デンマーク・ロイヤル・バレエ団
「ナポリ」全3幕
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル
第2幕振付:ディナ・ビョルン
振付指導:ニコライ・ヒュッベ、アンヌ・マリ・ヴェセル・シュリューター
音楽:ニールス・W.ガーデ、エドヴァルド・ヘルステッド、ホルガー・シモン・パウリ、H.C.ランビュ、ほか
装置:ソーレン・フランセン、オーヴ・クリスティアン・ペダーセン
【上演時間 約2時間40分】
2009年
5月15日(金)6:30p.m. テレシーナ:ティナ・ホイルンド/ジェンナロ:トマス・ルンド
5月16日(土)3:00p.m. テレシーナ:ディアナ・クニ/ジェンナロ:ティム・マティアキス
5月17日(日)3:00p.m. テレシーナ:ティナ・ホイルンド/ジェンナロ:トマス・ルンド
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
太陽と海、幻想と憧れ・・・ナポリを舞台にしたロマンティック・バレエの傑作!
夕暮れ時の喧騒に包まれる南国ナポリ。恋人同士のジェンナロとテレシーナはロマンティックな海へと漕ぎ出しますが、嵐にあって遭難。カプリ島にたどり着いたテレシーナと、彼女を助けに来たジェンナロを待っていたのは、幻想的な海の妖精たちの世界でした・・・。
異国情緒あふれる「ナポリ」は、ブルノンヴィル自身のイタリア漫遊の経験が反映され、陽気な市井の活写から、観光スポットとして有名なカプリ島の‘青の洞窟’を舞台にした幻想世界、そしてダンスが主役となる祭りの興奮まで、バレエの醍醐味満載の舞台です。
そこで繰り広げられるのは、“ブルノンヴィル・スタイル”と呼ばれる独特のステップ。ゴムまりが弾むように間断なく続く跳躍や、素早く足を打ちつけながら縦横無尽に滑る小刻みな足さばきは、清々しく躍動的な魅力に溢れています。マイムを多用した、独特の芝居心豊かな演技も加えて、‘生の謳歌’をテーマにしたブルノンヴィルの晴れやかな魅力を余すところなくお楽しみください!
伝説のロマンティック・バレエの巨匠
オーギュスト・ブルノンヴィル(1805-1879)
1805年コペンハーゲンに生まれたオーギュスト・ブルノンヴィルは、25歳の若さでデンマーク・ロイヤル・バレエ団のメートル・ド・バレエに就任し、「ラ・シルフィード」「ナポリ」など数々の名作を発表。現存する多くのロマンティック・バレエが、スタイルの違うロシアのクラシック・バレエを通過し、形を変えているのに対し、ブルノンヴィル作品は、本拠地のバレエ団と学校によって継承されてきた。そのため彼の作品は、“ロマンティック・スタイルの原形をとどめる貴重な財産”と評されている。
CAST
2009年5月15日(金)6:30p.m.
テレシーナ:ティナ・ホイルンド/ジェンナロ:トマス・ルンド
2009年5月16日(土)3:00p.m.
テレシーナ:ディアナ・クニ/ジェンナロ:ティム・マティアキス
2009年5月17日(日)3:00p.m.
テレシーナ:ティナ・ホイルンド/ジェンナロ:トマス・ルンド
5月15日(金)、17日(日)
ティナ・ホイルンド(テレシーナ)Tina Højlund
1972年生まれ。デンマーク・ロイヤル・バレエ学校を卒業後、研修生を経て1989年に入団。「ナポリ」のテレシーナ、「コンセルヴァトワール」のエリーズ、ヴィクトリーヌ、などブルノンヴィル作品で活躍するほか、「ジゼル」のミルタ、「ドン・キホーテ」のキトリなどをレパートリーとする。そのほかに、「ナポリ」のパ・ド・シス、「ステッピング・ストーンズ」、「白の組曲」のフルート、「眠れる森の美女」のリラの精などを演じている。前回(2000年)の日本公演では「ナポリ」のテレシーナのほか、「ラ・シルフィード」のエフィー、「コンセルヴァトワール」のヴィクトリーヌで出演。
トマス・ルンド(ジェンナロ)Thomas Lund
1974年生まれ。デンマーク・ロイヤル・バレエ学校を卒業後、研修生を経て1993年に入団。2000年からプリンシパルとして活躍し、前回の日本公演の「ナポリ」でもジェンナロを演じている。「ラ・シルフィード」のジェイムズ、「ブルージュの大市」のカレリス、「アブダラー」のタイトルロール、「コンセルヴァトワール」のバレエ教師、「ゼンツァーノの花祭り」など、ブルノンヴィル作品に多数出演。そのほかに「くるみ割り人形」の王子、「真夏の夜の夢」のパック、「ゲーテ・パリジェンヌ」のビム、「シンフォニー・イン・C」などを演じている。ヨーロッパやアメリカのガラ公演にも多数出演。
5月16日(土)
ディアナ・クニ(テレシーナ) Diana Cuni
1975年生まれ。デンマーク・ロイヤル・バレエ学校を卒業後、研修生を経て1993年に入団。2001年にソリストに昇進。主演作としては「ナポリ」のテレシーナ、「ドン・キホーテ」のキトリ、「くるみ割り人形」の王女とクララがある。このほかに「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」、「アレグロ・ブリランテ」、そして「ラ・シルフィード」のエフィー、「コンセルヴァトワール」のヴィクトリーヌ、「ナポリ」のパ・ド・シス、 「アマジェの王の義勇兵」のアンドレア、「デンマークを遠く離れて」のポールなどブルノンヴィル作品で活躍。
ティム・マティアキス(ジェンナロ) Tim Matiakis
1978年生まれ。ギリシャ人とスウェーデン人の両親のもとスウェーデンに生まれる。スウェーデン・ロイヤル・バレエ学校で学び、1997年にスウェーデン・ロイヤル・バレエ団に入団。2000年ソリストとななる。2002年に英国ロイヤル・バレエ団に移籍、「ロミオとジュリエット」のマキューシオ、「ラ・バヤデール」の黄金の仏像などを演じる。2004年ソリストとしてデンマーク・ロイヤル・バレエ団に入団。デンマーク・ロイヤル・バレエ団での主なレパートリーは「ナポリ」のジェンナロ、「くるみ割り人形」の王子、「エチュード」のエトワールなど。
※表記の出演者は2008年12月15日現在の予定です、ダンサーの病気や怪我、バレエ団の都合により変更になることがあります。変更の場合、入場料の払い戻しや他公演への振り替えはいたしませんので、あらかじめご了承ください。
ものがたり
夕暮れのひととき、ナポリの街は賑やかな雰囲気に包まれ。人々の陽気なやりとりが聞こえてくる。その中で若い娘テレシーナは、恋人のジェンナロが漁から戻ってくるのを待っている。ほどなくして漁師ジェンナロが大漁で帰り、漁獲の一部を待ちの僧侶フラアンブロシオに納める。
街は喜びに溢れ、男女はふざけあい、陽気な踊りが踊られる中、互いに深く愛し合った若いふたりは美しい浜辺から沖へ小舟を漕ぎ出した。
すると突然、激しい嵐が襲いかかった。舟は転覆、ジェンナロだけが助かって戻る。街の人々はテレシーナが溺れ死んだものと思い、ジェンナロを非難するが、僧侶フラアンブロシオは彼に御守りを与える。神の加護を信じ、勇気づけられたジェンナロは愛する人を探すため、ひとりカプリ島の海へ漕ぎ出す。
一方、テレシーナはやはり生きていた。カプリ島に漂着したテレシーナは、海の精たちに発見され、青の洞窟に運びこまれる。海王ゴルフォは一目でテレシーナのあまりの美しさに魅せられ、ナポリに帰らせてくれない。そればかりか、海王は彼女を海の妖精に変えてしまう。海の精たちはテレシーナを敬い、親しみを込めて贈り物を捧げ、手厚くもてなす。
その頃、カプリ島にたどり着いたジェンナロは、テレシーナのギターを見つけ、彼女を必死で探す。海王ゴルフォは、ジェンナロを脅したり誘惑しようといろいろ試みるが、テレシーナへの想いに心を占められているジェンナロの前には通じない。
はじめのうちは妖精になって人間の記憶をすべて失っているため、テレシーナは恋人の到来に気づかない。しかし、ふたりの強い愛情と、僧侶フラアンブロシオにもらった御守りのおかげで、ゴルフォの魔力も弱まり、テレシーナは人間の姿に戻る。ゴルフォは二人に財宝を贈り、ふたりはナポリに戻る。
ナポリの街の人々はテレシーナとジェンナロが無事に生還したことが信じられず、妖しい魔術でも使われたのではないかと大騒ぎになる。しかし、フラアンブロシオが登場し、この街の守護聖であり昼の象徴でもあるマドンナ・デルコラの御守りの奇跡を一同に説明すると、ようやく皆も納得する。ナポリの人々は聖母への感謝を込めて、賑やかに祭りの踊りを繰り広げる。花で飾られた山車に乗った二人は、街の人々の熱い祝福を受ける。