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2011/06/05 2011:06:05:18:40:40

ケント・ナガノ メッセージ~「ケント・ナガノ 青学オケを振る」開催に向けて

本日、青山学院講堂で開催された東日本大震災復興支援チャリティ・コンサート「ケント・ナガノ 青学オケを振る」は、おかげさまで無事公演を終了いたしました。
「日本の、特に日本の若者たちの役に立つことができたら」という、ケント・ナガノ氏の想いが多くの皆様の元に届き、短い準備期間ながらチケットは完売。多くの皆様がこのチャリティ・コンサートに駆けつけてくださいました。本当にありがとうございます。
急な出演依頼にもかかわらず駆けつけてくださったメゾ・ソプラノの藤村実穂子さんの素晴らしい歌声、緊張しながらも若々しい演奏を披露してくれた青山学院管弦楽団、そして客席から贈られたあたたかく熱い拍手。舞台と客席がひとつになった、あたたかいコンサートでした。
この公演に関わってくださった全ての皆様に心よりお礼申し上げます。


コンサートの冒頭でご紹介した、このチャリティ・コンサートに向けてのケント・ナガノ氏のメッセージを下記に掲載いたします。
マエストロの若者たちへの愛情に満ちたメッセージに会場は大きな感動で満たされてました。



ケント・ナガノからのメッセージ~チャリティ・コンサートに向けて


私は本日、このエネルギーに溢れた若者たち、そして彼らを長年指導し続けてきたタブチ
先生と共に演奏できることを大変喜ばしく感謝の気持ちでいっぱいです。
若者たちは今、天から与えられた才能を一歩前進させて発展させていく扉を開けたばかりです。

この才能に溢れた学生たちが、音楽家になるのか、また他の様々な分野における先導者になるかに関わらず、彼ら一人一人が我々の未来を牽引し、確かな未来をつくるのだろうと信じています。
私は彼らの前向きな姿勢が、自然の脅威がもたらしたこの度の試練から日本を再建させ、また更なる成功と新たなる夢に向かって勇気と強さを奮い立たせるであろうことを確信しています。

本日のコンサートは、強さ、輝かしい可能性、そして日本の未来への投資と信頼を意味するのです。

一般社会の中では、音楽の真の意味は、芸術の一つの形としてだけでなく、むしろ音楽の要素が我々の社会にとって極めて重要であるということを知っています。音楽は、人の魂に通じる道なのです。

もし我々が、人生を実在する現実的な要素だけに限ってしまうなら、世界は色もなく、生気のないものになってしまうでしょう。人間として、我々はありきたりの社会生活を超え
た想像力を持たなくてはなりません。想像力なしには、我々は夢も、希望も、勇気も、ヴィジョンも持てないでしょう。

人類にはこのような視点が必要なのです。日々、氾濫しているテレビで放送される事実や数字のニュース以上の、現実の境界線を超えた、何かもっと高みにあるものを、我々は信じる必要があるのです。

植物を育てるには水や、土、そして日の光が必要なように、人生には美しい物が必要です。それが音楽の奇跡なのです。

音楽とはなんとも難しく、複雑で、問題に満ち溢れているようにもみえますが、その世界の向こうには、美と希望があり、それは我々の生活の一部にならなくてはならない見識へ通じる道を開いてくれるのです。

これはまた、子供たち、そして若者たちが希望を意味する理由でもあります。何故なら、彼らは芸術的な理想、具現化された美しい精神だからです。

本日は、メゾ・ソプラノの藤村実穂子さんと私より、NBSと日本経済新聞社の協力を得て開催された、青山学院大学管弦楽団のチャリティ・コンサートにお運びいただいたことを感謝します。

藤村さんも私もそうであるように、皆様が、この若き大学生たちの素晴らしい才能をお楽しみいただくことを願っています。彼らの創造的なエネルギーによってうまれるひたむきに皆様も心うたれることでしょう。

皆様、ぜひ共に、日本の希望に、若者たちに、そして彼らの若者たちの可能性に賭けましょう。彼らこそが、日本のこの素晴らしい文化的な伝統を受け継ぎ、現状にとどまることなく、さらに輝かしい未来を担っていくのですから。

ケント・ナガノ