーヴン・マックレー インタビュー

[ロイヤル・バレエ]スティーヴン・マックレー インタビュー


スティーヴン・マックレー Steven McRae
(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル・ダンサー)


オーストラリアに生まれてモータースポーツを愛する両親に育てられたスティーブン・マックレーは、自分の生い立ちを「バレエからもっとも縁遠い環境」と分析する。だが環境はどうであれ生まれながらにダンスの才と悠揚たる品位に恵まれた少年は、またたくまに世界へと羽ばたき、昨年末にはまだ二十代前半の若さで英国ロイヤル・バレエ団プリンシパルの座に就任。「舞台に立っているときが、いちばん居心地がいいんだ」とおっとり嬉しそうに語る彼の心のふるさとは、オーストラリアでもイギリスでもなく、今はバレエに在るのかもしれない。


----------------昨年度プリンシパルに昇進されてから、舞台に対してのスタンスは何か変わりましたか。

ことさら大きな変化はないと思います。プリンシパルでもソリストでも群舞でも、自分のベストを尽くすだけ。僕はいつでもそう思って踊ってきましたから。ただもちろん「プリンシパルになる」というのは、自分のなかにつねにあった大きな目標だったので、それが思っている以上に早く成し遂げられたことは嬉しいです。努力が報われたように思います。ただもちろん、ここがゴールではありません。ここから本当の挑戦がはじまる。これからは毎日が自分との挑戦。他者ではなく自分との競争です。


----------------ロイヤル・バレエ団に入団される前年には、ローザンヌ国際バレエコンクールでタップダンスのソロを踊られ周囲を驚かせていましたね。あなたにとっては、バレエもタップもジャズも、ダンスはダンスで特に変わりはないのでしょうか。

僕は子供のころから、ただ単純に踊りたかったんです。なぜなら僕はバレエのなんたるかをまったく知らなかったから。オーストラリアではバレエをまったく見なかったから。とにかく自由に音楽にあわせて踊りたかったんです。だから今でも僕にとっては、音楽はとても重要な要素。音楽とたわむれながら踊ることが好きなんです。ただもちろん、ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとしては、ただ気持ちよく踊ればいいというわけじゃない。そこにしっかりとしたテクニックも乗せなければならない。だから音楽と技術をうまく融合させることが、優秀なダンサーには必要なんです。


----------------あなたの軽快な音楽性が買われてか、ロイヤルに入団されてからは『シンフォニック・バリエーション』『真夏の夜の夢』『リーズの結婚』と、多くのアシュトン作品を踊られていますね。『リーズ〜』は日本公演でも踊られます。

言われてみれば確かに、アシュトン作品は多いですね。でも自分ではさほど意識したことはありません。もちろん『リーズ〜』のようなコミック・バレエを踊るときには、全体のリズミカルな軽快さや、ウィットのタイミングをはずさないよう、何度も音楽を聞き返しますけど......、それは他の多くの演目でもやることですしね。それにたとえば日本で踊るもうひとつの演目である『ロミオとジュリエット』の、バルコニーの場面のパ・ド・ドゥなんて、アシュトン以上にスピーディーですからね。とにかく僕はいま、どんな演目であっても舞台上で踊ることが楽しくてしょうがないんです。日本公演ではミヤコ(吉田都)と『ロミオとジュリエット』を踊らせてもらうから、それにも本当に興奮しています。彼女は現代バレエ界を象徴する存在ですからね。ものすごく光栄です。

RomeoMcRae_photo byBillCooper.jpg

「ロミオとジュリエット」ロミオ(photo:Bill Cooper)

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