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2011/11/10 2011:11:10:12:38:59

シルヴィ・ギエム記者会見レポート(2)

▽2011/10/21 シルヴィ・ギエム記者会見レポート(1)>>>


現在、<HOPE JAPAN TOUR>で全国を巡演しているシルヴィ・ギエム。このツアーの東京公演を前に開催した記者会見では、11月17日に開幕する「エオンナガタ」についての質問にも、じっくり答えてくれました。

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●「エオンナガタ」は日本から影響を受けていると聞いています。具体的にその要素を教えていただけますでしょうか。


11-11.10news_eon01.jpg短く説明するのは大変難しい質問ですが・・・。
「エオンナガタ」は、男性なのか女性なのかわからない、ミステリーに包まれた生涯を送ったエオンの騎士(シュヴァリエ・デオン)の人生を描いた作品です。このテーマはロベール・ルパージュが提案したのですが、彼は長い間、エオンの騎士をテーマにした作品を創りたいという想いがあり、今回ようやく実現しました。
ルパージュの創作手法は、数週間かけてワークショップを行い、みんなで何か探しながら、遊び感覚でそこから生まれてくるものを見つけていくというプロセスを踏んでいきます。このワークショップを通して、お互い何が好きなのか、どんなことに興味があるのか、ということが次第にわかっていく中で、ルパージュも私も本当に日本が好きで、二人とも歌舞伎が大好きだと言う共通点が見つかりました。
また、ルパージュは、私と(ラッセル・)マリファントを見ていて、男性的な部分、女性的な部分が2人の中で強く際だっているところを発見し、やはりこのテーマ(エオンの騎士)が、3人の作品には合うのではないか思ったようです。
振付作業が進んでいくなかで、せっかくであれば私たちが好きな、(歌舞伎の)女形という様式がある日本を通して、 "性"とか"変装"というテーマを持つエオンの騎士の物語を構築できたらと思ったのです。


●日本には「エオンの騎士」を主人公にしたアニメーションもありますが、ご存知でしょうか。

11-11.10news_eon02.jpgエオンの騎士をテーマにしようと決めたときから、インターネットを通じて彼のことをいろいろと調べていくうち、You Tubeで日本にはエオンの騎士を題材にしたアニメーションがあることを知りました。
エオンは大変魅力的な人物です。当時として、とても進んでいた人ですし、外交官であり、戦地に赴いた時期は少ないのですが、軍人でもあり、スパイであり、一見女性のようなそんな一面もあって。
また、彼はフランスに住んでいた時代もあり、イギリスに行っていた時代もあるとことから、私はフランス人、マリファントはイギリス人であり、3人の中で(エオンとの)共通点があったんですね。
ルパージュはテーマを決めて作品を創っていくときに、表面的に人物を見つめていくのではなく、その人物を深く探求していき、パズルを組み立てていくような手法で創作していきます。最後にはパズルが出来上がって、その人物が深く浮かびあがるような作品が出来あがっていくのです。




●エオンという人物はフランスでは、よく知られているでしょうか。

エオンの騎士は、確かにフランスでは知られていますけれども、それは名前だけです。どういう人物かということまでは、残念ながら知らないのではないかと思います。何故彼が知られているかというと、クロスワードパズルに彼の名前がよく登場するのです。「ルイ15世のスパイ、3文字で」とか、「半分男性で半分女性の3文字の人物は」という問いの答え(「EON」)として。
私もこの作品を踊ることになり、はじめて彼のことを勉強し、彼のことを深く知るようになりました。とても複雑な人生を生きた、とても興味深い、面白い人物です。


●「エオンナガタ」の衣裳を担当した、故アレキサンダー・マックイーンについて、お話いただけますでしょうか。

彼は大変才能があり、詩情豊かな素晴らしいデザイナーです。
(「エオンナガタ」の衣裳を依頼する際に)会いに行ったときにも、すぐに役のことを理解してくれました。そして、彼の創作した衣裳は、シンプルでありながら、(この作品で)必要とされているものが、しっかり表現されていました。
彼は、ファッション業界で苦労しながら多くの衣裳をデザインしてきましたが、彼のデザインは、単なるファッションではなく、すばらしい想像力をもって生みだされたものです。才能に恵まれ、クリエイティブで、詩情があって、知的で、繊細で、彼のような人物はなかなかいいません。亡くなられたことを悔しく、残念に思います。

photo:Erick Labbė(舞台写真)、Nobuhiok Hikiji(記者会見)



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