[ロイヤル・バレエ]マリアネラ・ヌニェス インタビュー
[ロイヤル・バレエ]マリアネラ・ヌニェス インタビュー
マリアネラ・ヌニェス Marianela Nuñez
(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル・ダンサー)
振付家フレデリック・アシュトンはかつて南アフリカ出まれのダンサー、ナディア・ネリーナのために『リーズの結婚』を作りあげた。それからちょうど半世紀。アルゼンチン出身の舞姫マリアネラ・ヌニェスは、まるでそれが自分のために仕立てられたダンスであるかのようにリーズ役をものにしてみせる。また二年前に初挑戦した『ロミオとジュリエット』でも、英国ガーディアン紙から「舞台にいるダンサーのために物語が書き下ろされたように思える」という賛辞を獲得。どうやら現在のヌニェスは、ダンサーとしての最盛期を迎えつつあるようだ。19歳にしてプリンシパルの座に就いてから、早くも8年。コスモスのように朗らかな彼女ならではの少女っぽさに、成熟した女性らしさをまといつつあるヌニェスと、3月某日、『リーズの結婚』の本番翌日に言葉を交わした。
---------------- 昨晩はすばらしい舞台をありがとうございました。見せ場であるファニー・エルフスラーのパ・ド・ドゥ(リボンのパ・ド・ドゥ)をはじめ、すべてが 軽やかで美しく、見ているだけでこちらまで笑顔になってしまいました。
ありがとう、そう言ってもらえて光栄です。私も昨晩の公演にはアドレナリン全開に興奮してしまって、終演後も夜中の4時まで眠れませんでした(笑)。初めてリーズを踊ったのはもう5年前になりますが、そのときからずっとこの演目には「居心地の良さ」を感じています。もちろん最初はアシュトンならではの素早いフットワークを会得するために、それなりに稽古時間を割く必要はありました。またアシュトンの控えめでアカデミックなスタイル、無理のなりアラベスクのラインや、柔らかな上半身のラインも身につけねばなりませんでした。でも、それらをいったんものにしてからは本当に舞台上でリラックスして踊ることができた。あの農家の家の扉からとびだした瞬間から、私はリーズになりきることができるのです。
---------------- 日本公演では私生活でもパートナーであるソアレスと『リーズ〜』を踊られますね。ソアレスはどちらかというと、シリアスな演技に定評がありますが。
確かに、すこしシリアスな役が多いことは事実です。でも彼は本物のアーティストですから舞台上でどんな人間にもなりきることができます。それにそもそも、彼は普段はとってもおかしな人なんですよ。どれだけ彼にユーモアのセンスがあるかわかったら、きっと日本のお客さんは彼に惚れなおすと思います。
----------------以前のあなたは「大きな笑顔とピンクのチュチュ」がトレードマークでしたが、近年では『ロミオとジュリエット』や『ジゼル』、また『うたかたの恋』のラリッシュ伯爵夫人など、より深い演劇性を要する役柄に次々に挑まれていますね。
そう、以前はピンクのチュチュの『眠れる森の美女』や『くるみ割り人形』ばかり踊っていましたからね(笑)。でもそれらの役も、私はいまだに踊ることが大好きなんですよ。2年前にティアゴ(ソアレス)と初めて『ロミオ〜』と踊ったときは、まさに天にも昇る気持ちでした。以前にも取材でお話ししたように、私はこの役がずっと踊りたくてしょうがなかったので、ようやくモニカ(メイソン)から許可が出て、ジュリエットとして舞台に立つことができたときには、あまりにも嬉しくて......、一幕からずっと涙があふれっぱなしでした。観客にはわからなかったと思いますけど、平野亮一君が袖からずっと写真を撮ってくれていて、それにはばっちり涙が映っているんです。日本でもティアゴのロミオと踊ることになりますが、初演時にはあまりリハーサルの時間がなかったので、もっと細部まできちんと確認して、天才マクミランが作りあげたドラマを生き抜きたいと思います。
----------------どんどん進化するあなたの踊りに日本の観客も期待していると思います。
私自身いまダンサーとして、日々成長できているように思います。ひとつの役柄で培った知恵のうえに、次の役の知恵が重なっていく。自分のなかに知が蓄積されているのを、身をもって実感しているところです。
photo:Bill Cooper(「リーズの結婚」)、Dee Conway(「ロミオとジュリエット」)
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