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2008/03/06 2008:03:06:10:11:38

東京バレエ団『時節の色』 リハーサルレポート


振付指導のヴィクター・ヒューズ氏によるリハーサルが順調に進んでいます。振付指導がスタートして間もないある日の午後、高岸直樹、斎藤友佳理のリハーサルを覗いてみると、そこには、作品の終盤で踊られる「秋」の一場面に取り組む彼らの姿がありました。


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稽古場に響きわたる音楽は、湯浅譲二「芭蕉の情景」。胸を締め付けられるような、重く、暗い響きに呼応するように、二人は「秋」の世界に没入していきます。その振付は、とても緻密。ほんの僅かなタイミングの狂いで、次のステップへの移行が不可能になることもあります。ヒューズ氏が「ストップ!」と中断させることもしばしば。そのたびに、皆で記録映像を分析し直し、1小節ごと、1カウントごとに振付を再確認、1小節の踊りに、10分以上かけることもあります。ヒューズ氏は、ダンサーの立場に立ち、より踊りやすい形を選択させる機会も与えながら、「でも、初演のときにはこうやって振付けていたはずだ」と二人を導きます。ノイマイヤー氏が創作した作品本来の形を尊重すべく、細心の注意が払われます。音を捉えきれずに踊りがストップしてしまう箇所でも、2度、3度と繰り返すことで、次々とクリアしていく二人──。


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「創作から一緒に踊ってきた、互いに信頼できるダンサーだからこそ、それができるんです」と話すのは斎藤。初演時に振付助手として参加したヒューズ氏の指導が実現したことを、心から喜んでいる様子です。「理想的な状況ですね。この作品を、その本来あるべき姿で上演するための、まさに最高の条件でリハーサルが進んでいます!」。
 高岸も「始まったばかりですから、まだまだ楽なほうです(笑)」と余裕の表情。「これからどんどん大変になるはず! ノイマイヤーさんが来日されたら、さらに激しく踊リ込むことになる。今のうちに自分を追い 込んでおこうと思って取り組んでいます」。
 じっくりと、時間をかけて、『時節の色』の世界が創り上げられていきます。

取材・文 加藤智子


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