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2018/03/08 2018:03:08:15:01:43

ローマ歌劇場「椿姫」演出 ソフィア・コッポラ スペシャルメール・インタビュー

 オペラの演出をローマ歌劇場の『椿姫』で初めて手がけた、注目の映画監督ソフィア・コッポラ。女性の視点で読み直した魅力的な映画づくりで成功をおさめている彼女は、オペラの中でもっとも有名なヒロイン、『椿姫』のヴィオレッタをどう捉え、どう描いているのでしょうか? 今回のローマ歌劇場日本公演のために、ソフィアが特別にメール・インタビューに答えてくれました。

(photo:Dick Page & James Gibbs)

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Q.あなたが考える『椿姫』のヴィオレッタとはどのような女性?


 自分の魅力を武器にしながらも、とても繊細で敏感、傷つきやすいロマンティックな心の持ち主だと、私は捉えています。


Q.オペラのなかでヴィオレッタを最も特徴的に表していることは?


 ヴィオレッタの演技については、できる限り自然であるようにしたかった。彼女を私たちの世界に生きる女性として感じられれば、私たちは彼女の繊細さや状況を理解できると考えたのです。


Q.「椿姫』を「極上の悲劇的ラブストーリーだ」とおっしゃった意味は?


 ヴィオレッタは、自分が考える"やるべきこと"をやっているのです。つまり、アルフレードにとって最善となるよう、自身の愛を諦めました。愛のもとに、彼女が究極の犠牲を払っている、ということです。


Q.衣裳デザインについて、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏とはどのように仕事を進めたのでしょう?


 最初にヴァレンティノ・ガラヴァーニがデザイン画を見せてくれました。私はほぼ最初の衣裳フィッティングから同席し、ヴァレンティノがヴィオレッタをどのように描こうとしているのかを理解していきました。そうするなかで、ヴァレンティノの作品を前面に見せるような舞台にしようと思いました。彼は映画「マリー・アントワネット」での私の仕事をとても気に入ってくれたので、私もそのやり方をもう一度試したいと思ったのです。もちろん、オペラのやり方を尊重しながら。


Q.舞台美術のネイサン・クロウリー氏を選ばれた理由は? 何か特別な要望を出されたのでしょうか。


 ネイサン・クロウリーはとても才能がありますし、美術館の展示の仕事も経験しているので、衣裳を主体的に見せるということについて理解があるだろうと思いました。クロウリーと私は、舞台美術に雰囲気を持たせたいけれど、同時に、衣裳に焦点が当たるようにしたいと考えました。そして、時代背景と合うようにしたいとも。


Q.映画とは違い、すでに楽曲としてあるオペラを演出するに当たって、まずはじめにどのようなことをされましたか?


 映画製作の最初の段階と同じように、ヴィジュアル資料を見ることから始めました。そうすることで、雰囲気は情景や人物像を理解します。


 映画では私はいつも、音楽については早い段階で考えます、音楽が私のシナリオ・ライティングと映画へのアプローチを形作っていきます。『椿姫』では、音楽に導いてもらいながら、ブロッキングとディレクション、そしてストーリー、つまりあらゆるドラマの中でストーリーをいかに人間的に表現していくのか、ということを決めていきました。


Q.出演者たちへの、具体的な指示はどのように?


 オペラの仕事は、映画のセットの中での仕事とよく似ていると思います。違う点は、オペラでは歌手たちが歌いやすいような動きやポジションを決める必要があるということです。


 オペラ歌手は(呼吸や身体の使い方が制限されるという意味で)アスリートに近いと言えるでしょう。ヴィオレッタの視点やさまざまな場面での彼女の気持ちを考えて、カメラのない舞台上でどのように表現するかを考えました。


Q.初めてのオペラ演出をされた感想は?


 オペラの仕事から多くのことを学びました。私が経験したことのない新たな出来事に取り組んだことは、私に新たなエネルギーと創造力を与えてくれました。


Q.ソフィア・コッポラ・ファンに向けて、あなたの『椿姫』の最大のアピール・ポイントとなるのは?


 この『椿姫』は美に満ち溢れています──音楽、素晴らしい美術と衣裳。ヴィオレッタという魅惑的な女性とともに、彼女のストーリーを追いながら、過去の世界に迷い込んでもらえると思っています。



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