「フィガロの結婚」全4幕

作曲:W.A.モーツァルト
演出:バリー・コスキー
装置:ルーファス・ディドヴィシュス
衣裳:ヴィクトリア・ベーア
照明:フランク・エヴィン

人気のコスキー演出による洒脱で華やかな舞台は、現代人の共感を呼び大ブレイク!
Photo: Wiener Staatsoper / Michael Poehn

 ウィーン国立歌劇場が日本公演の演目に『フィガロの結婚』を選んだのは、今回が7回目。1786年のウィーン初演以来、この歌劇場でもっとも多く上演されている看板演目。
 結婚式当日の恋と仕返しをめぐるドタバタ劇をモーツァルトの珠玉の音楽が絶妙に描き出します。18世紀の伯爵の権力がどれほどのもので、それに仕えるということがどういうことなのか、21世紀を生きる私たちには想像ができませんが、そこを見事に解決したのが、目下、世界中で大人気の演出家バリー・コスキーです。物語の本質を変えることなく、登場人物のキャラクターを現代人にわかりやすく表現しています。たとえば、伯爵がやっていることは夫人に対するDVだと感じさせたり、美しいアリアを与えられていることから、よく“天使”とたとえられるケルビーノには、思春期ならでは不安定さを強調したり、戦争への不安という現代社会の問題も想起させます。さらにフィガロの出生の秘密が明らかになる場面で、観る者みなが思わず笑ってしまうのも、コスキーならではの天才的な演出力。ロココ調の舞台美術の中で、カラフルでセンスの良い衣裳を身にまとった登場人物たちが動き回るコスキー演出の『フィガロの結婚』は、現代の感覚で楽しめます。
 ベルトラン・ド・ビリーはこの歌劇場のオーケストラから信頼され、300回近くも 協演を重ねている、まさにウィーンの指揮者。この『フィガロの結婚』で体験できる アンサンブルは至高の味わいです。

ベルトラン・ド・ビリー(指揮)
Photo: Marco Borggreve
オーケストラからの信頼厚く、300回近くも協演。
名誉会員にも叙せられた実力派マエストロ

 フランス系スイス人のベルトラン・ド・ビリーはこれまでに300回近くもウィーン国立歌劇場に登場している信頼の厚い指揮者です。ド・ビリーがウィーン国立歌劇場で振っているのはフランスものはもとより、『魔笛』『ラ・ボエーム』『オテロ』『さまよえるオランダ人』と、幅広いレパートリーでその手腕が認められています。その最大の理由を挙げるなら、彼とオーケストラとの相性が良く阿吽の呼吸で演奏することができるから。オーケストラとの信頼関係は、指揮者の作品についての解釈や洞察力が評価されている証でしょう。
 ド・ビリーとモーツァルトといえば、2006年にウィーンのシュテファン大聖堂で行われた「モーツァルト生誕250周年祝賀演奏会」。ウィーン少年合唱団が天上の声を響かせたこの祝祭は、ド・ビリーの指揮のもと行われた世界が注目した一大イヴェントでした。
 ド・ビリーは2024年末にウィーン国立歌劇場の名誉会員に任命されていますが、フランスやオーストリアで数々の賞を受賞していることは、彼の実力が内外に認められているからにほかなりません。世界最高峰のオペラハウスとして、ウィーン国立歌劇場の高いクオリティの上演が保たれているのは、ド・ビリーのような真の実力者がいてこそです。

あらすじ

アルマヴィーヴァ伯爵の館では小間使いスザンナと召使いフィガロが結婚式の日を迎えている。そこで伯爵がスザンナに手をつけようとしていることから騒ぎが起こる。伯爵夫人は伯爵を懲らしめ、自分に愛を向けさせようとする。一方で、伯爵夫人も言い寄ってくる小姓ケルビーノを憎からず想っている。そのことを伯爵に知られそうになるが、フィガロとスザンナの機転によりなんとか回避した。
一方、二人の結婚には女中頭マルチェリーナと医者バルトロのコンビも反対を唱えはじめ、訴訟まで起こした。この訴訟は思わぬ新事実が発覚して決着をみる。いよいよ大詰め、はたして伯爵夫妻の仲直りはどうやって。ケルビーノの運命やいかに。物語は急展開して、「狂おしい一日」は夜の庭園で大団円を迎える。

Photo: Wiener Staatsoper / Michael Poehn

Photo: Marco Borggreve

指揮

ベルトラン・ド・ビリー

パリ生まれ。オーケストラでヴァイオリン奏者として活動した後、指揮者に転身した。1993年から1995年までデッサウのアンハルト劇場の第一楽長兼副音楽監督、1996年から1998年までウィーン・フォルクスオーパーでも同じ役職を務めた。その後、1999年から2004年までバルセロナのリセウ歌劇場音楽監督、2002年から2010年までウィーン放送交響楽団音楽監督、2013年から2015年までフランクフルト歌劇場およびフランクフルト歌劇場管弦楽団の首席客演指揮者、2013年から2016年までローザンヌ室内管弦楽団首席客演指揮者、2014年から2018年までドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者を務めた。
これまでに、ウィーン国立歌劇場、ベルリン国立歌劇場、ハンブルク国立歌劇場、バイエルン国立歌劇場、英国ロイヤル・オペラ、モネ劇場、パリ・オペラ座、ワシントンやロサンゼルスのオペラハウスなど、著名なオペラハウスに客演。 1997 年以来、メトロポリタン歌劇場に定期的に出演するほか、2002 年からはザルツブルク音楽祭にも定期的に出演している。
こうした著名な歌劇場のなかでも、1997年のデビュー以来ほぼ30年におよぶウィーン国立歌劇場との結びつきは特別に密接といえる。2024年12月には、長年の功績を称え、ウィーン国立歌劇場名誉会員の称号が授与された。ウィーン国立歌劇場における300回におよぶ指揮のなかには、急遽代役としての登場も含まれるが、回数だけではなく、劇場やオーケストラからの厚い信頼を持ち、充実した上演を可能にする手腕が認められたことにほかならない。なお、オペラ指揮のかたわら、バッハから数多くの世界初演まで幅広いレパートリーを指揮しているド・ビリーは、ウィーン国立歌劇場だけでなく、アン・デア・ウィーン劇場、ウィーン楽友協会、ウィーン・コンツェルトハウスとも緊密な関係を保っていることから、ウィーンの音楽界において欠くことのできない存在となっているともいえる。

Photo: Armand Sallabanda

アルマヴィーヴァ伯爵

ダヴィデ・ルチアーノ

ダヴィデ・ルチアーノはジョアッキーノ・ザレッリに師事し、現在も研鑽を重ねている。これまでに、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場、ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場、ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場、ナポリのサン・カルロ劇場、ペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティバルやザルツブルク音楽祭などの著名なフェスティバルなど、国際的に活躍。昨シーズンは、ウィーン国立歌劇場の『セビリアの理髪師』、『フィガロの結婚』、『マノン・レスコー』のレスコー、メトロポリタン歌劇場の『蝶々夫人』のシャープレス、パレルモのマッシモ劇場の『真珠採り』のズルガ、スペインのマオン歌劇場の『ラ・ボエーム』のマルチェロ、ベルリン・ドイツ・オペラの『ドン・ジョヴァンニ』などに出演した。このほか近年の出演としては、ミラノ・スカラ座『愛の妙薬』のベルコーレ役、アムステルダムのオランダ国立歌劇場『コジ・ファン・トゥッテ』のグリエルモ役、『フィガロの結婚』のアルマヴィーヴァ伯爵役などがある。ベルコーレ役でメトロポリタン歌劇場にデビューし、その後『ラ・ボエーム』でも同歌劇場に出演。ザルツブルク音楽祭では『ドン・ジョヴァンニ』でデビューした。2025/26シーズンには、ウィーン国立歌劇場で『ファルスタッフ』、チューリッヒ歌劇場で『蝶々夫人』、メトロポリタン歌劇場で『ラ・ボエーム』、フェニーチェ歌劇場で『カルメン』に出演する。

Photo: Chris Gonz

アルマヴィーヴァ伯爵夫人

ハンナ=エリザベット・ミュラー

ドイツ出身のソプラノ。2014年のザルツブルク復活祭音楽祭でクリスティアン・ティーレマン指揮『アラベラ』のズデンカ役を演じたことが国際的なブレイクの契機となった。この役でオペルンヴェルト誌の「今年の若手アーティスト」に選出された。以後これまでにウィーン国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場、ドレスデン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、バイエルン国立歌劇場、英国ロイヤル・オペラ、チューリッヒ歌劇場、ザルツブルク音楽祭など、世界有数のオペラハウスや音楽祭に定期的に出演している。2012年から2016年はバイエルン国立歌劇場のアンサンブル・メンバーとして活躍した。2022/23シーズン、ウィーン国立歌劇場の2つの新制作に登場。『ニュルンベルクのマイスタージンガー』ではエヴァ役で待望のロール・デビューを果たし、シーズン後半には『フィガロの結婚』の伯爵夫人を見事に演じた。また同シーズン中、ミュンヘンではアリベルト・ライマンの『リア王』のコーディリア役、ドレスデンではクリスティアン・ティーレマンに指揮よる『アラベラ』のタイトルロールを演じている。ルドルフ・ピエルナイに師事し、現在も彼と緊密に協力することを続けている。

Photo: Simon Pauly

スザンナ

カタリナ・コンラディ

キルギスタン(現キルギス共和国)出身のソプラノ。2013年から16年までベルリン芸術大学およびミュンヘン音楽演劇大学で学んだ。2015年から18年までヴィースバーデン・ヘッセン州立劇場のメンバー、2018年からハンブルク国立歌劇場のメンバーであり、ドイツを拠点に活躍している。2021年にはバイエルン国立歌劇場に『ばらの騎士』のゾフィー役でデビューした。「コンラディの音色は繊細な香りがあり、声は羽のように軽く、重さを感じさせない」(オペランヴェルト)と評される通り、 透明感のある声の正統派リリコ・レジェーロ。2023年にはウィーン国立歌劇場に『フィガロの結婚』のスザンナ役でデビューし成功をおさめた。2024/25シーズンは、チューリッヒ歌劇場で『仮面舞踏会』のオスカル、バイエルン国立歌劇場で『こうもり』のアデーレ、ハンブルクでの『リゴレット』のジルダはロールデビューとなる。また、同シーズンのハイライトの一つに、キリル・ペトレンコ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とのベートーヴェンの交響曲第9番がある。エルプフィルハーモニーではケント・ナガノ指揮のもとモーツァルトのハ短調ミサ曲で共演するなど、コンサートでも活躍している。

Photo: Paulina Jowita Koltun

フィガロ

リッカルド・ファッシ

ミラノ生まれのイタリア人バス。ジャンルカ・ヴァレンティとステファノ・ジャンニーニに声楽を学んだ。2014年にコモのテアトロ・ソシアーレでグラハム・ヴィック演出による『ドン・ジョヴァンニ』のマゼット役でデビューし、キャリアをスタートした。これまでにウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、ローマ歌劇場、アレーナ・ディ・ヴェローナ、英国ロイヤル・オペラなど著名な歌劇場に出演。アントニオ・パッパーノ、ズービン・メータ、ダニエル・バレンボイム、リッカルド・シャイー、ダニエル・オーレンなどの指揮者、グラハム・ヴィック、デヴィッド・マクヴィカー、リチャード・ジョーンズ、ダヴィデ・リベルモアなどの演出家と共演している。レパートリーはモーツァルト、ベルカント、ヴェルディまで多岐にわたり、『フィガロの結婚』のフィガロ、『ドン・ジョヴァンニ』のドン・ジョヴァンニとレポレッロ、『夢遊病の女』のロドルフォ伯爵、『ラ・ボエーム』のコッリーネ、『ノルマ』のオロヴェーゾは、彼のキャリアを特徴づける役柄といえる。2024年、バイエルン国立歌劇場へのデビューは『ランメルモールのルチア』のライモンド役だった。

photo: Lukas Gansterer

ケルビーノ

パトリツィア・ノルツ

オーストリア出身の若手メゾソプラノ。2020年から2年間、ウィーン国立歌劇場のオペラスタジオに在籍。この間に『チェネレントラ』のティスベ、『フィガロの結婚』のケルビーノ、フィリップ・ジョルダン指揮による『ドン・ジョヴァンニ』の新制作でツェルリーナを歌い、現在は同歌劇場のアンサンブル・メンバーとして活躍している。これまでにシェーンブルン宮殿劇場に『ヘンゼルとグレーテル』のヘンゼル、『エフゲニー・オネーギン』のフィリピエヴナ、『オレステ』のタイトルロール、『フィガロの結婚』のケルビーノ、『セビリアの理髪店』のロジーナなどで出演している。2020年秋、アン・デア・ウィーン劇場でシュテファン・ゴットフリート指揮、アルフレッド・ドルファー演出による新演出『フィガロの結婚』のケルビーノ役は高く評価された。2024/25シーズン、ウィーン国立歌劇場では、『フィガロの結婚』のケルビーノ、『ロメオとジュリエット』のステファノ、『セビリアの理髪師』のロジーナを歌う。数多くのコンサートにも出演しており、リート歌手としても活躍。演奏活動の傍ら、ウィーン音楽大学でフローリアン・ボッシュとクラウディア・ヴィスカの指導の下、リートとオラトリオの修士号取得を目指している。

※出演者に変更が生じております。なお、配役変更に伴う払い戻し、予約内容の変更はお受けできません。詳しくは下記をご確認ください。
アルマヴィーヴァ伯爵役の変更についてはこちら
スザンナ役の変更についてはこちら

主催: 公益財団法人日本舞台芸術振興会 / 日本経済新聞社
後援: 外務省 / 文化庁 / オーストリア大使館 / オーストリア文化フォーラム東京 / TOKYO FM

NBSチケットセンター 
(月-金 10:00~16:00 土日祝・休)

03-3791-8888

オペラ  「ドン・ジョヴァンニ」全2幕
  • 2026/04 会場:東京文化会館
英国ロイヤル・バレエ団  「リーズの結婚」/ 「ジゼル」
  • 2026/07 会場:川口総合文化センター/NHKホール
エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス
  • 2026/08 会場:昭和女子大学 人見記念講堂